8士業とは?税理士や弁護士を含む士業の種類と役割・活用方法まとめ

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8士業とは?税理士や弁護士を含む士業の種類と役割・活用方法まとめ

士業というと、法人や特殊なケースでしか関わりがない専門家と思われるかもしれませんが、実生活でも意外と活用の機会があります。

今回は「8士業」といわれる8つの士業の役割と、資産運用を含めた活用について紹介しますので、ぜひ生活のなかでもお役立てください。

8士業の主な業務内容と窓口

士業とは、広い意味で○○士と名のついた専門性と公益性が高い職業のことを指します。医師や看護師などの○○師と合わせて「士師業」と呼ばれる専門職です。

こうした広義の士業に対して、一般的に認知されているのは狭義の士業で、法律や会計に係る業を総称して指す場合が多いです。

このうち、職務上、委任状によって住民票などの請求権が認められている主な士業を8士業といいます。8士業は国家資格で、一部独占業務がある点も共通しています。

8士業の窓口と主な業務

名称 窓口 主な業務
税理士 税理士事務所 税務相談、税務代理、税務書類作成、税務訴訟の補佐、会計業務(記帳代行など)
司法書士 司法書士事務所 土地や家屋・法人登記の申請、民事訴訟の手続きなどに必要な書類の作成
行政書士 行政書士事務所 官公署などに提出する書類の作成、契約書の作成代理
土地家屋調査士 土地家屋調査士事務所 土地・家屋の調査や測量、不動産登記の代理
弁護士 法律事務所 法律にかかわる業務全般
弁理士 特許事務所 特許庁での手続き代行、意匠や商標の異議申し立て代行
社会保険労務士 社会保険労務士事務所 社会保険手続き代行、年金相談、労務管理相談、労災や助成金の申請代行
海事代理士 海事法律事務所 船舶の登記や登録、船員法にかかわる手続き代行、海上交通にかかわる許認可代行

税理士

税務相談や税務代理などは税理士の独占業務です。具体的な仕事内容としては、確定申告書類の作成や税務調査の立ち合い、税務署への申し立て代行、企業財務や会計の補助を行なっています。

司法書士

登記申請を独占業務とした専門家です。基本的には登記申請書類の作成、裁判所に提出する書類の作成を行なっています。身近な法律の専門家でもあり、法務大臣の認定があれば、140万円以下の民事裁判、つまり少額訴訟も可能です。

行政書士

書類の作成を生業とする士業です。官公署に提出する書類から権利義務にかかわる書類、事実証明の書類など、業務は広範囲。他の士業の独占業務にかからない範囲での書類作成代行ができ、行政書士自体の独占業務になっているものも多いです。

土地家屋調査士

不動産登記にかかわる土地の調査や測量を専門にした士業です。不動産登記の申請代行、審査請求の代行も認められています。筆界特定(土地の境界を決める)の代理も業務に含まれ、法務大臣に認定されたものであれば弁護士と共同して筆界訴訟にも携われます。

弁護士

弁護士は法律にかかわる業務に制限がなく、全般を専業としています。民事訴訟や刑事訴訟の解決、訴訟の手続きなどが主な業務です。

弁理士

国内外における特許、意匠、商標、実用新案の出願や関連する手続きを専業としている士業です。関税の認定にかかわる申し立て代行も含まれます。

社会保険労務士

労務の専門家で、社会保険や労働保険の手続き代行が独占業務です。年金相談など個人向けの相談も行っています。

海事代理士

船舶や船員、海事にかかわる業務を専門とした士業です。個人レベルならマリンスポーツをする人にかかわる専門家になります。

よくあるトラブルを士業相談で解決する方法:個人編

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相続問題

個人で士業の活用が考えられるケースのひとつ目は、相続です。

相続問題の中でもトラブルになりやすい遺産分割は、身内で話がまとまらず訴訟に発展することもあります。

分割で争いがある場合は弁護士への相談が基本です。法律専門、特に相続に強い弁護士に相談することで、遺留分請求などさまざまな法律面での対応が期待できます。

しかし、分割が決まっても所有権の移転や相続税の申告まで弁護士が行ってくれるわけではありません

不動産の所有権移転や抵当権抹消は司法書士、車や株の名義変更は行政書士、相続税の申告は税理士、特殊なケースの不動産評価は土地家屋調査士、とそれぞれの専門家がいます。

遺産分割の書類作成は弁護士、司法書士、行政書士が行えるので、相続の規模や状況に合わせて依頼した方がよいでしょう。

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離婚問題

離婚がなかなか成立せずに、離婚協議や離婚調停など訴訟に発展する場合の窓口は弁護士です。しかし状況によっては離婚がスムーズに進み、あとは財産分与ということもあります。

財産分与の方法を相談する場合は弁護士、財産分与で不動産登記が発生するときは司法書士が専門です。公正証書での離婚協議書の作成は司法書士でも行えるので、簡易に済ませたい場合は司法書士を活用する方法もあります。

ただ、司法書士に離婚で依頼するのは限定的なもので、基本的に離婚問題そのものを解決できるのは弁護士です。

また、財産分与では基本的に税金は発生しませんが、不動産の所有権移転による不動産取得税や、扶養から抜けることで所得控除がなくなってしまうこともあります。税金面での負担を知りたいときは税理士が専門です。

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贈与問題

贈与は、家族間でも一定の額を超えて条件を満たすと、税金が発生することがあります。年間110万円を超える贈与があって、税金の額を知りたいときに活用できるのが税理士です。

また、将来相続税が発生すると考えられる場合、贈与にするか相続にするか、どちらが最良か悩ましいところです。こうした場合の相談も税理士が専門です。

生前贈与については、相続のトラブルを回避する目的で相談するなら税理士より弁護士が向いています。また、不動産が移転するときは司法書士名義変更は司法書士または行政書士が活用できます。

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各問題に対して、どの士業でも一般的な解説であればしてもらえますが、独占業務があるため具体的な相談は専門士業が適切です。ついでに聞いておきたい程度ならよいですが、本格的に対応してもらいたい場合は専門士業に相談しましょう。