自宅を売却する理由には、住み替えや転勤だけでなく、離婚や相続、住宅ローン滞納など、いくつか考えられます。
それぞれ基本的な流れは変わらないものの、売却の理由によって注意すべき点が違っていたり、売却以外の方法を検討することもできます。
本記事では、自宅の売却理由別の注意点やポイントについてご紹介します。
家族構成の変化を理由とした売却
まず最初は、家族構成が変化し、新居に住み替えるために不動産を売却するケースについて説明します。
家族構成の変化を理由とした売却に関する3つのパターン
家族構成の変化を理由とした売却に関しては、以下のようなパターンが考えられます。
- 子どもが生まれるなどして家族が増えた
- 将来的な介護を見据えて二世帯住宅に住み替える
- 子どもが巣立った後小さな家に住む
パターン①:子どもが生まれるなどして家族が増えた
子どもが生まれるなどして、それまで住んでいた家では手狭になったパターンです。
この場合、30代~40代での住み替えが想定されますので、売却する不動産についても残債があることが多いと考えられます。
不動産の売却価格より住宅ローンの残債が多い場合、差額について現金で支払えなければそもそも売却できません。
また、売却する不動産より購入する不動産の購入価格が高いことが多く、ローンを組めるかどうか事前にしっかり確認する必要があります。住み替え先の家を決めてから売却を検討するようにすると安心です。
パターン②:将来的な介護を見据えて二世帯住宅に住み替える
将来的な介護を見据えて、両親と一緒に住むための二世帯住宅に住み替えるようなパターンです。
50代~60代での住み替えが多く、住宅ローンの残債や、住み替え先が高額になることによる住宅ローンが問題となります。
ですが両親に所得がある場合は、親子の年収を合算して住宅ローンを組める親子リレーローンを検討することもできますし、貯蓄があれば親がどのくらい資金を援助できそうなのか話し合うこともできます。
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パターン③:子どもが巣立った後小さな家に住み替える
子どもが巣立った後、夫婦だけが住む小さな住居に住み替えるパターンです。
こちらは60代〜での住み替えが想定されるので、住宅ローンについてはほとんど返済し終わっていることが多いでしょう。
一方で、築年数の古い建物についてはほとんど評価がつかない可能性が高いので、土地で十分な価格がつかない場合には、新居の購入資金をどう捻出するかが問題となります。
総じて売却期間を長く取りやすい
家族構成の変化を理由とした売却は、転勤や住宅ローン滞納による売却と比べて明確な期限がなく、売却期間を長く取りやすいのが特徴です。
しかし、売却を開始してから成約するまでの期間が長くなると「売れ残り感」が出てしまい、売れにくくなることがあります。できるだけ高く売却したいのであれば、いつ売却を開始するのかに注意するとよいでしょう。
具体的には、転勤や子供の進学を理由とした売買の多い2~3月に成約できるよう、12月~1月頃から売却を開始するのがおすすめです。
増築リフォームなども検討しよう
家族構成の変化を理由として住居を替える方法には、住み替え以外に建て替えや増築リフォームという方法もあります。
一般的に、この中で一番お金がかかるのは建て替えで、一番お金がかからないのは増築リフォームです。ただし住み替えについては、元の住居を賃貸に出すなど、うまくいけば一番お得になる可能性もあります。
子供が増えたことによって住み替えや建て替えをする場合、長期的に見れば子供が家にいる期間は短いので、増築リフォームで十分かどうかを検討する価値はあるでしょう。
転勤を理由とした売却
売却期限があることに注意
転勤を理由とした売却では、気持ち的な面や、後々の手間ヒマを考えると、赴任までの間に手続きを済まさなければと思われる方が多いでしょう。またそのような時期は時間に余裕がないことが多いでしょう。
このため、元の不動産の処分については以下のいずれかから検討する必要があります。
- 転勤までの間に売却する
- 不動産会社に買取してもらう
- 戸建て賃貸として貸し出す
パターン①:転勤までの間に売却する
転勤までの間に売却してしまうパターンです。早く売却できるよう、相場よりやや安い価格で売却を開始することが多く、また購入希望者が現れた時の価格交渉ではある程度妥協する必要が出てくるでしょう。
とはいえ、足元を見られないよう、妥協できないラインを事前に決めておくことが大切です。
なお、転勤までの間に売却できない場合には、売却活動自体は不動産会社に任せておけば問題ありません。そのさい、新居の賃料や住宅ローンと、売却不動産の住宅ローンとの二重払いには注意が必要です。
パターン②:不動産会社に買取してもらう
仲介による売却では、いつ買い手がつくか分かりませんが、不動産会社に直接買取してもらえば、条件次第で確実に売却を決めることができます。
ただし、直接買取では仲介より売却価格が2~3割以上安くなってしまう点に注意が必要です。
不動産会社によっては「買取保証(最初は仲介による方法で売却活動し、売却が決まらない時には買取してもらう)」という制度もあるため、利用を検討してみるとよいでしょう。
パターン③:戸建て賃貸として貸し出す
転勤先で新しく新居を購入、あるいは借りるかして、元の不動産を賃貸に出す方法もあります。
元の不動産を気に入っている場合には、将来帰ることになった時にまた利用することができるという利点があります。ただし、空室期間中は家賃の二重払いになってしまいます。
海外転勤の場合どうなる?
海外転勤が決まった場合、基本的には赴任までの間に売却してしまうことをおすすめします。仲介による売却だけでなく、買取や買取保証による方法も検討した方がよいでしょう。
赴任後についても、不動産会社に鍵を渡しておけば、売却活動は不動産会社が行ってくれるため問題ありません。
ただし売買契約が決まった後については、売買契約の引き渡しや物件の引き渡しについて、親族を代理人に立てる必要があります。
その際は委任状が必要になります。委任状に押印する印鑑について、海外在住者には印鑑登録がないため、赴任先の大使館や領事館で手続きが必要になるなど手間がかかります。