老後とは、長年勤めた仕事もひとつの節目を迎え、息子や娘たちも送り出し、夫婦二人で迎える新しい生活のスタートともいえます。円満な夫婦関係を築くことは、幸せなセカンドライフを送るための重要な条件の一つとなるでしょう。
そこで今回は、定年退職を迎えたあとの夫婦生活を円満にするコツをご紹介。妻との夫婦関係が悪くなる原因と、夫婦円満でいつまでも仲良く過ごすために大切なことについて考えていきます。
定年後の夫婦トラブルの主な原因
夫婦円満のコツを考える前に、夫婦トラブルの原因を確認しておきましょう。
第一生命経済研究所が60歳以上79歳以下の男女600名を対象に2014年に実施した「高齢者の夫婦関係」調査によると、男性では約6割が離婚を「考えたことがない」と回答しているのに対し、女性では約7割が「考えたことがある」と回答しています。
では、どういった理由から女性は離婚を考えるのでしょうか。その原因について主だったものを紹介します。
病気で寝込んだ場合などに夫が頼りにならない
上記の第一生命経済研究所の調査では、病気で寝込んだ場合などに相手が「頼りになる」と回答した割合が、男性では71.5%であるのに対して、女性では26.4%となっています。寝たきりになった場合や体の自由がきかなくなった場合についても同様の男女差があります。
将来、介護が必要になった場合を考えると、夫が頼りにならないと回答している大半の妻にとっては不安要素となっている可能性が高いといえます。
夫に対する信頼感がない
また、同調査では「配偶者を信頼しているか」という質問に対して「信頼している」という回答が、男性では約7割、女性では約4割となっています。
「司法統計」の離婚原因などを参考にすると「異性関係」、「浪費をする」、「家庭を捨てて顧みない」などの要因も含まれているのではないでしょうか。
価値観や性格が合わない
今までの夫婦生活では見えてこなかった、もしくは我慢していたことが、老後の生活で浮き彫りとなり、離婚にまで進展するということがあります。
根本的な価値観にずれがある場合もありますが、元は他人同士。ある程度の違いというのはあって当然とも言えます。
それよりも注意するべきなのは、日常的な会話や夫婦で過ごす時間の少なさなど、夫婦間のコミュニケーションに原因がある可能性でしょう。
肉体的、精神的な暴力も
離婚の原因として代表的に挙げられるのが「酒癖が悪い」「暴力を振るう」「精神的に虐待する」といったものです。
定年退職後、セカンドライフに家庭で過ごす時間が多くなったことで、上記のような行為に及んでしまうケースは、少なくないのだそう。一概に原因を断定はできませんが、今までの仕事一筋で生きてきた男性にとって、仕事という生きがいがなくなってしまったストレスや戸惑いも多いのだと思います。
自分は大丈夫だと思っていても、気づかない小さなことの積み重ねが、相手を嫌な気持ちにさせてしまっていないか注意が必要です。
夫婦トラブルを未然に防ぐのに役立つ習慣
それでは、妻とのトラブルを未然に防ぎ、夫婦の円満な関係を構築するのに役立つ習慣を3つご紹介しましょう。
感謝の気持ちを表す
とてもシンプルですが、大切なこと。それは感謝の気持ちを表現することです。
もしかしたら「普段から感謝の気持ちを持っている」と思われかもしれません。しかし案外それがパートナーには伝わっていないことも多いのです。そういった両者のすれ違いが、ケンカの原因にもなります。
積年の苦労があったとしても、感謝の気持ちひとつで救われると感じたり、失われた信頼関係を取り戻すきっかけにもなりえます。
たとえば週末、少し贅沢なランチに出かけていって、簡単なプレゼントをするというのも良いでしょう。最近では、老後になって改めて妻にプロポーズをするといったケースもあります。
感謝の気持ちは心に留めておくだけでなく、ぜひ態度や言葉で表現するようにしましょう。
共通の趣味を持つ
「星の王子さま」の著者であるサン・テグジュペリは「愛は見つめ合うことではなく、同じ方向を見つめることだ」という名言を残しています。
共通の目標を持って切磋琢磨するのも、夫婦円満のコツの一つ。たとえば共通の趣味を持つことも有用です。
自分が何か新しい趣味を始めたいと思ったなら、ぜひ奥様も誘って、一緒に取り組んでみましょう。「定年後のセカンドライフが楽しくなる趣味の見つけ方と人気の趣味」も合わせて参考にしながら、セカンドライフの趣味探しをしてみてください。
食事の支度や片づけを積極的に手伝う
調査会社のマクロミルが2010年に実施した「料理と夫婦関係に関する調査」によると、「夫が料理上手」と回答した女性の94.1%、「夫が食事の支度や片づけをする」と回答した女性の91.4%が「夫婦関係が円満」と回答しています。被験者全体で「夫婦関係が円満」と回答したのは86.2%ですので、有意な差異といえます。
■調査概要
[調査方法] インターネットリサーチ
[調査地域] 全国
[調査対象] 20才以上の既婚女性 (マクロミルモニタ会員)
[有効回答数]
合計:516s
20代:129s
30代:129s
40代:129s
50代:以上129s
[調査日時] 2010年4月2日(金)~4月4日(日)
[調査機関] 株式会社マクロミル
また、同調査では自分が作った料理に対して夫が言ってカチンと来た一言として、「おかずこれだけ?」が33%、「無言」が29%となっています。感謝の言葉の1つも述べるのが理想といえるでしょう。
「食事の支度や片づけを手伝う」というは一例で、それだけやっていれば良いわけではありません。「一緒に家庭を作ろう」あるいは「リスタートしよう」という姿勢を率先して示すことが夫婦円満につながるではないでしょうか。
まとめ
「長年連れ添った夫婦なら、すべて理解し合えていて当然」というわけではありません。老後、二人で過ごす時間が増えるからこそ、相手の良いところも、そして悪いところも見えてくるもの。
老後には様々な変化が伴います。仕事を辞めたことで収入や生活リズムも変わり、年齢的に身体の不調も少しずつ現れ始める頃合いです。
そういう変化の時期だからこそ、夫婦で二人三脚!これからの第二の人生の過ごし方を二人で話し合い、幸せなセカンドライフを一緒に創り上げていけると良いですね!
特集:定年後の時間を有効に使う方法
第1回:定年後の余生。セカンドライフを充実して過ごすために考えるべき5つの準備
第2回:セカンドライフが楽しくなる趣味の見つけ方と人気の趣味
第3回:65歳を超えても現役!シニアから再び仕事を始める方法
第4回:定年後の夫婦生活を楽しく円満にする秘訣