現在の状況は?
日本全国における生産緑地の面積は14,000ヘクタール程度。もっとも面積が広いのが東京都で、3,000ヘクタールもの生産緑地が集中しています。23区内だけでなく、三鷹市や国分寺市などにも多く分布しています。
東京都についで広いのが京都市で600ヘクタール以上。その他、さいたま市や横浜市、名古屋市や大阪府の堺市など、都市圏に集中しています。
持ち主の状況
生産緑地の指定は25年以上も前に行われており、当時の所有者の多くは高齢の農業従事者として活動しています。
相続されている生産緑地もありますが、生産緑地は主たる農業従事者が死亡すると市町村への買取りが認められるので、相続せずに手放してしまう例も見られます。
今後の需要が見込まれるエリア
将来、生産緑地の買取りが解禁されると、たくさんの土地が放出されることが予想されます。
その際、都心まで電車で1時間以内の場所は需要が高く、価格が下落することが少ないため、買い手や借り手を探すのも難しくならないことが予想されます。
一方、都心部から遠く離れた場所や、郊外のニュータウンなどの駅から遠い場所にある生産緑地は、買い手や借りてを見つけるのが困難なことが考えられるほか、価格の下落など大きな影響を受ける可能性があります。
都市部の状況の違い
生産緑地は三大都市圏に集中していますが、各市町村によって分布状況に違いがあります。
たとえば埼玉県の川越市は、生産緑地を含めた「緑地面積」が非常に多い場所です。川越市の緑の量は約5,971ヘクタールあり、川越市全体の54.7%にあたります。市街化区域の緑地面積は243.3ヘクタールで、市街化区域面積の7.6%に及びます。
これらの中心となっているのが「生産緑地」で、市街化区域内の緑地の約6割を占めており、川越市内の緑地環境を支えています。
一方、生産緑地制度を採用しない、あるいは、指定に制限をかけている自治体もあります。
たとえば、兵庫県の太子町は、もともと固定資産税が低いため生産緑地指定制度を取り入れても、減税の効果がそれほどなく、あまり導入されていません。
和歌山市は、固定資産税が高額になる地域があるため、生産緑地指定制度を取り入れています。しかし、面積を1000㎡以上、国道に接道していることを条件にするなど、法律よりも厳しい要件を課すことによって調整をしています。
まとめ
生産緑地については、2022年に指定解除の条件である30年が経過するため、減税効果がなくなり、販売規制も緩まることから、市場に大量放出される可能性があり、これを「生産緑地の2022年問題」と呼んでいます。
今後想定される動きや対策方法などについては、次回以降の記事にて解説していきます。
特集:生産緑地の2022年問題
第1回:生産緑地とは何か?概要と現状、今後の展望について考える
第2回:生産緑地の2022年問題の概要と予想!都市部の不動産価格は大幅に下がるのか
第3回:生産緑地の2022年問題に対する解決策【転用・売却編】
第4回:生産緑地の2022年問題に対する解決策【保持編】