意外と知らない「春と秋のお彼岸」の由来と過ごし方まとめ

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2018年における春のお彼岸は3月18日〜3月24日で、秋のお彼岸は9月20日〜9月26日です。

お彼岸は、春と秋の年2回あるものですが、それぞれのお彼岸にはどのような違いがあるのでしょうか。意外と知られていないお彼岸の伝統や由来、お墓参りの作法をご紹介します。

お彼岸の日にち

お彼岸の日にちは、春なら春分の日、秋なら秋分の日によって決まっています。春分の日、あるいは秋分の日を中日とした前後3日がお彼岸とされます。

春分の日・秋分の日は年によって違うので注意しましょう。1年は365日ですが、太陽の公転を考慮すると厳密には365日と6時間ほどになるため、ずれが生じるのです。正確な春分の日を知りたいときは、官報に暦要項が掲載されますので、「国立天文台暦計算室」のウェブサイトで確認しましょう。

お彼岸の意味

お彼岸は仏教行事です。聖徳太子の時代からあったといわれ、全国の僧侶を集めて崇道天皇を供養したのが由来とされています。

仏教では、仏様のいるあの世を「彼岸(ひがん)」と言って清浄な悟りの世界として西にある、とされています。一方の私たちが生きているこの世を「此岸(しがん)」と言って迷いや煩悩に溢れた世界として東に位置する、とされています。

春分の日・秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈む日であり、この日こそが彼岸(あの世)と此岸(この世)が最も通じやすくなる日であると考えられています。

この時期に、ご先祖様をしのび、今日の自分があることへ感謝して、六波羅蜜(※後述)の行を修めます。日々の生活を省みるためにお墓参りをするのが慣習となっています。

お盆もお彼岸と同じようにお墓参りをしますが、意味合いが異なります。お盆は、ご先祖様があの世から私たちのところに帰ってくると言われており、先祖の霊を迎え入れ、そして送りだす行事です。

お彼岸で覚えておきたい「六波羅蜜」

お彼岸を過ごすときに知っておきたいのが「六波羅蜜(ろくはらみつ)」です。

六波羅蜜は、仏の世界である「彼岸」に向かうための6つの修行のことを指します。布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の6つの修行があり、これには実生活でも心がけたい内容が盛り込まれています。

布施(ふせ) 見返りを求めずに他の人へ施しをする
持戒(じかい) 道徳や法律を守り自分を省みる
忍辱(にんにく) 苦しいときも耐え忍ぶ
精進(しょうじん) 努力を怠らない
禅定(ぜんじょう) 落ち着いた心で自分を省みる
智慧(ちえ) 真実を見る目、判断力を働かせる

布施や精進といった言葉は、日常生活でも「お布施」や「精進料理」などとして使われることがあるので、少し身近に感じられるのではないでしょうか。

お彼岸は、仏様のいる悟りの世界へ向けての修行のための日。ご先祖様の供養だけでなく、自身の普段の生活態度を省みる機会としてみてはいかがでしょうか。

心がけたいお墓参りの作法

お墓参りで持参したいのが、お供えものです。

お供えする花は特に決まりはありませんが、菊や白百合あたりが一般的です。納骨堂など場所によってはそのままの生花が難しいところもあるので、場合によってはフラワーアレンジメントなどを頼んでおくのも良いでしょう。

お花と一緒にお供えするものも、特に決まりはありません。「春はぼたもち、秋はおはぎ」とも言いますが、果物・お菓子・お酒などでも良いです。故人が好きだったものでも良いでしょう。

お供えの後は、それを美味しくいただきます。衛生面への考慮も理由ですが、「神様に供えたものを食べて、その力を取り込む」という意味合いもあります。

お線香をあげて故人の供養をしたら、お墓の掃除もしておくことをおすすめします。故人を偲び、敬う気持ちが大切です。

お寺が行うお彼岸法要に参加するときや、住まいが遠方でお墓参りが難しくお寺に法要をお願いするときは、お布施の用意が必要です。

3,000~10,000円ほどを包むのが一般的ですが、個人の法要の場合は3~5万円ほどが一般的な金額です。必要な金額は地域やお寺によっても違うので、できれば事前に確認しておくと安心でしょう。

ぼたもち・おはぎの違いと由来

春のお彼岸は「ぼたもち」で、秋のお彼岸は「おはぎ」としています。

「ぼたもち」は春の花である牡丹にちなんだもので、もち米とこしあんで作ります。一方「おはぎ」は秋に花咲く萩の花にちなんだもので、粒あんで作ります。

昔は砂糖が高級品であったため、大事な日や大きな節目のとき、大切な人への振る舞いに使われました。加えて小豆の赤い色には魔除けの効果があると考えられていたため、お彼岸には「ぼたもち・おはぎ」が慣習となっています。

まとめ

お彼岸の時期にお墓参りをするのは絶対ではありません。しかし、自分を律し、自然や先祖に感謝する良い機会ですので、ぜひ足を運んでみましょう。お墓が遠方にあって行くのが難しい場合は、お寺参りだけでもおすすめです。

春のお彼岸はちょうど桜が見られる季節。家族そろって、お花見を兼ねてお墓参りをしてみるのも良いかもしれません。