土地・不動産の相続をスムーズに行うための基本!手続きの流れとポイント

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土地・不動産の相続をスムーズに行うための基本!手続きの流れとポイント

土地・不動産を相続するときには、どんな手続きが必要なのでしょうか。

土地・不動産の相続はきちんと理解して手続きしないと、必要のない税金を払うことになったり、家族間でもめ事に発展してしまうケースもあります。今回は土地の相続を中心にスムーズに相続を行うための基本やポイント、注意点について解説します。

土地相続の流れ

土地を相続した場合の一般的な流れを簡単にご紹介します。

1. 相続人同士での話し合い

相続発生が発生したら、土地の分配について相続人同士で話し合います。ポイントは遺言書があるか・ないかです。これによって手続き方法が変わるので、注意してください。

2. 必要書類の確認

不動産の相続に必要な、以下の書類を確認します。

不動産の相続に必要な申請書類一覧

  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票抄本
  • 相続人全員の住民票謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの全て)
  • 被相続人の住民票の除票
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 不動産の全部事項証明書(法務局)

上記の必要書類は、法務局のサイトからダウンロード可能です(記載例あり)。

3. 登記にかかる費用の確認

相続登記にかかる主な費用を確認します。

  • 法務局に納める登録免許税:固定資産評価額合計×0.4%
  • 登記事項証明書:不動産1個につき600円(※請求方法によって異なります)
  • 戸籍謄本類の発行手数料:3,000円程度
  • 郵便代:場所により異なる

4. 法務局に書類を提出

書類がそろったら法務局に提出します。申請先の法務局は、法務局のウェブサイトから調べることができます。

重要な手続き「名義変更(相続登記)」

重要な手続き「名義変更(相続登記)」

相続の流れが整理できたところで、特に重要な手続きである「名義変更(相続登記)」についてご説明します。

相続登記とは

不動産の所有者が亡くなり、その不動産を相続することになると、不動産の登記名義を被相続人(亡くなった人)から相続人へ変更する必要があります。

これを「相続登記」と呼び、相続人名義へ登記申請することによって、所有者が代わり、相続登記が完了します。

相続登記の申請方法

相続登記の手続き方法は「遺言書」「法定相続分」「遺産分割協議」それぞれのケースによって違います。

1. 遺言書がある場合

遺言書がある場合の相続登記は、書面の内容に沿って行います。手続きの流れは「書類を準備し、法務局へ提出する」という手順になります。

遺言書の記載が「相続」か「遺贈」かによって、関わる人数が変わってきます。

相続の場合は、不動産を引き受ける人だけで手続きが可能です。遺贈の場合は、不動産を引き受ける人の他に法定相続人全員が一緒に手続きをしなくてはいけません。

2. 法定相続分のとおりに相続した場合

法定相続分とは、被相続人の財産を相続するにあたり、法律上定められた割合で取り分を決めることです。法定相続分での相続登記は、法定相続人全員の名義で登記を行います。

申請は相続登記をした共同相続人であれば1人でも可能です。売買等に必要な証書である「登記識別情報通知」が申請者に交付されますが、それ以外の相続人には交付されません。

しっかり話し合いをしていないと、気づいたときには勝手に申請され、不動産の自由がきかなくこともあるので注意が必要です。

3. 遺産分割協議によって相続した場合

遺産分割協議とは、相続財産をどのように分けるかを、相続人全員で話し合って決めることです。

財産分与が決まったら、必要書類をそろえて最寄りの法務局に提出します。

登記申請書を作成し、添付書類を確認のうえ土地・建物を管轄する法務局に申請すれば完了です。申請の方法には、窓口、郵送、オンライン申請があります。

相続登記が長年にわたって行われていない場合

登記は登記名義人について行うことが原則となっていますが、義務ではありません。

もし何世代も相続登記をしていない場合は、さかのぼって相続登記をする必要があるため、相続人が増え、多くの書類が必要となってしまいます。

また、該当者が存命でなかったり、相続人が規定の人間でなかったりすると、該当の相続人を探す必要があるため、費用や時間がかかります。

相続の段階になって、相続登記が長年なされていないことがわかったら、管轄の法務局への相談を検討しましょう。複雑な手続きを自分で行うのが難しいと思ったら、司法書士に申請を依頼することもできます。

「名義変更(相続登記)」をするときにかかる相続税について

相続税は「相続税額 =(全ての財産額 - 基礎控除額)× 相続税率」で計算します。

例えば、親から相続する財産が5,000万円の場合、相続税がかかるのは「5,000万円 - 基礎控除額」の金額になります。基礎控除の計算式は「3,000万円 + 600万円 × 相続人数」で計算されます。

相続人が1人であれば、

5,000万 - (3,000万円 + 600万円 × 1) = 1,400万円

1,400万円を相続するときの税率は15%で、50万円の控除なので(相続する金額によって税率、控除額は異なる)、

1,400万円 × 15% - 50万円 = 160万円

となります。

相続税の税率や計算方法は、国税庁のホームページから確認できます。無料計算シミュレーションもできますのでご活用ください。

相続登記の登録免許税の免税措置

平成30年の税制改正により、土地の所有権移転について以下の免税措置が設けられました。

  • 相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
  • 市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置

上記の2点に当てはまる場合には、以下のURLで免税内容を確認してください。

相続登記をしなかったときのデメリット

相続登記は簡単にできる手続きではありません。そして、相続登記をしないとデメリットを被ってしまうこともあります。

相続関係の複雑化

相続登記を行うまでは、法定相続分に応じて、相続人全員で不動産を所有している状態になります。相続登記がなされていないと、誰が関係者かわからなかったり、関係者が多すぎて利害関係が複雑になったりと、今後の手続きが困難になるでしょう。

  

不動産を売却したり、担保にしたりできない

不動産を売却したい・担保にしたいといった場合には、所有権をはっきりさせなくてはいけません。相続登記がされていなかった場合、そこは所有者不明の土地となってしまいます。信用という観点から見ても、売却や担保にすることは難しいでしょう。

こうしたデメリットを解消するために、相続登記については改善策が提案されています。デメリット解消については、以下の記事を参考にしてください。