市場規模は16倍!? 空家・空室アパート対策としても注目の民泊ビジネス

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市場規模は16倍!? 空家・空室アパート対策としても注目の民泊ビジネス

民泊は「宿泊費用を少しでも抑えたい」「日本の文化に触れたい」「ホテルや旅館が予約できない」という訪日観光客に人気があるだけでなく、テレビCMや広告、ソーシャルメディアの影響から日本人の利用客も増えています。

そこで今日は、空家・空室アパート対策としても注目を集めている民泊ビジネスについて、最新情報をお届けします。

民泊ビジネスとは?仕組みを解説

民泊ビジネスとは?仕組みを解説

ワンルームマンション投資などの一般的な不動産投資は、長期的な入居が目的の方を対象に住居を貸し出して賃料を得ます。

これに対して民泊ビジネスは、ホテルのような短期間の利用を目的として、住居(部屋)を貸し出して宿泊料を得ます

住宅宿泊事業者は宿泊者と直接の取引をするわけではなく、住宅宿泊仲介業者を介します。住宅宿泊事業者が物件情報を提供し、宿泊者は仲介業者のサイトを通じて予約・支払いを行います。

民泊ビジネスは大きく分けて、家主居住型と家主不在型の2つがあります。

家主居住型は、ホストであるオーナーが同じ住居内に住んでおり、住宅の一部を宿泊者に貸し出します。

普段の生活の中に宿泊者を受け入れる形になりますので、一種の「ホームステイ」のような感覚です。「子供の独立などによって余った部屋を有効活用する」という特徴があります。

家主不在型は、オーナーが住居内には住んでおらず、宿泊者に民泊施設を貸し出すスタイルです。一般的に「民泊」という言葉でイメージするのはこちらのスタイルで、その数も増加しています。

民泊ビジネスのメリットとリスク

不動産の活用方法として民泊ビジネスと賃貸経営は似ていますが、民泊ビジネスならではのメリットとリスクがあります。

メリット

  • 比較的初期費用をかけずに空家・空室アパートの対策として活用できる。
  • 地域の活性化や地方創生に貢献できる。
  • 立地が悪かったり個性的な物件でも、宿泊客・利用客の確保が期待できる。

リスク

  • 民泊新法で営業日数が年間180日に制限されている。
  • 文化の違い等による近隣トラブルの可能性がある。
  • 設備が壊されたり、部屋を汚されたりするリスクがある。

民泊の運営では、立地条件の良くない物件でも、日本文化を体験したい、少しでも宿泊費用を抑えたいという訪日観光客の需要が期待できます。しかし、文化の違いによるトラブルやリスクもあるため、それらを把握した上で事業に参入しましょう。

検討するなら合法的な民泊事業運営方法の一つ「特区民泊」

民泊新法では、民泊の営業日数を年間180日までとする制限が設けられたため、規制前と比べて収益性が半減しました。

しかし、民泊新法の営業日数の上限が適用されない地域もあります。民泊ビジネスを始めるにはそのような地域を押さえておくと良いと言えます。

日本には、国家戦略特別区域(国家戦略特区)と呼ばれる地域があり、ここでは従来の規制が大幅に緩和されています。以下のような地域が国家戦略特区にあたります。

●東京圏
東京都・神奈川県・千葉県成田市・千葉県千葉市

●関西圏
大阪府・兵庫県・京都府

●その他
秋田県仙北市・宮城県仙台市・新潟県新潟市・愛知県・兵庫県養父市・広島県・愛媛県今治市・福岡県福岡市・福岡県北九州市・沖縄県

国家戦略特区では、内閣総理大臣および都道府県知事から「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」の認定を受ければ、旅館業法の規定が適用されません。つまり、自治体が自ら条例を定めれば、規制が緩和された「特区民泊」が可能になるのです。

特区民泊の主な認定要件は以下の通りです。

  • 施設の所在地が国家戦略特別区域内である
  • 宿泊客の受け入れは2泊3日~9泊10日の範囲内である
  • 滞在者名簿を備え付けている
  • 居室の床面積が25㎡以上である(自治体の判断で変更可能)

特区民泊で民泊ビジネスを始めると、年間180日という営業日数の制限がなくなるため、収益性が上がるというメリットがあります。一方、1泊2日は認められないため、ビジネス出張などの短期滞在には対応できないのがデメリットと言えます。

特区民泊で民泊ビジネスを始めた場合のシミュレーション

もし民泊ビジネスを特区民泊で始めた場合、どのくらいの利益が生まれるのでしょうか?マンションと戸建住宅、それぞれで民泊ビジネスを始めた場合をシミュレーションしてみます。

2LDK(マンション)を民泊として貸し出した場合のモデルケース

1泊1万2,000円×25日運用=30万円
物件家賃10万円、水道光熱費等ランニングコスト4万円、手数料等2万5,000円
利益13万5,000円

3LDK(戸建)を民泊として貸し出した場合のモデルケース

1泊1万6,000円×25日運用=40万円
物件家賃12万円、水道光熱費等ランニングコスト4万円、手数料等4万円
利益20万円

※1カ月31日として8割の稼働を想定し、1カ月の利益を算出

民泊新法が適用される地域では、営業日数が半減するため、ほぼ利益が生じない可能性があります。しかし、特区民泊では日数の上限がないため、うまく利用者を確保できれば安定した利益が期待できます。