雨の多い梅雨は、一年の中でも特にカビが気になる季節です。家の中のカビを増やさないためにはどうすれば良いのでしょうか。カビが発生する条件や生えやすい家の特徴、手軽にできる対策を紹介します。
実は年中対策が必要だった?家でカビが発生する理由
カビの "タネ" である真菌は微生物の一種で、実は常時、空気中に漂っています。
私たちが "カビ" と認識して、カビ臭さを感じたりするのは、真菌がモノに付着し、胞子になるまで繁殖した頃です。カビが目に見えるような状態まで繁殖すると、胞子によってさらに拡散し、周囲にカビが広がりやすい状態になります。
カビは直ちに人体やモノに影響があるわけではありませんが、「夏型過敏性肺臓炎」「アスペルギルス症」「アレルギー性鼻炎」「アトピー」などのアレルギー症状や、「水虫」「真菌性肺炎」などの感染症が起こる可能性もありますので、家の中には極力残さないのが望ましいのです。
カビの発生には条件がある
常に空気中に真菌があるといっても、どこにでもカビが発生するわけではありません。カビは、以下の4つの条件がそろったときに発生・繁殖しやすくなります。
- 酸素がある
- 適度な温度(20~30℃程度)
- 十分な湿気(湿度65%以上)
- 埃(ほこり)やちりなど、カビのエサになるものがある
人が心地よいと感じる湿度は40~60%と言われていますので、カビが発生する湿度65%以上というのは、人が少し湿っぽいと感じるくらい。「除湿をする」「カビのエサとなる埃やちりを取り除く」など、酸素・温度以外から対策を考えると良さそうです。
梅雨時期にカビが発生しやすいと感じるのは?
一年の中でも梅雨にカビが増えるのは、雨が続くことからカビの発生条件である「湿気」が増えるためです。
梅雨の時期に増える洗濯物の部屋干しは、湿度を上げ、カビを発生しやすくしてしまいます。洗濯物を外に干せない場合は「湿気がこもらないように扇風機などを使う」「換気扇のある浴室に干す」「コインランドリーを活用する」など工夫して乗り切りましょう。
しかし梅雨の時期だけ気を付ければ良いというわけではなく、湿気の少ない冬でも条件がそろえばカビは発生します。例えば、暖かい室内と寒い室外の温度差によって生じる結露も、カビの発生源になるので要注意です。
本当は間違っていたカビ対策
やってしまいがちな、実は間違っていたカビ対策の方法をいくつか紹介します。
窓を開けずに掃除機をかける
繁殖したカビは、目に見えない胞子を空気中にまき散らしています。掃除機をかけても、部屋を閉め切ったままだと、排気口から出た胞子が部屋で舞うだけになってしまい意味がありません。掃除機をかける際は窓を開けて、排気口はできるだけ窓の外に向けるよう心がけましょう。
ぬれた雑巾でカビを拭く
雑巾でカビを拭くと一見きれいになったように思えても、実は逆効果。雑巾でカビの胞子が広がってしまうだけでなく、水拭きすると水分を与えてしまい、カビの発生を手助けすることにつながります。同じ雑巾で複数のカビを拭くのはさらにNGです。カビの除去には、カビ取り剤を使うようにしましょう。
入浴後に温度を下げる目的で水をかける
湿気が多くてカビが繁殖しそうだという理由から、入浴後に浴室の温度を下げるため水をかけるのも逆効果です。水はお湯よりも乾燥しにくく、かえってカビが好む水分を長く残してしまいます。
50~60度程度の熱湯をかけると、乾燥しやすいことに加え、カビを死滅させることができます。ただし、高温のお湯を使う場合はやけどの危険がありますので、お湯がからだにかからないよう十分に注意してください。
雨の日に換気扇を回す
換気扇は部屋の湿気を適度に取り除いてくれますが、雨の日はかえって外の湿気を取り込んでしまいます。換気は外の天気も見ながら適度に行い、湿気がこもりやすい場所では扇風機を回して対策しましょう。
カビの生えやすさは家によって違う?!
実は家の構造によってもカビの繁殖のしやすさは左右されます。
カビが特に発生しやすいのは、温度差で結露が発生しやすい「断熱性の低い家」や「空調システムが整っていない家」、隙間が多く湿気を含んだ空気が入ってきやすい「気密性の低い家」などです。
もし自宅がこのような構造なら、隅々まで念を入れてカビ対策を行いましょう。持ち家であれば、リフォームしてしまうのも方法のひとつです。