リフォーム?それとも売却?アパート建て替え以外の選択肢とは

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老朽などによりアパートの建て替えを検討したものの、クリアすべき課題や問題点が多すぎるように思えることもあるでしょう。そんなときは代替案を検討し、次善の策を講じる必要があります。

今回は、「アパートへの建て替えが最善ではない」と考えられるケースと、その際にとれる具体的な手段について紹介します。

アパート以外への建替えや、新たな土地活用を検討する

建て替えをするためには収支計画を立てる必要がありますが、それが必ずしも良好になるとは限りません。

建て替えに必要な費用は、新たに建てる建築費用だけではありません。現在の入居者に対する立ち退き料や建物の解体費用、整地費用などが必要です。

それらの必要資金のトータルと、市場調査によって今後見込まれる収益。これらを比較した結果、必ずしも新築物件が優位になれるとは限らず、事業として採算が合わないこともあります。

例えば周辺環境の変化です。アパートを建設した当時と今を比べたときでは、周辺の不動産投資環境が変わっている可能性があります。近所にあった大学のキャンパスが別の地域に移転されていたり、当時にぎわっていた商業施設がすでに閉鎖されていることも考えられます。

その場合、近隣ではすでにアパートとしての需要がなくなっていることも考えられますので、アパート以外の選択肢を検討したり、他の土地活用方法を検討すると良いでしょう。

例えば、人が集まる土地でないものの、都会からの車のアクセスは便利というエリアであれば、更地にして資材置き場やレンタルボックスとして活用する方法などが考えられます。こうした活用法であれば、投資額を低く抑えながら収入を得られる手段となる可能性があります。

アパートとして適さなくなった場合でも、例えば高速道路に近いなど車の便が良い立地であれば、高齢者施設や商業用地としての利用が考えられます。

現状の環境に応じて、臨機応変に活用方法を変更するというスタンスが有効です。

> 家も建てられない土地を復活させる9つの土地活用術

リフォームを検討する

アパート建て替えを検討し始めたキッカケが、入居者の減少・空室の増加による収益の減少なのであれば、建て替えよりも先にリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

老朽化によって倒壊の可能性があるということでなければ、建て替えよりコストパフォーマンスの良い投資にもなり得ます

リフォーム物件として新築並みの人気が出るケースもある

例えば、築年数が古く、外観的な劣化が目立つようなケースでは、一部のリフォームだけで大きな改善が見られることがあります。

外階段がさびていたり、塗装がはがれていたりすると古びたイメージになりますが、改めて塗装をすることで清潔感のある仕上がりになります。外壁を塗り直したりサイディングボードを取り換えたりすれば、アパート全体の印象を大きく変えることもできます。

コストを抑えながら外観のイメージアップをする方法としては、エントランスや共用部分を新しくするのもおすすめです。既存部分を活かしながら魅力的なデザインに一新できれば、物件のイメージアップに繋がり、新たな入居者の募集に役立つでしょう。

その他の戦略として、意図的にレトロなデザインを取り入れることで人気を出すこともできます。古いのアパートや長屋のような賃貸物件は、雰囲気を残したままおしゃれに改修することで、新築物件にはない魅力を演出できることがあります。

個性的な物件ばかりを集めた不動産情報サイトでは、レトロな雰囲気を残したリフォーム物件が新築並みの人気になっていることも珍しくありません。

補助金や節税でお得にリフォーム

リフォームを行う際には、補助金や税務上の特例を活用できる場合があります。これらを活用することでコストを抑えて、お得にリフォームを行いましょう。

例えば、2017年10月から始まった「新たな住宅セーフティネット制度」では、高齢者などの入居を拒まない「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅」の改修工事について一定の補助を行っています。

また、自治体によっては解体費・設計費などのうち「2分の1」や「3分の1」といった割合の補助金を支給する制度もあるので、合わせて情報をチェックしておくと良いでしょう。

税務上の処理では、改修費用をその期の損金になる「収益的支出(修繕費)」として計上するか、耐用年数にわたって減価償却が必要な「資本的支出(固定資産)」として計上するかによって影響額が変わってきます。

固定資産となる場合でも、3年という短期で償却できる「一括償却資産」の制度や、一定の合計金額まで資産の全額をその期の損金にできる「少額減価償却資産」の制度が利用できるケースがあります。

売却を検討する

アパートの建て替えで収益を上げるためには、長期的な収支計画が重要になります。しかし予期せぬトラブルが原因で、予想以上に時間を要することも考えられます。

たとえば多くの人の頭を悩ませる「入居者との立ち退き交渉」が挙げられます。交渉がスムーズに進まず、訴訟にまで発展してしまい、当初の計画を見直すことになった事例もあります。

また体力や健康面でのリスクもあります。アパートを建て替えた後もずっと健康でいられれば良いですが、大きな事故や病気などのリスクは高齢になるほど高くなります。

これには「投資回収期間」という考え方が重要になります。仮に建て替えやリフォームで得られる利益合計より収入が少なかったとしても、短期間で資金回収できるメリットの方が上回ることもあります。

建て替えやリフォームの投資回収期間が長い場合には、土地と建物を一括して売却し、まとまった資金を確保するというのも一つの方法でしょう。その資金を元手にすれば、他の有利な資産運用に回したり、生活費にあてるなど、選択肢も大きく広がります

満室経営なら高値売却も可能

アパートを売却するのであれば、なるべく高値で売却したいものですが、そのためには物件を購入する不動産投資家がどのような利回り計算をするかを考えることが大切です。

空室がある場合は、賃料を多少安くしてでも満室にして現状利回りを向上させることも考えられます。どのような状態での売却がもっとも有利になるか、仲介会社のアドバイスも取り入れながら検討するのが良いでしょう。

まとめ

建て替えができないケースとしては、上記以外にも建築基準法による制約なども考えられます。建て替えができるかどうか、建て替えができる場合でも他の選択肢と比較して有利かどうかを検討し、最適な方法を見つけましょう。

特集:「アパート建て替え」の成功のカギ

第1回経営しているアパートを建て替えるべきだと判断するポイント
第2回アパートの建て替えを実施するために必要な手続きと流れ
第3回アパートの建て替えで立ち退き問題とは?オーナー目線で考える具体的な解決策
第4回リフォーム?それとも売却?アパート建て替え以外の選択肢とは

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