資産運用でもセカンドオピニオンを有効活用しよう!

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医療の現場では比較的よく知られている「セカンドオピニオン」。しかし昨今では「資産運用においてもセカンドオピニオン」が有用だと言われているのを、ご存知でしょうか。

たしかに大切なお金の運用方法に関しても、複数の専門家の意見を聞くことは施策の比較検討やリスク回避に役立ちそうです。

今回は、資産運用におけるセカンドオピニオンの役割やメリットについて紹介します。

資産運用の「セカンドオピニオン」とは?

セカンドオピニオンは医療業界で浸透してきた考え方

セカンドオピニオンとは、病気やけがの治療を受ける際、病状や治療方針などについて、他の選択肢の有無を含めて主治医以外の専門医に意見を求めることをいいます。

米国では1970年代末頃より普及し始めた概念で、日本においても、患者が治療方針に納得し、より良い治療法を選択するための手段として浸透している考え方です。

資産運用についてのセカンドオピニオンとは

健康や生命にかかわる病状や治療方針についてセカンドオピニオンが有用であるのと同様、大切なお金に関する現状分析や運用方針に関しても複数の専門家から意見を聞くことは有用です。

土地や建物といった不動産、有価証券、保険商品などの資産運用、事業ローンを始めとする資金調達の方針に関して、弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナー、土地家屋調査士、不動産鑑定士、税理士などの専門家から提案を受けることがあるでしょう。

資産運用には法律、税金、商品固有の特性などさまざまな知識が必要です。しかし、それぞれの専門家によって得意分野が異なるため、1人の専門家だけでは完璧な分析や解決策の提案ができているとは限りません

だからこそ、複数の専門家からアドバイスを受けることがとても有用であるといえるのです。

4つのメリット

資産運用に関してセカンドオピニオンを活用するメリットには、以下のようなものがあります。

①いつもと違う専門家の新鮮な意見が聞ける

普段お付き合いしている専門家の提案とは違う、新鮮な意見を聞けるのがセカンドオピニオンの魅力です。新鮮な意見を聞くことで、金融商品の選定や資金配分の方法などに関して新しいアイデアが生まれる可能性も高まります。

②担当者の提案の質が向上する

セカンドオピニオンを活用することで、当初の専門家や営業担当者の意見(ファーストオピニオン)にも緊張感が生まれ、提案の質が向上する可能性も高くなります。

③複数の選択肢から最善の方法を選べる

多様な専門家から、それぞれの専門性を生かしたセカンドオピニオンを受けられることで、ファーストオピニオンも含めた提案の選択肢が広がります。複数の選択肢を検討することで最善の方法を選択することができるようになります。

④手数料などのコストを抑える提案も期待できる

運用商品の取引手数料や維持費などのコストを抑えた提案を受けられる場合が多く、コスト削減につながる取引先を紹介してもらえるケースもあります。

相談方法、窓口について

士業やコンサルタントなどを探して依頼する方法

セカンドオピニオンを依頼する専門家は自由に選ぶことができます。自身で士業やコンサルタントなどの専門家を探して、セカンドオピニオンの打診をしてみることも一つの方法です。

ただし、特定の士業やコンサルタントだけに依頼すると意見の偏りがある可能性もあります。また、依頼した専門家がセカンドオピニオン業務に慣れていないこともあるため、その点には注意が必要でしょう。

不動産会社などの相談窓口を利用する方法も

不動産会社などの相談窓口を利用すれば、多様な専門家のアドバイスをワンストップで受けられることもあります。特にセカンドオピニオンの専用窓口を設けている会社なら、セカンドオピニオン業務に慣れた多様な専門家ネットワークを有していると考えて良いでしょう。

【事例1(土地を相続した甲さんの場合)】

昨年亡くなった父親が保有していた東京都杉並区の土地を売却したいと考えている甲さんは不動産会社のA社に相談してみました。A社からは、土地の上に建っている木造アパートが古いので売却するより建て替えた方が良いとアドバイスされました。

しかし、アパートにはまだ入居者がおり、立退き交渉などに時間がかかることが予想されます。売却資金で母親を老人ホームに入所してもらおうと考えていた甲さんは、現地近くに営業所を構える不動産会社B社にも相談してみることにしました。

すると以下の点について説明を受けました。

  • 立地が非常に良いのでオーナーチェンジでも高値で売れる可能性がある
  • 保有し続ける場合でも簡単なリフォームだけで再び満室経営にできる
  • 不動産を担保としてリフォーム費用や老人ホームの入所費用を融資してくれる金融機関を紹介できる

B社にも相談したおかげで選択肢が一気に広がった甲さんは、母親とも相談しながら家族にとって最適な方法を検討中です。

【事例2(家主から退居するよう言われた乙さんの場合)】

戸建住宅を賃貸している乙さんは、半年ほどの長期海外出張に出かける間、ペットの世話や郵便物の受け取りをしてもらうため、友人に住宅に滞在してもらうことにしました。しかし、乙さん以外の人が住宅を利用していることを知った家主がこれを問題視し、無断転貸を理由に乙さんに退去を要求しました。

仕方なく引越し先を探すために不動産会社C社を訪れたところ、「家主が無断転貸と言うなら仕方ない」ということを前提に、さっそく引越し先をいくつか提案してくれました。他の引越し先候補も検討するため、別の不動産会社D社を訪れたところ、まずは家主の退去要求に正当性があるのか確認する必要があるとのアドバイスを受けました。

D社提携の弁護士の意見によると、無断転貸は確かに賃貸借契約違反に該当するものの、信頼関係が失われるような場合でない限り、家主が一方的に契約解除することはできないということでした。

乙さんは長年何の問題もなく賃貸住宅で生活しており、今回はたまたま急な海外出張で友人に滞在してもらうことになった経緯を家主に説明しました。経緯を知った家主は今後も賃貸借契約を継続することに同意し、乙さんは元の戸建住宅で生活を続けることができました。

将来マイホームを購入するときは、的確なアドバイスをしてくれた不動産会社のD社を最初に訪れることを決意した乙さんでした。

【事例3(不動産収入を運用したい丙さんの場合)】

空き家を保有していた自営業の丙さんは、不動産会社E社を通じて、この空き家を賃貸に出すことにしました。順調に毎月15万円程度の家賃収入が入るようになったため、余裕資金を積み立てようと考え、知人に相談したところ、2018年1月から利用できる「積立NISA」という制度を教えてもらいました。

積立NISAは毎月積み立てるのに適した仕組みとなっており、しかも運用益などが非課税になるというメリットがあることもわかりました。しかし、年40万円までしか投資できないため、他の運用方法がないかE社にも相談してみました。

E社の提携税理士によると、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」なら、自営業の丙さんは月68,000円まで金融商品に拠出することができ、運用益などが非課税になるだけでなく、拠出額自体も所得から控除されるとのことでした。つまり、本来は不動産所得が増えて所得税や住民税も増えるはずですが、iDeCoで節税対策できるというのです。

また、iDeCoとNISAは併用することができます。積立NISAではなく、通常のNISAなら年120万円まで5年間にわたり投資できるため、15万円の不動産収入をiDeCoと通常のNISAの組み合わせで運用すると金額的にもちょうど良いことがわかりました。

不動産投資に興味を持ち始めた丙さんは、NISAの対象商品として「REIT(不動産投資信託)」を選択することにしました。これも積立NISAにはない対象商品だったので、丙さんはE社のアドバイスに大満足です。

制度名 NISA 積立NISA iDeCo
概要 年120万円まで5年間にわたり運用益など非課税で投資可能(累計600万円)。 年40万円まで20年間にわたり運用益など非課税で投資可能(累計800万円)。 運用益などが非課税となるほか、拠出金が所得からできる個人型年金制度。
併用 積立NISAとの併用不可 NISAとの併用不可 NISA or 積立NISAとの併用可能
投資対象 個別株式、投資信託その他(REITも選択可) 積立に適した一定の投資信託など 定期預金、保険、投資信託など

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まとめ

紹介したように、資産運用においてもセカンドオピニオンを利用するメリットが多くあります。大切な資産を守り、有効活用するためにも、多様な専門家の意見を参考にすることを心がけましょう。