世界に目を向けてみると個性的で面白い税金がたくさんあります。「国民の健康を守るため」「社会問題の解決やインフラ整備のため」「取りやすいところから税収を確保する」などさまざまな背景があり、税金を見ればその国の特徴やお国柄がわかるともいえるのです。
今回は、日本を含めた世界各国のユニークな税金を10個ピックアップ。導入された背景や使途などもあわせてご紹介します。
イギリス「渋滞税」
渋滞税は、渋滞が慢性化していたロンドン市内の交通状況を改善と公共交通機関の利用促進のため、2003年に導入されました。
ロンドン市内の特定のエリア・特定の時間帯に自動車で通行すると課金されるシステムで、ハイブリッドカーや電気自動車などの環境にやさしい車、バイク、バスやタクシーは免除となります。
渋滞税を導入してから、渋滞は平均で30%緩和され、ロンドン交通局は効果があったと発表しています。
中国「月餅税」
中国国内ではお菓子の「月餅(げっぺい)」の消費量が多いため、財源確保のために「月餅税」が導入されました。
中国では旧暦の8月15日(新暦では9月~10月頃)の中秋節に月餅を食べるのが伝統的な習慣となっています。また、日本でいうお中元やお歳暮のように贈答用として月餅を贈る風習があるほか、企業の福利厚生として社員に支給しているケースもあります。
アメリカ「ソーダ税」
肥満が社会問題となっているアメリカ。一部の州ではその対策として、肥満の原因となる砂糖が含まれる炭酸飲料に税金がかけられています。
カリフォルニア州バークレー市では2015年から、2017年にはペンシルベニア州フィラデルフィア市で導入されました。
ハンガリー「ポテトチップス税」
アメリカと同様の肥満防止策として、ハンガリーではポテトチップ税を導入しています。
塩分や糖分が多いポテトチップなどのスナック菓子を始め、砂糖が含まれる清涼飲料水やケーキ、ビスケットなども課税対象となっています。
デンマーク「脂肪税」
デンマークでは、2.3%以上の飽和脂肪酸を含む食品(バターやチーズ、牛乳などの乳製品や肉類、食用油、加工食品など)に税金が課せられました。税額は食品に含まれる飽和脂肪酸の量によって決まります。
2011年10月に施行されましたが、食料の価格高騰を招いたほか、隣国のドイツに食料品を買いに行く人が多くなってしまい、およそ1年で廃止となりました。
イタリア「ポルノ税」
イタリアではポルノ雑誌やビデオ、映画に対して25%の税金が課せられています。
イタリアのポルノ市場の総売上額は年間1200億円にも上るため、イタリア政府にとっては大きな財源の1つとなっています。
オーストラリア「学位税」
オーストラリアでは、大学を卒業するときに授与される "学位" に税金が課せられます。
オーストラリアの大学はほとんどが国立で、その授業料は国が負担しています。したがって学生は学位税という形で学費を負担し、大学の運営のための財源に充てられています。
オーストラリアでは大卒はエリートとされ、収入が良い仕事に就きやすい傾向にあり、そこに税の徴収システムの工夫があります。
大学を卒業後、一定以上の収入があれば3〜6%の範囲で学位税を徴収されます。一方、条件に満たない収入の場合は無税となり、貧富の差があっても平等に教育を受けられる機会が与えられてます。
ドイツ「営業税」
労働環境が良く、生産性も高いと言われるドイツでは、店舗などを日曜日に営業する際には営業税が課せられます。
また、「閉店法」という法律があり、飲食店以外の店舗は日曜日に営業ができないと定められています。長時間労働や休日出勤から労働者を守るために、企業の動きを国が厳しく規制しているのです。
ヨーロッパ各国「犬税」
人に対して住民税が課せられるように、ドイツ、オーストリア、オランダ、フィンランド、スイス、チェコなど、ヨーロッパの国々では犬に対して税金が課せられます。
税収は、街に備えられている犬のフンを始末するためのエチケット袋の代金や、街頭の清掃費用に充てられます。
税金を課すことで安易に犬を飼い、放棄したり虐待したりといった問題を防ぎ、飼い主に責任を自覚させるという役割もあるようです。
日本「入湯税」
日本にも「入湯税」という個性的な税金があります。温泉を利用する際に課せられる税金で、基本税額は150円。温泉施設の利用料金や温泉宿の宿泊施設に上乗せされています。
入湯税による税収は1年間で200億以上にも上り、環境衛生施設や温泉施設の整備、観光の振興に使われているとのことです。
まとめ
世界には面白い税金がありますが、それぞれ異なる社会的背景や理由があることがわかります。
今回ご紹介したユニークな税金が、日本における税金の役割を考えてみるきっかけになれば幸いです。
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