2019年に新設された「出国税」とは?課税対象や時期、例外的なケースを解説

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2019年10月1日に10%へと引き上げられる消費税が注目を集めていますが、生活にかかわる税金として2019年1月7日から「出国税」がスタートしたのをご存知でしょうか。

今回は出国税について詳細な内容や支払い方法、今後考えられる生活への影響などをご紹介します。

2019年からスタートした「出国税」

2019年1月7日から国際観光旅客税、通称「出国税」が導入されました。これは船や飛行機などを使って日本を出るときに課される税で、日本からの出国1回につき1,000円が徴収されます。

飛行機を利用する場合、航空券以外にも以下のような料金が発生します。

国内線

旅客施設使用料

ターミナルの施設維持やサービス提供のための料金。1回につき数百円程度、空港税ともいわれる。

国際線

旅客施設使用料

1回につき1,000~3,000円程度。

旅客保安サービス料

手荷物検査など保安維持のための料金。1回につき500円程度。

燃油サーチャージ

燃油料の価格による調整額。

航空保険特別料金

航空会社が支払っている損害保険のうちの一部負担金。1回につき数百円程度。

国際線航空券発券手数料

窓口でチケットを購入する場合に5,000円程度付加される。

課税対象になる人

ビジネス、観光、留学、就業など原則として目的を問わず海外に行く日本人に課税されます。来日していた外国人が帰国する場合、日本を経由して海外に行く旅行者も課税対象です。

課税対象にならない人

飛行機などの乗組員、強制退去者、天候などのやむを得ない理由で海外に行けず日本に戻ってきた人は不課税対象となります。また、24時間以内に出国する乗り継ぎ客や、2歳未満の子供は非課税対象者となります。

公的な理由などで税金の免除を受けられる場合もあります。国賓や公用で日本に派遣されてきた人や、公用で日本に滞在していた国連軍や合衆国軍などが該当します。

出国したものの、途中で日本に帰着した場合

出国税は基本的に出国とともに賦課されるものですが、出国したものの天候などの影響で海外に帰着することなく日本に戻った場合などは課税されません。航空券の支払いで一度は支払っているものなので、どのように還付されるのか確認しておきましょう。

対象となる期間は?

出国税は、2019年(平成31年)1月7日以後の出国から課税対象となりました。基本的に1月7日よりも前に契約した航空券については課税されませんが、出国税の徴収について契約に明記されている場合は課税対象となります。

出国税が導入された背景と目的

出国税が導入される背景には、日本国内の観光資源の充実させ、資源に乏しい日本の経済を観光によって活性化させるねらいがあります。

政府は、2016年時点で年間2,400万人だった訪日外国人客の数を、2020年には4,000万人、2030年には6,000万人に拡大することを目指しています。

訪日外国人を増やすには、海外に日本を接客的にアピールする機会を作っていくほか、海外からの観光客が安心して日本で過ごせるよう観光施設を充実していく必要があります。その財源確保のために出国税が導入されました。

観光地の行き方やイベント情報、宿泊先や両替ができる場所といった情報をすぐに手に入れられるようなアプリの開発や、顔認証システムによる出入国審査の迅速化、Wi-Fi使用可能箇所の増設、観光地での多言語案内板の設置といった環境整備に使われる予定です。

2020年の東京オリンピックの開催も視野に入れて、2019年にスタートします。国内の観光資源整備によって国内旅行がより快適になることは、国内に住む日本人にとってもメリットです。

税金の支払い方法

出国税は、航空券などに上乗せされる形で支払うことになるため、別途納税手続きなどは必要ありません

特別なケースではどのように支払う?

プライベートジェットなどで出国する場合はチケットに上乗せする形での徴収ができません。そのため、利用者自らが観光旅客税を別途支払う必要があります。納税については、出国前に税関で済ませておかなければなりません。

納税地になるのは、出入国港の所在地を管轄する税務署です。ただし、プライベートジェットなどの利用者であっても、ハンドリング業者(地上作業サービス業者)や代理店に委託している場合は、代理の手続きで直接支払わなくてもよいケースもあります。