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「高福祉・高負担」で有名な北欧三国の税事情から見る日本の現状と未来

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スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの北欧三国は他国と比較して社会保障制度が充実していると言われていますが、その分税率が高いことでも有名です。

そこで今回は北欧三国のそれぞれの税制と税の使途を見ながら、世界から見れば税負担が低い日本の現状と比較して、その特徴を紐解いてみましょう。

「高福祉・高負担」とは

「良いサービスを受けるためにはそれなりの負担をしなければならない」「国民全体で負担をし、お互いを支え合う」というのが高福祉・高負担の考え方です。

北欧の三国は特に福祉サービスや医療制度、セーフティーネットが充実しており、その代わり制度を維持するための財源となる消費税の税率が高いのが特徴です。

北欧三国の税制と使途

(※1) 財務省 消費税などに関する資料 食料品に対する付加価値税適用税率の国際比較(2004年4月現在)
(※2) (※3)財務省 国際比較に関する資料 OECD国民負担率(対国民所得比) (2004年4月現在)
(※4) NOSOSCO 21:2003 日本/厚生労働省「国民の福祉の同行」2003年
引用元:北欧の社会保障政策の特徴|福祉用具なら【矢崎化工kaigo-web】

日本と北欧三国を比べると「国民負担率」に大きな差があることがわかります。

国民負担率とは、「租税負担率(租税額の国民所得に対する負担率)」と「社会保障負担率(社会保険料の国民に対する負担率)」を合計したもので、国民がどの程度の税負担をしているのか分かる指標です。

上の図を見てみると、フィンランド・ノルウェー・スウェーデンの三国の国民負担率が55%を超えており、日本の負担率の約1.5倍程度にもなります。

消費税で比べても大きな差があります。日本の消費税は現在、一律8%と定められています。一方スウェーデンとノルウェーの付加価値税の税率は25%、フィンランドは24%と、日本の3倍もの消費税を支払わなければいけません。

※「消費税」と「付加価値税」は、一般消費者にとって違いはなく、同じものだと考えてください。海外ではしばしば「付加価値税」と称しており、それは考え方の違いによるものです。

これほど高額な税金は、何に使われているのか、各国の税制や使いみちを紐解いてみます。

スウェーデン

スウェーデンでは子育て支援に力を入れており、児童手当と両親手当が支給されます。子供が16歳になるまで金銭的な援助を受けられ、子供1人あたり480日間の育児休暇も支援しています。

また、出産費用や20歳までにかかる医療費、大学までの学費も無料。「ベビーカーを利用している母親はバスを無料で利用できる」という特典もあります。疾病や障害をもつ子供には別途手当が支給されます。

スウェーデンの付加価値税率は先述のとおり25%ですが、軽減税率が導入されていて、食料品は12%、書籍や新聞、公共交通機関の利用は6%と定められています。生活必需品に関しては比較的安い税率で購入できます。

※軽減税率とは、標準税率より低く抑えられた税率のこと。 消費税(付加価値税)は所得に関係なく一律同額の税金を支払うため、低所得者は相対的な負担割合が高くなってしまいます。そこで、食品や生活必需品など一部の対象品目に対する税率を低くすることで、低所得者の税負担を緩和する効果があります。

ノルウェー

国連開発計画(UNDP)が発表している国民の豊かさ指数「人間開発指数(HDI)」で毎年トップにランクインされてきたノルウェー。付加価値税率は25%、食料品に関しては15%という高い税率で、世界一物価が高い国ランキングでも上位に選ばれています。

ノルウェーでは出産費用や学費は無料。医療費も年間自己負担額を超えた分に関しては無料となります。

高齢者に対して、医療や年金などの社会保障を充実させつつ、社会参画を推進しています。元気な高齢者は現役として働ける・地域社会で活躍できるよう、国として支援しています。

高齢者を資産とすることで国力の向上を促しつつ、高齢者自身の幸福度の向上にも寄与しています。

フィンランド

フィンランドの付加価値税率は24%ですが、軽減税率が導入されており、食料品や外食は14%、本・医薬品・宿泊サービス・公共交通機関の利用は10%となっています。国民負担率は世界第3位という高負担の国です。

学費は大学まで無償。住居手当や勉学手当も支給されます。「学校間・個人間の学力格差を極力なくし、全体を底上げする」という考え方が教育に反映されており、教育制度や設備が充実しています。生徒の学習到達度調査(PISA)では世界1位と評価されるほどの教育大国です。

北欧三国に共通する特徴

北欧三国に共通するのは、国が責任をもって国民の面倒を見るという「大きな政府」のもとで政策が行われるという点。全人口に対する福祉や公共サービスに従事する公務員の割合が格段に高いのも、北欧三国の特徴です。

そんな北欧三国では「政府を監視する」という考え方が一般的で、国際的な調査結果では政治家や公務員の汚職が少ないと評価されており、税金の使途に関しても事細かに公開されます。

学費や医療費の無償化、各種手当など、わかりやすい形でサービスに還元されており、国民がリターンを直接的に実感しやすくなっています。

払った税金の分だけ目に見えるメリットが享受でき、政府や役所の透明性が高いからこそ、高い税負担でも不満が出にくいと考えられます。

日本の税制と使途

一方の日本ではどうでしょうか。北欧三国と比較すると、教育にお金がかかり、待機児童問題など子育て支援が整っていない側面があります。生活保護費の減額や、年金破綻など老後に対する不安を持つ人も多いのが現状です。

消費税を含む増税の議論が活発になされていますが、税金の使途や増税の理由が明確になっていないのが、現在の日本の問題点であるといえます。

しかし、北欧三国と日本では考え方や政府の体制が異なる点も、理解しておかなければなりません。

北欧三国では政府が積極的に市場へ介入し、社会の平等や富の再分配と、個人への高福祉、完全雇用を重視しています。こうした「大きな政府」を運営するために莫大な税金が必要となります。

一方日本が目指すのは「小さな政府」。政府が権限を持つのではなく、サービスの提供は民間が主導という考え方が根底にあります。そのため、政府から提供されるのは最低限必要なサービスにとどまり、代わりに税負担も少ないというのが特徴です。

まとめ

「充実した社会保障制度」というのは、一見すると非常に魅力的に映ります。しかし「小さな政府」を主体する日本ならではの良さがあるのも事実で、必ずしも「高福祉・高負担」が日本にとって最善とは言えないかもしれません。

ある一面だけを見て判断するのではなく、広い視野と正しい知識を持って政治家を選出する。それが私たちにとって大切なことだと言えると思います。

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第1回日本の消費税は意外と安い?世界の消費税ランキングベスト10
第2回「高福祉・高負担」で有名な北欧三国の税事情から見る日本の現状と未来
第3回日本の相続税は本当に高いのか?世界と日本の相続税の違いと特徴
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