税務調査がチェックするのは?
税務調査には、国税局査察部が裁判所の令状を取得して強制的に行う「強制調査」と、国税局調査部や各税務署が納税者の同意を得て行う「任意調査」の二種類があります。一般的にいう「税務調査」は後者に当たるものです。任意の調査とはいえ、調査官には「質問検査権」があり、質問に対して黙秘したり、虚偽の回答をした場合は罰則を受けることになります。
調査は、まず税務署から電話で調査を行いたい旨の連絡があり、日程の調整が行われます。今日連絡が来て即日、とか明日からということはありません。調査は基本的に2日間。実施日は双方の都合を折り合わせて決められます。最初の連絡があってから、一週間から10日程度は猶予があると考えることができます。過去5年分の経理資料は用意しておくことが必要です。
業務の内容や業界の動向、受注から代金回収までの取引の流れ、仕入れや支払いの方法、人件費やその他の経費の支払いの方法などについて、まず一般的な質問があり、その後、税務署員の経理理資料の調査が開始され、その都度、あるいは一日の調査終了後にまとめて、疑問点に関する質問が行われます。
とくに税務署がチェックするのは、次のような点です。
- 売上の計上漏れや売上時期に先送りなどがないか
- 仕入れの架空計上や時期の先取りなどがないか
- 接待交際費の計上が適切か
- 必要経費の計上が適切か
- 人件費に架空のものなどがないか
こんな時は調査の可能性が高くなる
税調査の件数が、対象数に対してわずかであることは先に触れたとおりです。つまり、実施する税務署の立場から見れば、「手ぶら」で帰るわけにはいかない、税務調査を行ったら確実に成果を上げることが必要だということです。そのため税務署としては、あらかじめ申告書類や納税の実態を見て、不正が行われている確度が高いと見込んで調査を実施しています。
とくに「売上や利益が急激に伸びている」「例年になく多額の経費が計上されている」「大きな設備投資が行われている」といったことが顕著に見られる法人で、しばらく税務調査が実施されていない場合などは、対象となる確率が高くなるといえるでしょう。
もちろん日頃からしっかり帳簿を管理し、関連書類も保管していれば、何も心配はありません。見解にくい違いがあるときは堂々と議論すればよいのです。