「空室待ちリスト」ができる人気のアパートとは?

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空き家問題にも見られるように、現在、人口減少にともない住まいが"余る"時代に突入しています。将来は、2軒に1軒は空き家になるといわれている時代。しかし、そんな時代であっても、どうしてもここに住みたいという人気の賃貸物件は存在します。入居者が空室待ちの状態であれば、オーナーにとってはある一定の期間、空室リスクのないという状態になり、アパート経営は安定します。そこでここ数年、企画型で成功しているアパートの例や、企画の考え方をご紹介します。

猫ブームでペットと暮らせるアパートは人気

犬か猫、いずれかのペットを飼う場合、従来は犬が多かったのですが、最近は猫の割合が増え、飼育頭数は犬猫がほぼ拮抗する状態となっています。これは、映画やドラマ、CMなどで猫の露出度が上がり、また、共働きや高齢者の増加などから、犬に比べ飼育に手間がかからない猫の人気が上がっているからだと見られています。こうした猫ブームも手伝って、ペットを飼ったり、今後飼いたいと思う人が増えています。実際、推定されるペット数(犬、猫)は現在約1,979万頭。子供の数(15歳未満人口)が1,605万人(2016年4月1日現在)ですから、子供の数より犬猫の飼育数のほうが多いことになります。

ところが、実際にペットが飼える賃貸物件となると、それほど多くありません。なかなかペットが飼えないというのが実情です。

オーナー側からみれば、入居者の退室に伴う費用やその維持コストがオーナーの負担になったり、初期投資コストがかかるために建築は敬遠されがちでした。しかし、将来の空室の不安や賃料の値下がりリスクを考えると「ペットを飼いたい」という特殊な需要層に対応したアパートであれば、一定の賃料や入居率が維持できるというメリットは大きいようです。

犬は約991万頭、猫は約987万頭

犬、猫の飼育頭数(推定値)

2016
世帯数 55,364,197
飼育率(%) 14.42 10.09
飼育世帯 7,985,000 5,588,000
平均飼育頭数 1.24 1.77
飼育頭数 9,917,000 9,874,000

資料:一般社団法人ペットフード協会

注目されているペット共生型の賃貸住宅

単に「ペットが飼える」というだけなら、そのような物件は多くなりつつあります。例えば、入居率が悪いため、空室対策としてペット可という策を取っていることによります。ところが、この場合、ペットの鳴き声がうるさいなどと他の入居者とのトラブルになりがちです。

そこで、初めから入居者がペットを飼うことを前提に土地利用計画や建物の設計がされる物件ができるようになりました。こうしたタイプを「ペット共生型の賃貸住宅」と呼んでいます。

ペット共生型の賃貸住宅であれば、入居者全員がペット好きですから犬や猫の鳴き声などにも寛大であり、肩身の狭い思いをしないで生活できるというのが入居者とってのメリットです。こうした物件であれば、「空室になるまで待つ」という入居待ち現象が起きてもおかしくはありません。

ペット共生型の賃貸住宅の設備はどんなもの?

ペット共生型の賃貸住宅は、飼育環境や生態を考慮した設備が必要です。

例えば、ドックラン、ペット用の足洗い場、ケージを置くペットスペースやペット用ドアなどがあります。また、猫用のキャットウォークなども必要な設備です。

その他に、壁クロスに見切りをつけて、汚れやすい下部だけ貼り換えすることができるなど、メンテナンス費用を抑える工夫も必要です。加えて、ペット飼育を知る管理会社と連携して入居募集と管理を行うことが必要でしょう。最近ではペット専門の管理会社もありますので、そうした管理会社に管理委託するケースもあります。なお、ペット共生型の賃貸住宅とする場合は、換気や清掃に配慮した設備計画や運用となるために費用がかさむ、退出後の原状回復に手間と費用がかかる、といったことがあり、あらかじめ留意しておく必要があります。

希少価値のある賃貸住宅

ペット共生型の賃貸住宅のように、ニーズがあるものの対応する物件数が少ないものは希少価値が高くなります。楽器演奏や声楽などを学ぶ音大生、音楽を生業としている人向けの防音装置を備えた賃貸物件もその一つです。これらの物件は、仮に敬遠されがちなバスを利用しなければならない立地であっても人気物件になります。ほかにも、女性の視点でセキュリティ設備に配慮した物件なども考えられます。ニーズは一部の人のものであっても、それにしっかり応えた物件は希少価値が高く、「空室待ちリスト」ができる人気のアパートになります。

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