東京都が実施する「起業家」と「空き家所有者」のマッチング事業に注目集まる

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近年、空き家の増加が社会問題となっています。そんな中、東京都が推進している起業家と空き家をマッチングするという「起業家による空き家活用モデル事業」が、新しい空き家対策として注目されています。

今回はその取り組み内容に加えて、起業家が空き家を活用した事例や、市区町村で独自に行われている空き家対策の実例をご紹介します。

東京都の空き家の現状

空き家数の推移(東京都)

参照元:空き家の現状と取組【資料集】

東京都都市整備局によると、東京都内には2013年現在で約82万戸の空き家が存在するとされています。空き家の数は年々増加しており、そのペースは衰えることがありません。

全国レベルで見ると2013年には820万戸の空き家が存在し、2018年には1,000万戸を突破、2033年には倍の2,166万戸になると予想されています。

空き家は倒壊や犯罪の危険性のほか、衛生面や景観に悪影響を及ぼします。対策として2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、行政が解体の通告や強制対処が可能になりました。

関連記事:空き家対策特別措置法から3年!空き家問題の現状と各自治体の取り組み状況

東京都が起業家と空き家のマッチング「起業家による空き家活用モデル事業」

空き家が減らない要因のひとつとして、所有者が抱える「空き家をどのように活用したらいいのかわからない」という悩みがあります。その一方で東京都では、社会問題や課題に関心をもつ起業家が多く、新しい発想で空き家を活用する事例も増えています。

このことに着目し、2018年度から東京都産業労働局が主導となり、「起業家による空き家活用モデル事業」が開始されました。

モデル事業の仕組みと特徴

不動産業者などから選出された空き家コーディネーターが、「起業家」と「空き家所有者」の仲介等を行います。空き家コーディネーターは、起業家からの空き家活用に関する相談窓口となり、ビジネスモデルに最適な空き家を紹介し、空き家所有者との賃貸借契約の締結を調整します。

この事業の特徴は、起業家・空き家所有者・空き家コーディネーターの三者に助成金が交付される点にあります。

起業家は空き家を活用した事業プランを東京都に提出し、採択されれば最大300万円の助成金が交付されます。空き家を提供する所有者は、最大3年間管理費(固定資産税、都市計画税)相当の補助が受けられます。空き家コーディネーターには最大100万円の助成金が交付されます。

空き家活用モデル事業を利用する為に必要なこと

空き家活用モデル事業を利用するにはまず、東京都に申請をしなければいけません。この応募をするにあたってはさまざまな条件がありますので、検討される際は気をつけてください。

応募条件

「都内の中小企業者の内、法人登記を行ってから5年未満の法人や開業の届出を行ってから5年未満の個人」、もしくは「法人登記を行ってから5年未満の都内の特定非営利活動法人」のいずれか。

応募対象となる事業プランの条件

「新たな空き家の利活用としてモデルとなるような事業プランであること」「事業プランを実施することについて、近隣住民等の理解を得られている、または得られる見込みがあること」など、大小合わせて8つの条件があります。

スケジュール

助成を受けるためには審査や面接を通過しなければいけません。事業プランの申請期間は2018年9月10日~9月28日です。10月に書類審査、11月上旬に面接審査があり、中旬には採択事業者が決定。2019年3月中旬には助成金の交付が決定されるというスケジュールです。

詳しい条件やスケジュールなどは、東京都産業労働局のホームページにある『起業家による空き家活用モデル事業』を確認してみてください。

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