【2019年版】土地の公示価格を徹底分析!今後の不動産価格はどうなる?

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地方四市の傾向

地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)も、いずれの用途においても5年連続上昇となりました。特に商業地の上昇がめざましく、昨年7.9%上昇と高い水準にも関わらずさらに上昇し、9.4%の上昇となっています。

住宅地、商業地ともに宮城県仙台市(住宅地5.8%上昇、商業地10.7%上昇)と福岡県福岡市(住宅地5.3%上昇、商業地12.3%上昇)の上昇が目を見張り、広島県広島市、北海道札幌市においてもそれぞれ高い上昇率を示しています。

北海道札幌市の住宅地においては、平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震により一部需要の減退が見られますが、地下鉄駅徒歩圏を中心に引き続き需要が堅調。全体としては上昇しています。

地方圏その他

地方圏のその他の地域については、住宅地と全用途についてマイナス成長となりましたが、いずれの地域でもマイナス幅を縮小。商業地については前年度対比0%に回復し、工業地では0.4%上昇とプラスに転じています。

沖縄県那覇市の成長は著しく、沖縄都市モノレールの延伸による利便性の向上や、国内外からの観光客の増加を背景に、住宅地で10.6%、商業地で17.5%の上昇をみせています。

特に沖縄の離島である宮古島の人気が急上昇。「宮古島バブル」といわれるほど好景気となり、住宅地平均価格の変動率は前年比1.8%、商業地では2.8%のプラスとなりました。

その他特徴的だったのは佐賀県鳥栖市です。福岡市へのアクセスの良さや市内の人口増加、交通アクセスに優れることによる物流施設の需要の強さから住宅地で1.3%、商業地で1.8%、工業地で9.0%の上昇となっています。

今後の見通し

東京オリンピック前後の地価動向とリニア中央新幹線

2020年に開催される東京オリンピック後は、公共投資の減少や訪日外国人の減少等を理由に景気が減退し、地価にも影響を及ぼすことが考えられます。

ただし「オリンピック開催年に経済成長率がピークをつけて、その翌年には一時的に失速する」という流れは多くの開催国に共通することではありますが、必ずしも低迷するわけではありません

2008年に北京でオリンピックが開催した中国では、開催年に9.6%だった成長率を、翌年は9.2%と微減に留めました。1998年アトランタで開催されたアメリカでは、開催年に3.8%だった成長率を、翌年には4.5%まで伸ばした事例もあります。

その他、2004年アテネ(4.4%→2.3%)や2000年シドニー(3.8%→1.9%)においても大きく落ち込んだとまではいえません。

日本ではオリンピック後も、2025年には大阪万博が開催、2027年にはリニア中央新幹線の開業を予定しているなど、地価上昇につながる要素もあります。

来年の公示価格発表日予測

公示地価は、毎年1月1日を基準に不動産鑑定士が鑑定を行い、3月下旬に発表されるもので、相続などの参考ともなる重要な指標です。

2019年の公示地価の発表は3月19日でしたが、2020年も例年と同じく3月下旬頃の発表となると予想されます。

来年の公示地価の発表は東京オリンピックの開催まで半年を切った2020年3月下旬で、特に地価の動向に注目が集まる日になりそうです。

まとめ

2019年の公示地価はほぼ全ての圏域においてプラス成長、さらに上昇幅を翌年より伸ばしたという結果になっています。

特に2020年の東京オリンピックを控え、訪日外国人の増加による店舗やホテル需要増の影響が大きい地域が多いですが、2020年の東京オリンピック開催後は大阪万博やリニア中央新幹線開業を見据え、どのように推移していくのか注目していく必要があるでしょう。