確定申告のポイント「所得税」を知るステップ! 所得・所得税額・納税額とは

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確定申告の時期(2月16日〜3月15日)が近づき、ユーウツな気分の人もいるかもしれませんね。でも、確定申告はちゃんと申告すれば、人によっては少なくないお金が返ってくるおトクな制度だと、まず理解しましょう。

それでもどこか面倒な印象があるのは、お役所独特の用語の難しさが一因です。そこで今回は、確定申告の基本となる用語をなるべくカンタンに解説しましょう。

ステップ1 「所得」

「収入」から「経費」を差し引いたものが「所得」です。

【収入】

自分のお財布に入ってきたという意味では同じお金でも、税務上では厳密な区別があります。

「収入」というのは、まさに懐に入るお金のすべて。サラリーマンなら源泉徴収票に書かれた「支払金額」のことです。自営業なら「売上金(年商)」。開業医なら「社会保険料収入と自由診療代金の合計」がそれに当たります。

【所得】

所得税の対象となるのがこの「所得」です。

種類 概要 計算方法
不動産所得 土地や建物などの不動産、借地権などの上に存する権利などによる所得 収入 - 経費
事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などから生ずる所得 収入 - 経費
給与所得 勤務先から受ける給料、賞与 収入 - 給与所得控除額
譲渡所得 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得 収入 - (所得費 + 譲渡費用) - 特別控除額

【経費(必要経費)】

必要経費とは「その所得を得るための経済活動と密接に関連し、客観的に見て必要とされた支出」です。

必要経費については、その範囲や対象が細かく決められていますが、事業所得、不動産所得、雑所得の必要経費は基本的に以下のものとされています。

(1) 収入を得るために直接必要とした費用
(2) その年の販売費、一般管理費(交通費や人件費など)その他の業務上の費用

事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。所得税や住民税、罰金、科料及び過料、公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。

【減価償却】

事業に用いられる建物や附属設備、機械、器具、備品などは、時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。
(土地や骨とう品などは時の経過によっても価値が減少しないので、減価償却資産にはなりません)

減価償却資産の取得に要した金額は、取得時に全額が必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくことになります。
(この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が「財務省令の別表」に定められています)

減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を、各年の必要経費として配分していく手続きのことを指します。
(ただし、使用可能期間が1年未満のもの、または取得金額が10万円未満のものは、全額を取得した年の必要経費とします)

ステップ2 「所得税額」

所得から控除額を引いたものが課税対象となる「所得金額」です。
それに税率を掛ければ所得税額が出ます。

【控除(所得控除)】

収入から経費を引くと所得額が出ます。課税対象額が決定する前に全部で14種類の「所得控除」があります。適用には条件があります。詳しくは国税庁ホームページを参照してください。

雑損控除 障害者控除
医療費控除 寡婦(寡夫)控除
社会保険料控除 勤労学生控除
小規模企業共済等掛金控除 配偶者特別控除
生命保険料控除 配偶者控除
地震保険料控除 扶養控除
寄附金控除 基礎控除

参考リンク:所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|所得税|国税庁

ステップ3 「納税額」

所得税額から「税額控除」がおこなわれます。それが納税額というわけです。

税額控除

もうひとつ「税額控除」と呼ばれる「控除」があります。所得税額から直接一定額を差し引くことができるので、節税効果の大きいものです。

配当控除 総合課税の配当所得がある場合に、原則として、配当所得の金額の10%または5%に相当する金額を控除
外国税額控除 日本で課税される所得の中に外国で生じた所得があり、その所得に対してその外国の法令により所得税に相当する税金が課税されている場合に、一定額を控除
政党等寄附金特別控除 認定NPO法人等に対して一定の寄附金を支払った場合に、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除
認定NPO法人等寄附金特別控除 政党又は政治資金団体に対して政治活動に関する一定の寄附金を支払った場合に、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除
公益社団法人等寄附金特別控除 一定の寄附金のうち、一定の法人に対するものについては、寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除き、一定額を控除
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除 住宅の新築、取得又は増改築等をした場合
住宅耐震改修特別控除 一定の要件を満たすバリアフリー改修工事又は省エネ改修工事あるいは多世帯同居改修工事をした場合に一定の金額を控除
住宅特定改修特別税額控除 平成18年4月1日から平成31年6月30日までの間に、住宅耐震改修をした場合に、一定の金額を控除
認定住宅新築等特別税額控除 認定長期優良住宅や低炭素建築物に該当する家屋を新築した場合に一定の金額を控除

控除内容の詳細やその他の税額控除の内容については国税庁のホームページで確認してください。

確定申告のポイントとなる「所得税」のステップとあわせて、「収入」「所得」「経費」「減価償却」「控除」の用語に強くなれば、確定申告が求める所得税算出のための基本的な考え方と流れが分かります。確定申告がスムーズに進むように、ぜひ憶えておいてください。