2020年までにサービス開始予定の新仮想通貨Jコインとは

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア

2020年に日本の銀行連合から仮想通貨の「Jコイン」が誕生予定となっています。仮想通貨が注目を浴びるなか、「Jコイン」にはどんなメリットがあるか、そもそもどんなものかをご紹介します。

> ビットコインの今とその他の仮想通貨事情!あの時買っていればいくら儲かったか?

Jコインの特徴と他の仮想通貨との違い

2017年9月、みずほフィナンシャルグループは、新しい仮想通貨「Jコイン」を扱う新会社を設立することを発表しました。ゆうちょ銀行や地方銀行など、約70行が提携先に名を連ねており、2020年までにサービスを開始する予定です。

Jコインは従来の仮想通貨と違い、価値が日本円と常に連動しており、日本円と等価交換ができます。

相場が変動しないのが特徴であるため、値上がりが期待できず、資産としての魅力はそれほどありません。その分リスクも少ないため、「仮想通貨は相場が暴落しそうで怖い」というイメージを持っていた方でも安心して保有できます。

基本的な機能は「Suica」などの電子マネーと同様で、銀行口座にある円をJコインに換えておけば、キャッシュレスでの支払いが可能です。

電子マネーやポイントカードとの違いは、「他のJコイン利用者とリアルタイムでお金のやり取りができる」ことです。たとえば、食事会の幹事が複数の人から会費を集める場合にも、Jコインを使えばキャッシュレスで集金ができます。

Jコインの構想はなぜ生まれたのか?

世界全体が現金の取り扱いを減らし、キャッシュレス社会に向けて動いています。

Jコインの構築には、日本の金融機関として世界を相手に戦える仮想通貨の仕組みを構築したいという思惑があります。みずほ銀行をはじめとした日本の大手金融機関が連携してJコインの普及に努めれば、仮想通貨に対する心理的な抵抗感を薄めることができると考えています。

また金融業務のコスト削減にもつながります。現金の取り扱いには、人件費や保管場所の確保などのコストが生じますが、Jコインが普及しスマートフォンで決済する仕組みが広まれば、ATMの台数や人件費などが削減できます。

日本を訪れる海外からの観光客にも、Jコインを使用するメリットがあります。

たとえば、中国では「アリペイ(支付宝)」というモバイル決済サービスが支払い方法として一般化するほど普及しています。スマートフォンやQRコードを介して買い物の代金を決済することが可能で、携帯電話番号さえ分かっていれば利用者同士で送金できる仕組みです。Jコインはこのアリペイとの接続を目指しています。

また、米・アップル社の「アップルペイ」を使用している人は、クレジットカードやプリペイドカードの本体を持ち歩かなくても、iPhoneだけで決済ができます。仕組みは違いますが、iPhoneだけで決済できるのはJコインでも同様です。これにより現金を持ち歩くことに伴うリスクを抑えることができ、観光客が決済するときの労力を省くことができます。

アリペイ(支付宝) ●事前にアリペイに登録した中国国内の銀行口座からチャージして支払いができる。
●スマホアプリでの支払い、アリペイ対応レジの近くに設置されたQRコードでの支払いができる。
●中国国内で契約した携帯電話番号が口座番号代わりのため、相手の携帯電話番号が分かれば送金ができる。
●アリペイの利用者同士でお金のやり取りができる。
●預金サービスの機能がある。
アップルペイ ●クレジットカードやプリペイドカード、電子マネーの情報をiPhoneアプリに登録し、スマートフォンがあれば決済ができる。
●何枚ものカードを持ち歩く必要がなくなる。
Jコイン ●手持ちの日本円をJコインに交換しておけば、店頭ではスマートフォンアプリを使って決済ができる。
●1Jコイン=1円の等価交換である。
●Jコイン専用の個人口座間ではお金のやり取りが手数料無料でできる。

Jコインが金融機関と消費者にもたらすメリット

Jコインでの決済が普及すれば、利用者の買い物や送金の履歴についてのビッグデータを収集できます。これらのデータを分析し、消費者のニーズに応じた新しい商品やサービスを生み出すことができます。

またJコインであれば、銀行の営業時間を気にせず、国内でのお金のやり取りをスムーズに行えます。個人間のお金のやり取りについては手数料が無料であることが特徴です。

日本ではクレジットカードが普及していますが、クレジットカード決済を導入する店舗や企業は加盟店手数料を支払わなければなりません。加盟店手数料が高額になると、導入したくでもできないという企業も出てきます。

一方、Jコインはクレジットカードなど従来のサービスに比べ、加盟店手数料を下げることを想定しているため、加盟店数の伸びが見込まれます

今後、国内で多くの銀行が提携して運用できれば、送金手数料を抑えつつリアルタイム送金が可能なJコインが、日本国内での送金手段として主流になっていく可能性もあります。また、他のデジタルマネーとの交換を可能とすることで、利用者の利便性を高めていく予定もあります。

銀行 ●現金を取り扱うコストを削減できる。
●消費者の行動についてビッグデータを収集することができる。
●消費者のニーズに応じた商品開発につなげることができる。
●加盟店からの手数料を得られる。
企業・商店 ●クレジットカードより安い手数料でJコイン加盟できる。
●キャッシュレス決済を導入し消費者の利便性を高め、客数や売り上げの増加につなげることができる。
●アリペイとの接続が実現すれば、その利用者に利便性をアピールできる。
消費者 ●相場の変動を心配することなく仮想通貨を使うことができる。
●個人間での送金を、手数料無料で行うことができる。
●店頭でキャッシュレス決済を利用することができる。
●他のデジタルマネーとの交換が可能。

Jコインの始動に向けた今後の動き

2020年の本格運用開始に向けて、2018年3月までに実証実験が行われる予定です。専用アプリは2020年までにサービス開始予定です。

また、Jコインに似た仮想通貨として「MUFGコイン」があり、この2つが統合される可能性も示唆されています。

MUFGコインとは三菱UFJフィナンシャル・グループが開発を進めている仮想通貨です。Jコインと同じく「日本由来の仮想通貨」「1コイン=1円交換」「24時間365日送金可能」「手数料無料」といった特徴があります。

双方とも同じメリットを持っているため、一つに絞った効果的であるという見方もあり、将来的には銀行全体で日本を代表する一つの仮想通貨が誕生するかもしれません。

まとめ

仮想通貨といえば「一発大当たりを狙った投機目的」といった印象を持たれがちですが、「Jコイン」では一変して実用性や利便性を向上させるものとして注目が集まっています。

ただし仮想通貨はIT技術に依存して運用されるものですので、リスクについてもよく確認しておきましょう。悪意のある第三者が仮想通貨運用システムに侵入するという、従来の貨幣や紙幣にはないリスクもあります。他の仮想通貨では、ハッキング被害によって倒産したケースがありました。

日本円と連動する仮想通貨として、注目を集めているJコイン。他の仮想通貨との互換性や、加盟店数の伸び方、セキュリティ面での対策などを比較し、利用に値するか見極めていく必要がありそうです。