高利回りの百貨店友の会がお得な理由と賢い運用方法とは

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百貨店離れを食い止めるため、近年、各社とも友の会の普及強化を行っています。百貨店をよく利用する人には、賢く利用するためのチャンスともいえるでしょう。今回は、友の会の概要を紹介するとともに、利回りはどの程度になるのかもシミュレーションしてみます。

百貨店友の会の概要

そもそも友の会とは何か?

友の会は多くの百貨店が導入している制度で、たとえば毎月1万円などの定額を積み立てることにより、1年間積立てた12万円を、13万円分などボーナスが上乗せされた買い物券や買い物カードで受け取れるシステムです。

どのような特徴があるのか

受け取れる買い物券はその百貨店でしか使用できないなど一定の制限がある場合が多く、一部の商品は対象外となっている場合があります。

買い物券を受け取るほか、地域の美術館やレジャー施設などの割引サービスが付いていたりと、顧客満足度を高める工夫がなされているものもあります。

どうして百貨店が力を入れているのか

百貨店は、インバウンド(訪日外国人)需要による一時な盛り上がりはあったものの、やや長期的に見ると、バブル景気崩壊以降、業績が振るわない状態が続いているといえます。そのため、顧客離れを防止するための施策の一つとして、友の会のような会員サービスに力を入れています。

百貨店ごとによるバリエーションの違い

百貨店によって友の会の内容には違いがある

会報誌の有無やその発刊頻度、積立期間のオプション、催事への招待などで他の百貨店と差別化を図っている場合が見られます。

友の会歴2年のAさん(40代主婦)の場合

Aさんは友の会に毎月1万円を積み立てて、1年後に13万円分の買い物カードを受け取っています。Aさんの活用方法でぜひ参考にしたいところは、Aさんがある明確な目的をもって積み立てている点です。

ご主人の仕事のお付き合いで毎年8件のお中元を贈るのはAさんの担当。実は、このお中元の買い物に友の会を利用しているのです。通常であれば、8商品のお中元を購入すると約50,000円かかります。しかし、友の会の利用により年間のボーナスがあるだけでなく、お中元の優待割引10%が受けられるため、実質41,500円(8,500円オフ)で購入できます。

毎月コツコツと積み立てておくことで、お中元時期に家計の負担を感じなくて済むのもメリット。お中元を買ったあとの残高で買い物や食事など「自分へのご褒美」にも余念がないAさんから学ぶことは多そうです。

友の会歴5年のBさん(50代自営業)の場合

Bさんも友の会に1年間のコースに積み立てをしています。Bさんが主に利用するのは百貨店内の飲食店や提携のレストラン。得意先を接待目的で食事に誘うときなどに買い物カードと優待を利用しています。

ただし、一番の目的は得意先との食事ではなく、奥様の誕生日に夫婦でレストランのディナーを楽しむことです。Aさんの場合もそうでしたが、毎年定期的にあるイベントや行事のために普段から積み立てておくというのは、友の会のシステムと相性の良い利用方法といえるかもしれません。

友の会歴6か月のCさん(30代OL)の場合

Cさんは友の会をはじめて利用するため、積立期間が6か月のコースに申し込んでみました。毎月5千円を積み立てて、6か月で0.4か月分のボーナス2千円を受け取りました。

ボーナスもうれしい特典ですが、美術館巡りが趣味のCさんには、美術館の入場チケットの割引がとてもお得に感じられました。1人で美術館に入るときでも団体割引料金が適用され、特にCさんお気に入りの美術館では団体料金が一般料金の20%オフになるため、企画展はすべて鑑賞しに出かけています。

Cさんは友の会が気に入ったため、次回はよりボーナスの多い1年コースに積み立てする予定です。

利回り計算の事例

どのくらいの利回りになるか

それでは、気になる利回りを確認してみましょう。もっとも一般的な1年間コース(ボーナス1か月分)の利回りを計算してみます。

ボーナス1万円÷積立額合計12万円=8.3333%

このように、単純計算しても約8.3%と高利回りです。しかし、最初に12万円を一括で支払う必要がないので、実質利回りはもっと高くなります。支払時期など条件によって異なるため一概にはいえませんが、およそ15%の利回りで運用しているのと同じくらいの率の良さになります。

その他のサービスや商品券などと比較

たとえば、大手ECサイトでポイントがたまる一部の商品でも還元率は5%や10%あれば多い方で、ポイントがつかない商品も多くあります。

商品券をチケットショップなどで購入することも考えられますが、こちらも割引率は1~2%程度にしかならないことを考えると、友の会のボーナスは魅力的です。

ただし、友の会の利回りは積立期間の利息的な要素が入っていますので、これらの還元率や割引率などとは単純に比較はできません。あくまで目安と考えてください。

サービス ボーナス、ポイントなど
百貨店友の会 1年コース(例):
毎月1万円×12ヵ月など。ボーナス1か月分(利回り約15%)。
6か月コース(例):
毎月5千円×6か月など。ボーナス0.4か月分(利回り約11%)。
大手ECサイト 大手ECサイトでのポイント対象商品:
多くても5~10%の商品。
金券ショップ 商品券などを購入する場合の割引率は1~2%程度

注意点は?

特定の百貨店しか利用できない

友の会は顧客のリピート化、優良顧客化を意図したものですので、基本的には会員になった百貨店でしか買い物券やカードを利用することができません。全国百貨店で利用できる商品券と同じ感覚で積み立てることのないよう注意が必要です。

他人に譲渡できない

友の会の会員証は本人のみ有効としている百貨店がほとんどです。他人に貸与したり、譲渡したりすることはできません。「ちょっと家族や友達の会員証を借りて買い物をしよう」などと考えて、規約違反にならないように注意しましょう。

特定の商品は対象とならない

買い物券はすべての商品に利用可能ではありません。目当ての商品が対象外でないか確認しておくといいでしょう。友の会によって異なりますが、商品券やビール券などの金券類、切手や印紙、金(ゴールド)などの地金類、旅行代金などが対象外となる場合があります。また、一定の海外ブランドが対象外と指定されることもあります。

まとめ

以上のように、百貨店の友の会は大変お得な制度となっています。他の投資商品と比べても高い利回りということができます。ただし、会員証を譲渡したり、換金性の高い商品を購入したりするなどイレギュラーな利用方法をすると規約違反になる可能性もあります。あくまで、お得な買い物やサービスを楽しむというスタンスで利用するのがおすすめです。