金(きん)は古くから人々に愛され続け、最も身近な鉱物と言っても過言ではないでしょう。しかし「実際に買ってみた」「資産として所有している」という人は意外と少ないようです。
今回は金について、意外と知られていない魅力や豆知識、そして資産としての価値についてご紹介していきます。
金の産出が多い国は?
マルコ・ポーロの東方見聞録に、黄金の国「ジパング」として日本が登場しますが、残念ながら現在の日本の金鉱山は鹿児島にある菱刈鉱山だけで、金の産出量は決して多くありません。
現代の「ジパング」、つまり金が多く採れる国は中国です。続いて、オーストラリア、アメリカと続きます。日本は中国の50分の1の産出量となります。
一時期は南アフリカがトップに上がることもありましたが、国内情勢の不安などもあり伸び悩んでいます。
金は希少価値が高い
人類と金の歴史は6,000年にも遡るといいます。それだけ長い間金は、人類を魅了してきました。紀元前をゆうに超える期間ですが、これまでに採掘された量はわずか155,000トン程度。
例えば石炭の場合、中国が年間で採掘する量が約39億トン。単純計算で1時間あたり445,205トンとなるので、金の総採掘量に相当する量は30分も掛からずに取れてしまう。それほどに、きわめて希少なのです。
需要をまかなうには足りない量に見えますが、幾度も再利用されながら、さまざまな形に変化して人々の間で使われ続けています。
金の価格はどうやって決まっている?
金は1トロイオンスという貴金属の単位で計算し、取引は米ドルで行われます。日本国内での価格に変換する場合は、1グラムあたりの米ドル価格を日本円に換算し、消費税を上乗せします。
ただし、この計算は単純に金そのものの価格を示したものです。ここに取引会社の経費も上乗せされるので、日本全国金の取引価格が同じでなくなります。
なお、金自体の価値は、世界情勢や為替によって変動があり、それが価格に影響してきます。
どのようにして金は購入できる?
金は「お金のような価値もあり、物としての価値もある」という二面性を持つ存在です。そのため、物として所有したいか、資産として所有したいかで金の購入方法は異なります。
物質としての金地金(インゴット)で購入する方法と、金地金でない資産として購入する方法の2つを確認してみましょう。
金地金(宝飾含む)は宝飾店や鉱山会社、銀行などで購入できる
金地金とは、金の現物を手元に保有しておくことを指します。
宝飾店や鉱山会社だけでなく、銀行、百貨店などの身近な実店舗でも購入することができます。支払いは現金で購入することが多く、一定量の金地金あるいは金貨の現物を、購入する日の価格で買います。
珍しい販売方法として「金の自販機」というものも都内には存在します。日本の貨幣や紙幣を投入すると、その場で純金バーや金貨などが買えます。
金地金を購入する場合、ゴールドバーだとどうしても重量が大きくなりその分価格も高くなるので、少量の金地金を購入したい場合は金貨の方がおすすめです。1万円から購入できる金貨もあります。
金地金以外は証券会社や銀行がメイン
現物ではなく資産として金を保有したいなら、証券会社や銀行などの金融機関で金を購入する方法があります。ただし、実際に手元に金を保有するのではなく、金融機関にある金の一部の所有権を持つような形となります。
また、金地金と異なり、積立購入に対応している金融機関も多く存在します。不安な場合は、所有している分を実際に金地金に交換できるようにしている金融機関もあるので、利用を検討してみると良いでしょう。
金の特徴とは?
金は無価値になることがない
金は古くから装飾品として好まれ、工業品としても多用されてきました。加えて金は鉱物であり、存在している埋蔵量に限りがあります。
そのため、その価値は普遍的なものとされており、無くなることがありません。
世界共通の通貨のような役割がある
もともと装飾品として使われていた金は、紀元前1350年ごろには貨幣となり、金本位制が導入された1800年代から世界恐慌以前には通貨の基準として君臨していました。
国境関係なく取引が行われる金は、世界中で共通した価値を持っており、日本国内だけといったように限定的ではなく、「どこの国でも使える通貨のような役割」を持っています。
値動きが読みやすい傾向にある
金は、株式や債券などの価値が下がると買われやすい傾向にあります。そのため、価格変動に反した動きをすることが多いものです。
世界情勢などの影響もありますが、株式やFXなどと比較すると値動きが読みやすいため、売りや買いのタイミングを見極めやすいのです。
情勢などによっては価値が下がることがある
金は各国で取引が行われる商品のため、日本での取引時間が終了しても、別の国では取引が行われます。そのため、24時間ずっと取引が止まることはなく、価格の変動にも影響を与えています。
価格が下がっているときに金を売却すると損をする可能性があります。
株式などのようにリターンが大きくない
長期保有することでリターンを得ることができますが、金の価格変動は比較的緩やかであるため、株式のように大きく株価が上がったりすることはありません。
リターンを重視するなら金は不向きです。資産を増やすための保有ではなく、資産を守るための保有が向いています。
確定申告の対象になる
金を売却したことにより得た所得については、原則として譲渡所得として課税されるため、確定申告が必要となります。
譲渡したことで得た利益は給与などの他の所得と合わせて総合課税となりますので、たとえ利益が同じであったとしても、その他の収入によって税額が変わるので、注意が必要です。
まとめ
金を保有する場合は全資産の5~15%が目安といわれています。投資商品というよりは、「有事があったときの安心」をつくる財産として、金の保有も考えてみるとよいでしょう。