タンス預金のメリットは少ない!? 実は危険なタンス預金に潜む4つのリスク

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今、気になる「タンス預金」

年末は大掃除の季節。引き出しの奥や本の間から、忘れていた「へそくり」が出てきて、得したような気分になることがあります。

久しぶりに帰省した子供たちとの間で、暮らしぶりや生活費のことが話題になることもあるでしょう。

家族がそろうこの時期に、それぞれの家計のことを話したり、お金の使い方・貯め方などについて話しあったりするのも、家族の間のコミュニケーションを深めることにつながります。

たとえば、最近話題の「タンス預金」をどう思うか、お茶でも飲みながら話してみてはいかがでしょうか?

「タンス預金」は増えている

2016年1月、日銀はマイナス金利政策を導入しました。

銀行間の取引に関するもので、一般の預貯金の金利がマイナスになったわけではありません。しかし、私たちの預金金利も、限りなくゼロに近いものになってしまいました。

現在の普通預金金利は0.001%。仮に100万円の預金があっても、1年間で受け取れる利息はなんと10円!1年間預ける定期預金でも0.01%程度、つまり利息は100円です。

こうなると「銀行に預けても意味がない」という気分になる人が出るのも頷けます

実際、「タンス預金」----金融機関に預けず自分で保管している現金----は増えており、民間の金融機関の調査では、総額約40兆円に上ると推計されています。

「わが家のタンスの奥にしまっておけば、わざわざATMを探して引き出さなくても、すぐに現金が用意できるわけだし、株などに投資して一喜一憂するのはもうたくさん」

「万一銀行が倒産したら、ペイオフにより1銀行当たり元本1,000万円までとその利子については保証されるものの、それを超える金額は保証されないから損をする可能性もある。しかし、タンス預金ならそういう心配も無用。やっぱり現金を手元において置くのがいちばん」

という声も聞こえてきます。
でも本当に「タンス預金」はおすすめなのでしょうか?

タンス預金に潜む4つのリスク

実はタンス預金には多くのリスクがあります。

<リスク その1> 災害に弱い

家が火事になったり、水害で流されてしまったら現金はなくなってしまいます。火災保険や地震保険は現金を補償してくれません。

<リスク その2> 盗まれるかもしれない

空き巣や強盗などの被害に遭って、奪われてしまうかもしれません。場合によっては、身の危険を感じることになるかもしれません。

<リスク その3> 置き場所を忘れるかもしれない

空き巣などの被害を恐れて、現金を巧妙に隠したつもりが、自分でも隠し場所を忘れてしまうということもあります。

<リスク その4> 目減りするかもしれない

金融機関に預けておけば、雀の涙とはいえ利息がつきます。減ることはありません。ところがタンス預金の場合は、一切利息が付きませんから増えることはなく、逆に、万一物価が上昇するインフレになったら、それまで買えたものが買えなくなるのですから、実質的に価値は減少。つまり目減りしてしまうのです。

日本の未来のために、お金はまわそう

政府・日銀は現在、「2%の継続的な物価上昇の実現」を最大の政策目標としています。

現在のデフレからインフレへと経済を誘導しているのです。もしも今後インフレの芽が出てきたら、タンス預金はその価値を大きく減らしてしまう可能性があります。

そもそも、手元の現金を「タンス預金」という形で退蔵することは、経済の循環を止めることになります。

お金は、商品やサービスの購入はもちろんですが、預金されたり、あるいは株式や債券などに投じられることで、間接的に、あるいは直接的に企業活動にまわされ、新たな商品・サービスとなって結実し、販売されます。それが、企業の業績を上げ、賃金に反映し、そして再び消費を活発にする......この好循環が経済を成長させます。

タンス預金の使い道を、個人のためにも、日本のためにも、いま一度考えられてみてはいかがでしょうか?