知らないうちにたまる睡眠負債の恐怖とは

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しっかり寝ているにもかかわらず日中眠くなる、体の疲れが取れない......そんな方は「睡眠負債」がたまっているかもしれません。

今回は睡眠負債を解説するとともに、睡眠負債を完済して眠気や疲れを解消する方法を紹介します。

睡眠負債とは

「睡眠負債」とは、睡眠不足の状態が積み重なって借金のように蓄積されている状態を指します。

睡眠不足は1日のみで、それ以外の日の睡眠が十分とれていれば、すぐにリカバリーできます。しかし、睡眠不足の日が何日か続いてしまうと脳や体の疲労が蓄積し、体に悪影響が出る可能性が高くなります。

睡眠負債の怖いところは、自覚がないようなわずかな睡眠不足でも、それが積み重なって体に悪影響が出るところです。

人間の理想的な睡眠時間は7時間半と言われています。毎日6時間でも十分な睡眠がとれているように感じる人もいますが、理想の睡眠時間よりも短いため睡眠不足である事実には違いなく、知らず知らずのうちに睡眠負債はたまっています

世界的にみても日本人の平均睡眠時間は少ないのです。経済協力開発機構(OECD)が2014年に行なった調査によると、平均睡眠時間の多い国では9時間ほど、アメリカやフランスなどの国では8時間台が平均です。

しかし日本は7時間43分と少なく、加えて「睡眠時間が6時間未満」の人が4割ほどもおり、慢性的な睡眠不足に陥っている人が多いのです。

年代別の平均睡眠時間をみると、働き盛りの30代、40代で7時間を切っており、慢性的な睡眠不足の傾向があり、睡眠負債をため込んでいる人が多いと言えます。

平日 土曜 日曜
国民全体 7:23 7:38 8:09
男性
10代 7:51 8:13 9:10
20代 7:20 8:02 8:14
30代 6:57 7:45 8:21
40代 7:11 7:25 8:07
50代 7:16 7:35 8:06
60代 7:48 7:37 8:02
70歳以上 8:40 8:20 8:43
女性
10代 7:31 8:03 8:55
20代 7:14 8:00 8:29
30代 6:56 7:20 7:52
40代 6:47 7:00 7:39
50代 6:58 7:02 7:34
60代 7:17 7.08 7:27
70歳以上 8:07 8:07 8:06

参照元:2000年国民生活時間調査の結果より

睡眠負債の債務超過に伴う悪影響

睡眠負債がたまることで体に現れる悪影響についてご説明します。

記憶力や集中力、思考力が低下する

脳が疲弊することで記憶力や集中力、思考力が衰えやすくなるそうです。これは、睡眠負債の比較的初期の段階で起こる症状だと言われています。

精神的に不安定になる(イライラ、無気力)

睡眠不足になると体を活発に行動させる交感神経が過剰に働くようになり、やがて自律神経のバランスが乱れ、精神的に不安定な状態に陥ってしまうとのこと。

イライラして人間関係が悪化したり、無気力になって仕事や勉強に集中できなくなったり、症状が進行すればうつ病などの精神疾患のリスクも高まると言われています。

免疫力の低下

人体には免疫があるので、多少細菌やウイルスが侵入してもすぐに病気になるわけではありません。

しかし睡眠負債の状態だと、体内に侵入した細菌やウイルスをやっつけてくれる免疫細胞の活動が弱まるので、病気になりやすくなり、治癒にも時間がかかってしまう傾向にあります。

生活習慣病のリスクが高まる

睡眠時には脂質や糖質を分解して体を動かすためのエネルギーを生み出すコルチゾールが分泌されますが、睡眠不足になるとコルチゾールが分泌されにくくなるとのこと。その結果、血液中の脂質や糖質の濃度が上がり、肥満や高脂血症や糖尿病の原因となったり、血管を詰まらせて心臓病や心筋梗塞などになる可能性が高くなるそうです。

睡眠時間が4.4時間以下の人は、睡眠時間が6.5~7.4時間の人と比べると、疾患による死亡リスクが1.6倍高いという統計も出ています。