平均寿命と健康寿命の大きな差とは?長く元気に暮らすために知っておくべき事

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健康寿命は男女とも70歳代前半

よく知られているように、日本は長寿大国です。2014年の平均寿命は、女性が86.83歳、男性が80.50歳(厚生労働省調査)。男女とも過去最長を記録しました。女性は3年連続の世界第一位で男性は世界第三位。日本の平均寿命は世界トップクラスといえます。

しかし、平均寿命と別に、「健康寿命」と呼ばれる数字があるのをご存じでしょうか?

「健康寿命」とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、WHO(世界保健機関)が2000年に定めました。では、日本人の「健康寿命」は何歳か?

2013年の健康寿命は、女性が74.21歳、男性が71.19歳(厚生労働省調査)。「意外に若い(低い)」と思われたのではないでしょうか? 同じ2013年の平均寿命からその差を求めると、女性が12.4年、男性が9.02年。男女ともほぼ10年は、誰かの支援や介護を受けながら生きていくことになっているということになります。

仮に今60歳の人が、自分の人生はあと20年以上あると考えた場合、実はその半分は、一人では自立して生きていけない期間かもしれないということになるのです。

平均寿命と健康寿命には大きな差がある

認知症患者数は462万人

もう一つ、厚生労働省が発表している気になる数字をご紹介します。それは認知症の患者数です。2015年1月の発表によると、日本の現在の認知症患者数は2012年の時点で約462万人。この数は65歳以上の高齢者の約7人に1人という大きな数です。

また、軽度認知障害と呼ばれる認知症の前駆状態(Mild Cognitive Impairment=MCI)と推計される人は400万人を数え、これを含めれば65歳以上の高齢者の実に4人に1人が、認知症またはその予備軍ということになります。さらに厚生労働書の予測では、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数だけで700万人に達すると見られています。

しかも、日本の認知症患者数は、先進国中で飛び抜けて多いのです。定義が統一されていないので正確な比較はできませんが、イギリスやフランスにおける「認知症」患者数は70万人から80万人、多くても100万人程度と見られます。日本は、その約5倍もの患者数を記録しているのです。

生活習慣病患者は成人の16%

糖尿病や高血圧性疾患、高脂血症、心疾患、肥満など、いわゆる生活習慣病と称される患者数も増えています。2014年の厚生労働省調査によれば、糖尿病が約316万人で過去最高、高血圧性疾患の患者数は1,010万人に上ります。これに高脂血症、心疾患患者を加えた総数は約1,706万人。日本の二十歳以上の成人人口が約1億300万人ですから、実にその16%が生活習慣病にかかっていることになります。

病院で診察を受ける65歳以上の高齢者の数も急増。医療費は極めて大きなものになっています。国民医療費の総額は2014年で40.8兆円に達しました。現在の国の年間予算が総額で約100兆円規模ですから、この数字の大きさが分かります。しかも2002年では約31兆円だったのです。わずか10年で10兆円近くも増えています。このままでは、日本の社会保障制度そのものが破綻してしまう危険性があります。

長く元気に暮らす

65歳を過ぎても、人生の最期を迎えるまで元気で暮らす。長く介護を受けたり、入院したりしない。−−「ピンピンコロリ」こそ理想です。 現在国では、入院から在宅介護への移行を積極的に進めようとしています。高齢者介護を受け入れる施設や人手が不足しており、今後さらに増え続ける要介護者の受け入れはできないと考えているからです。新たに施設を建設する資金もないため、介護は在宅化を進め、専門家が家庭を訪問してそれをサポートする仕組みに移行することが中長期の基本方針となっています。政策はすでに実施に移されており、介護施設に対する保険費用の給付に、早期に在宅復帰させるほど評価を高めるという仕組みを取り入れています。しかし、住まいや家族の側に、介護を受け入れる体制ができていないのが現状です。

今私たちが心がけなければならないのは、いかに住まいの中に、健康を維持し増進する仕組みを取り入れるか、そのための知恵をみんなで絞らなければならないということではないでしょうか。