シェアリング・エコノミーの広がりと土地の有効活用

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広がるシェアリング・エコノミー型サービスとは

「車通勤なので、昼間は空いている自宅の駐車スペースを貸しています。スマホのアプリに登録するだけで、めんどうなお金のやり取りも一切なし。ちょっとしたお小遣いになるので、嬉しいですよね」

――東京都墨田区に住むKさんは、1年前から空き駐車場仲介システムに自宅の駐車スペースを登録しています。収入金額はさほど大きくありませんが、自分が使用しない時間帯に空き駐車スペースを有効活用できる新しいサービスに満足しています。

Kさんのように近年、個人やグループが、オンライン上のプラットホームを介して、乗り物、空間、モノ、お金、空き時間、能力など、様々なサービスをPCやスマートフォン上のアプリを介して共有する新しい経済スタイル「シェアリング・エコノミー」が広がっています。

シェアリング・エコノミー型サービスの具体例を挙げると、「普段は使わない空き部屋を貸す」、「自社ビルの会議室を貸し会議室として時間貸しする」、「主婦が日常の空き時間を利用して、家事や育児サービスを提供する」など様々なものがあります。

IT技術の進展が可能としたシェアリング・エコノミーは、事業者や個人が所有する遊休資産を有効活用する新しいビジネスモデルとして注目を集めています。

以下では、土地の有効活用に役立つ、シェアリング・エコノミー型サービスを紹介します。

駐車場シェア

冒頭で紹介した、個人等が所有する空き駐車場と、外出先で駐車場を利用したい人をマッチングさせる駐車場シェアについては、すでにインターネット上にいくつかの紹介サイトがあります。

「持っていた自動車を手放したため、自宅の駐車スペースが空いてしまった」という場合、今までの常識では、人に貸すのは難しいと思われてきたような小さなスペースでも、これらの紹介サービスを使うと、サイト登録するだけで1台からでも手軽に駐車場経営を始めることができます。

あるサイトでは、1日単位や15分単位での貸し出しが可能。利用者は外出先からスマホやタブレット端末で登録されている駐車場を検索・予約する仕組みです。料金決済も、事前に登録したクレジットカード等を利用します。すべてサイト上で完結するため、貸主と利用者が直接お金のやり取りをする必要はなく、双方に安心で便利な仕組みになっています。

看板や精算機設置などの初期投資はほとんど必要なく、短時間で貸し出せる手軽さが魅力の駐車場シェア。自宅の空き駐車場はもちろん、建設予定地の工事着工までの空きスペース活用や、月極駐車場で次の契約者が決まるまでのつなぎ期間の活用等、様々なケースで利用できそうです。

空きスペースシェア

会議室やスタジオの時間貸しサービスは従来から存在しましたが、IT技術の進歩により、便利な「空きスペース」のシェアサービスが次々と登場しています。

貸し会議室やレンタルスペースに特化したもの、貸し会議室から球場まで簡単予約できるもの、ビルの軒先や自販機等の設置スペースを貸出可能にするものなどがあります。

屋台ランチを販売するガレージ、動画撮影スタジオ、キッチンスペース、古民家、ビルの屋上など、多種多様な「空きスペース」を手軽に貸し出すことができます。

余っているワンルームマンションの一室をパーティルームとして、屋外の空きガレージをBBQ会場や移動販売車の販売スペースとして貸し出すなど、従来にないユニークな発想で、思わぬ収益機会が得られるかもしれません。

ソーラーシェアリング

遊休地の土地活用方法として以前から注目を集めている太陽光発電。前述のシェアリング・エコノミーとは少し意味合いが違いますが、農業と太陽光発電を同時に行う「ソーラーシェアリング」という手法が存在し、農地の有効活用策としてされています。

太陽光発電による土地活用を検討されている方は、制度変更に要注意。2016年2月に閣議決定された固定価格買取制度改正案では、事業用の大規模太陽光発電設備からの買取価格に入札方式を導入することとされており、入札価格次第では、落札できず売電できないリスクが生じます。

改正法施行予定日の2017年4月1日までに電力会社と接続契約を締結し速やかに運転開始する案件は、現行の買取制度のもと確実に売電できる見込みですので、太陽光発電事業を検討される方は、早めの対応をお勧めします。