最近、よく耳にすることが多くなった「IoT」という言葉。IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されることもあります。IoTが様々な製品に取り入れられることにより、私たちの生活に様々な影響を与えると言われています。
これは、製品の性能向上だけにとどまりません。例えば、自動車にIoTが取り入れられることで、自動車保険のあり方やサービスも変化してくるのです。
そもそもIoTとは何か
IoTという言葉を初めて使ったのは、ケビン・アシュトンという英国の技術者。従来は、「無線タグをつけた商品や荷物がセンサーとコンピュータを介してインターネットに接続される仕組み」という意味で使われていましたが、現在はさらに活用の幅が広がっています。
住まいにIoTが活用されている例を見てみましょう。
例えばエアコンに活用された事例。専用のスマートフォンアプリを使用することで外出先から操作でき、帰宅前から部屋の温度調節ができます。遠隔で操作できる家電は他にも増えており、冷蔵庫や照明器具、テレビや家の鍵など様々です。
電気ポットにIoTが取り入れられている事例もあります。お茶を飲む際にポットを使うと、予め設定しておいた連絡先にお知らせが届くというものです。実家から遠く離れて暮らしている子供が、ご両親の安否を毎日確認できるように活用されています。
まだ実験段階の事例ですが、自動販売機にもIoTが活用されている例があります。
あるエリア内の自動販売機のうち、約100台にIoT無線ルータを搭載。自動販売機をネットワークでつながることで、これを活用した見守りサービスなどの検証を行なっているのです。
例えば、子供や高齢者に電波を送受信する端末を携帯させて、位置情報を含む子供や高齢者の活動状況を送信することができます。この端末からの情報が、自動販売機に搭載された無線ルータを経由して、家族のスマートフォンやパソコンに配信される、といったことが可能になります。
また、そのエリアを訪問中の観光客に対して、リアルタイムで周辺の観光情報やお得なニュース等をスマートフォンに届けることも期待されています。
自動車とIoT
IoTは今後、自動車にも取り入れられていくことになります。
自動車の位置情報などのデータを収集分析して、渋滞情報を反映する最適なルート案内を行なったり、ゲリラ豪雨の検知やスリップアラートを送信することは既に行なわれています。
現在はまだ、運転手の情報認識や判断に基づいてハンドルやアクセル、ブレーキなどの安全操作が行なわれています。
この先IoTが自動車に取り入れられると、GPS等で自動車の位置を特定、車載カメラやレーダーが周囲の外部状況を把握、車内コンピュータが走行指示をシステムに伝達するといった技術が構築される可能性もあります。映画に出てくるような自動走行が実現するのも、遠い未来の話ではないのです。
自動車の変化によって保険が変わる?
自動車の進化によりリスクの所在が変化するため、自動車保険のあり方や付加サービスも変わってくることが考えられます。
その変化が反映されてきている事例もあります。ある保険会社では、IoTを活用した新しいタイプの自動車保険を考案しました。
走行距離をリアルタイムで計測し、走行距離に合わせた毎月の保険料を決定しています。事故を減らすため車のスピードや急ブレーキ、急アクセル、急ハンドルなどのデータも取得して、安全運転のためのアドバイスも提供される仕組みになっています。
別の保険会社では、自動車保険の契約者にIoT端末を渡して車内に設置してもらい、スマートフォンに専用アプリを入れておくと、自動車に乗るたびに自動で起動するシステムを提供しています。
走行中、急ブレーキや急ハンドルをした時は加速度センサーが感知してアプリへデータが送信され、大きな衝撃を感知した際にはサポートセンターに連絡が送信されるという仕組みになっています。
まとめ
今後さらにIoTが暮らしに密着したものになっていけば、私たちの生活はより快適なものになるでしょう。最近では自動車の制御だけでなく、自宅鍵の施錠や開錠、家電の遠隔操作やプッシュ通知まで様々な用途で取り入れられています。
モノにインターネットが取り入れられることで、ますます便利になる私たちの生活。それに伴って変化する自動車保険など、周辺環境の移り変わりにも対応できる消費者になることが大切です。情報にはしっかりとアンテナを張って、価値あるサービスを賢く利用しましょう。