いよいよ始まった電力自由化!わが家の電気はどう選ぶべきか

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そもそも電力自由化って何?

これまで家庭や商店向けの電気は、各地域の電力会社だけが販売しており、家庭や商店では、電気をどの会社から買うか選ぶことはできませんでした。しかし2016年4月1日以降は、電気の小売業への参入が全面自由化されたことにより、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。

電力は、発電所→送電線→変電所→配電線の経路をたどって家庭まで供給され、供給システムとしては、発電部門、送配電部門、小売部門の3つに分類されます。電力小売全面自由化により、小売部門で新たに事業者が自由に参入できるようになりました。発電部門 はすでに原則参入自由となっており、送配電部門 は安定供給を担う要のため、電力小売全面自由化後も引き続き、政府が許可した企業(各地域の電力会社)が担当することになっています。

どんな事業者が参入?

現在、295の事業者が国の許可を得て小売り事業を開始しています(2016年5月12日現在)。さまざまな事業者が算入していますが、大きく3つのグループに分かれます。1つは電力会社やガス会社、石油会社などの「エネルギー系」。2つ目は、通信キャリアや流通・鉄道などの「非エネルギー系」。そして3つめは、太陽光や風力、小水力などの再生可能エネルギーをもとに発電し小売する事業者です。

エネルギー系の会社は、2017年4月からのガスの自由化も視野に入れ、エネルギー供給の総合会社を目指しています。また、3番目の再生可能エネルギーに特化した事業者も、まだ規模は小さいとはいえ、独自の発電事業を展開しながら小売りもする事業者です。それに対して、非エネルギー系の会社は発電部門をもっていません。電力事業への参入の狙いは、本業における新しい顧客の獲得や既存顧客の囲い込みにあります。たとえば通信キャリアであれば、電力と携帯料金のセット割を提供したり、電力使用量に応じてポイントと付与することで既存顧客を囲い込み、新規顧客開拓にもつなげようとしています。

小売事業者を選ぶとはどういうことか?

仕組みのところでご説明したように、発電された電気をまとめ、需要量に応じて発電量を調節しながら家庭に送電するのは、従来の地域電力会社です。別の見方をすれば、仮に再生エネルギーだけを小売りする会社と契約しても、再生可能エネルギーで発電された電気だけが特別なルートで送られてくるわけではありません。天然ガスで発電された電気がほしい、太陽光で発電された電気がほしいといっても、それが選べるわけではないのです。つまり、小売業者は選べても、電源の種類(何をどう使って発電しているのか)を選ぶことはできません。では、小売業者を選ぶことにどんな意味があるのか。それは、価格やサービスが選べること、さらに、その会社から電気を買うことで、その会社に投資する、あるいは応援することができるということです。

価格だけでなく「電源構成」にも注目

「電力広域的運営推進機関」のまとめによれば、家庭向けの電力小売りの自由化で、大手電力会社から契約を切り替えたいという申し込み件数は、制度開始後1か月たった4月末の時点で、81万9500件となっています。これは大手電力各社の利用者の1.3%にすぎません。また、どの会社がどのような電源構成をもっているのかについては、情報開示の義務づけはなされていません。しかし、小売り各社のホームページなどを見れば、どのようになっているかを知ることはできます。価格の安さやサービス内容だけでなく、地球環境保全の観点から、どのような資源を使って発電している電気を販売しているのか、ということにも注目し、選択の基準にしたいものです。