最近普及しつつある「トランクルーム」は、土地活用の新しいビジネスモデルとして、注目が集まっています。今回はビジネスという視点からトランクルームを見てみましょう。
そもそもトランクルームって何?
トランクルームとはコンテナを利用した収納スペースのことです。
好きなときに収納・持ち出しができる自宅の外にある倉庫のようなもの。長期間使わない物を収納するのに便利で、「自動車のタイヤ」「家具」「家電」「レジャー用品」「仕事道具」など、自宅に置いておけない物を保管するのに役立ちます。
トランクルームを運営するのは、国土交通大臣の認可を受けた倉庫業者です。利用者と結ぶのは寄進契約(物を預けて保管してもらう契約)で、事業者側が収納物の管理責任を負います。利用者が物を出し入れする際には事業者の立会が必要です。
似たようなサービスに「レンタル収納スペース」がありますが、契約形態や管理責任、荷物の出し入れに関する規定などが違います。レンタル収納スペースの目的はあくまで場所を貸すことで、利用者と結ぶのは賃貸借契約となり、収納物の管理責任も利用者側にあります。
レンタル収納スペース | トランクルーム | |
事業者の区分 | 倉庫業以外 | 倉庫業 |
利用者との契約形態 | 賃貸借契約 | 寄進契約 |
事業者の立会 | 不要 | 必要 |
収納物の管理責任 | 利用者 | 事業者 |
利用料金 | 屋外型:比較的安い 屋内型:施設によって差がある |
比較的高い |
投資費用 | 屋外型:比較的安い 屋内型:建物がなければ高い |
高い |
トランクルーム市場の動向
トランクルームは30年以上前から日本に存在するビジネスですが、消費者から認知されているとは言い難く、市場規模はまだ比較的小さいといえます。たとえば米国では10世帯に1世帯が利用しているのに対し、日本では300世帯に1世帯が利用しているのが現状です。
しかし、日本の市場におけるトランクルームの潜在的なニーズは高いと考えられており、市場規模が拡大していく可能性を秘めています。
日本は国土が小さい分、家屋が狭いのが特徴です。また近年はマンションやアパートに住む人も多いため、トランクルームに対するニーズは増加しています。東京オリンピックが開催される2020年には、市場規模は700億円にもなるとも予想されています。
トランクルームの利用例
トランクルームの利用用途として一番多いのは、以下のような「自宅で収納できない物を預ける」という使い方です。
- 自動車の夏タイヤや冬タイヤ、および、タイヤ交換用の工具
- 使わなくなったい家具・家電
- クローゼット代わりに季節ものの衣類やバッグなど
- 普段使わないキャンプ用品やバーベキュー用品、サーフボードやスキー道具など
また、個人ではなく法人が活用しているケースもあり、以下のようなものを保管するのに利用されています。
- 事務用品や事務機器、使用していない備品
- 会社の伝票・帳簿・重要文書
- 医療用カルテ・レントゲンフィルム
- 大量注文した販促グッズ
- 大工が使う工具や資材
- 塗装業者が使う塗装機材や塗料
他にも「スポーツチームや劇団などが倉庫として利用」「ちょっとした集会やミーティングができる場所として活用」「病院による入院患者の生活用品の一時的な保管・着替えスペースとして活用」など、アイデアしだいで様々な用途で活用されています。
昨今は、倉庫のような無機質で暗いイメージではない、明るくて利用しやすいトランクルームも増えてきています。トランクルームの照明を明るいものに取り替えて街頭犯罪予防に役立てるという働きもあります。