再生可能エネルギーとして注目され、普及してきた太陽光発電。世間的には「太陽光発電は2019年にひとつのターニングポイントを迎える」と言われていますが、いったいどれくらいの家庭が導入しているのでしょうか。
太陽光発電の現状と今後の動向について推察してみます。
一般住宅における太陽光発電の現状
住宅用太陽光発電を導入している住宅の件数は、一般社団法人太陽光発電協会のデータによると2018年現在で200万件強。普及率にして7%強となっています。
太陽光発電が急速に普及し始めたのは2011年頃からです。東日本大震災の影響による電子力発電の一時停止や、計画停電によって電力がスムーズに供給されないといった事態が起こり、自家発電の重要性が高まったことが原因と考えられます。
太陽光発電があれば発電所が被災しても電気を使用できます。蓄電池を備え付けていれば日中に電気を貯められるので夜間でも太陽光発電の電気を使うことができます。地震大国日本では、災害時の備えとしての太陽光発電のニーズも高いのです。
太陽光発電は2019年にターニングポイントを迎える!?
2019年がターニングポイントだと考えられているのは、2009年に開始された「余剰電力買取制度」の契約期間が終了する人が出てくるからです。
「余剰電力買取制度」とは、太陽光発電を導入してから10年間は電力を金額固定で買い取るというものです。太陽光発電で余った電気を電力会社に売却することで、光熱費の削減や利益につながります。
この制度下での買取価格は48円/kWhでした。しかし、余剰電力買取制度の期間が終わることで、売電価格が大幅に低くなることが懸念されています。
影響がある人
余剰電力買取制度の期間が終了すると売電価格が引き下げられます。当初政府は「11年目以降に適応されるであろう売電価格」を24円/kWhと想定していました。
しかし2016年には、政府の想定する11年目以降の売電価格が11円/kWhに引き下げられてしまいました。多くの業者は発表当初の24円/kWhでシミュレーションをしていたため、当初見込んでいたほどのメリットが得られなくなってしまう可能性があります。
影響はあるが問題はない人
余剰電力買取制度が施行される2009年11月より以前は、PRS法(電気事業者による新エネルギーなどの利用に関する特別措置法)に基づいて売電を行っていました。RPS法のもとでは「売電によって収益を出す」という考え方が薄く、売電価格も24円/kWhでした。
その後、2009年11月に余剰電力買取という制度がスタートし、10年間の売電価格が42円に跳ね上がりましたが、これは想定されていなかった利益です。そのため、11年目以降に価格の引き下げがあったとしても、今まで享受できたメリットと差し引きで考えれば、あまり大きな問題であると感じられにくいと考えられています。
影響がない人
2016年度以降に太陽光発電を導入した人
2016年以降、経済産業省は11年目以降の想定売電価格を電力卸売市場相場並みの11円/kWhとしました。
各メーカーや設置業者が用意する収支シミュレーションでも11円/kWhで計算されているので、余剰電力買取制度の期間が終わったとしてもそれほど影響はないでしょう。
10kW以上の太陽光発電を設置している人
発電量が10kW以上の場合、余剰電力買取制度の期間は倍の20年に設定されています。つまり売電期間満了は早くとも2032年以降であり、まだまだ先のこと。2019年に変化があるわけではありません。