「高齢社会白書」を読み解けばわかる!高齢社会の現状と課題について

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増え続ける高齢者人口

2016年版の高齢社会白書が6月に内閣府から公表されました。高齢化率(65歳以上の人口の割合)は26.7%に達し、高齢者のいる世帯数が全世帯の46.7%に達するなど、世界でも例のない高齢社会の実態が明らかになっています。白書を基に現状を見てみましょう。

日本の総人口は、2015年10月1日現在、1億2,711万人。そのうち65 歳以上の高齢者人口は3,392万人です。10年後の2025年には3,657万人に達し、その後も増加を続け、2042年に3,878万人でピークを迎えます。

総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)も非常に高くなっており、2014年現在で26.7%。1950年に高齢者は総人口の5%に満たなかったのですが、1970年に7%を超え、さらに1994年には14%を超えました。その後も高齢化率は上昇を続け、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上となったことから大きく増加しています。

しかしこの高齢化率、さらに上昇を続けると見られています。2035年には33.4%で人口の3人に1人が高齢者。2042年以降、高齢者人口は減少していきますが、65 歳到達者数が出生数を上回ることから高齢化率は上昇を続け、2060年には39.9%。実に国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となるとみられています。

高齢者のいる世帯は全世帯おおよそ半分

65 歳以上の高齢者のいる世帯についてみると、2014年現在、世帯数は23,572千世帯と、全世帯(50,431千世帯)の46.7%を占めています。

子供との同居率をみると、1980年にほぼ7 割であったものが、1999年に50%を割り、2014年には40.6%と、子どもとの同居の割合は大幅に減少しました。

他方で一人暮らしまたは夫婦のみの高齢者世帯については、ともに大幅に増加。1980年には合わせて3割弱であったものが、2004年には過半数を超え、2014年には55.4%を占めるまでに増加しています。

約4分の1が健康に何らかの不安

65 歳以上の高齢者の健康状態はどうでしょうか。

2013年における有訴者率(人口1,000人当たりの「ここ数日、病気やけが等で自覚症状のある者(入院者を除く)」の数)は466.1と半数近くの人が何らかの自覚症状を訴えています。

一方、65歳以上の高齢者の日常生活に影響のある者率(人口1,000人当たりの「現在、健康上の問題で、日常生活動作、外出、仕事、家事、学業、運動等に影響のある者(入院者を除く)の数)は、2013年において258.2と、有訴者率と比べるとおよそ半分になっています。

詳しくみると、年齢層が高いほど上昇し、日常生活への影響を内容別にみると、高齢者では、「日常生活動作」(起床、衣服着脱、食事、入浴など)が人口1,000人当たり119.3、「外出」が同118.4、次いで「仕事・家事・学業」が同94.4、「運動(スポーツを含む)」が同83.3 となっています。

データで注目されるのは、65 歳以上の高齢者の認知症患者数の数字です。2012年に認知症患者数は462万人、65歳以上の高齢者の7人に1人となっていますが、2025年には約700 万人、5 人に1人になると見込まれているのです。

「要支援・要介護者」は約606万人

高齢者の要介護者等数は急速に増加しています。介護保険制度のもとで要支援者または要介護者と認定された人は、2014年度末で606万人となっており、2004年度末から199万人も増加。認定を受けた第一号被保険者(65歳以上)のうち、75歳未満の前期高齢者は75万人、後期高齢者(75歳以上)は517万人で、当然ですが、後期高齢者の占める割合が圧倒的に多くなっています。

総人口の減少が続く中で、高齢化率だけが急ピッチで上昇を続ける日本。先進国が未だ経験したことのない特異な人口構成の社会にいち早く突入しようとしています。