JR山手線において49年ぶりの新駅設置で話題となっている「高輪ゲートウェイ駅」。
高輪ゲートウェイ駅はどのような目的で、どのような施設が設置されるのでしょうか。また、周辺の地価にはどのような影響を与えるのでしょうか。
本記事では、高輪ゲートウェイ駅に関する内容をお伝えすると共に、鹿児島市磯地区や茨城県のひたちなか海浜鉄道湊駅、北海道の日ハムボールパーク新駅など、地方で進められる新駅設置についても取り上げ、都心・地方それぞれで新駅が地価に与える影響や双方の違いなど解説します。
山手線新駅「高輪ゲートウェイ」駅とは
高輪ゲートウェイ駅は品川駅と田町駅の間に新設される駅。山手線としては、1971年に開業した西日暮里駅以来の新駅で、JR山手線と京浜東北線が停まる予定です。
外観で特徴的なのは折り紙をモチーフとした大屋根で、これは新国立競技場の設計を担当した建築家である隈研吾氏によるものです。
現在のところ2020年春の暫定開業、2024年の本開業を目指しており、都営地下鉄泉岳寺駅と連絡通路で結ばれる予定です。
「高輪ゲートウェイ」命名の理由は?
「品川」「田町」「恵比寿」「上野」など全ての駅で漢字2文字~3文字の駅名を採用している山手線ですが、なぜカタカナ混じりの長い名前にしたのでしょうか?
JR東日本は、命名の理由を「国際交流のある玄関口=ゲートウェイ」とし、「過去と未来、日本と世界をつなぐ結節点としてふさわしい名。多くの人に愛され、浸透して欲しい」と語っています。
しかし、この命名には批判の声も聞かれます。山手線新駅の名前は公募で決められたのですが、「高輪ゲートウェイ」は応募数が36件の130位だったのです。
駅名公募TOP10
順位 | 候補名 | 件数 |
1位 | 高輪 | 8,398件 |
2位 | 芝浦 | 4,265件 |
3位 | 芝浜 | 3,497件 |
4位 | 新品川、泉岳寺 | 2,422件 |
6位 | 新高輪 | 1,275件 |
7位 | 港南 | 1,224件 |
8位 | 高輪泉岳寺 | 1,009件 |
9位 | JR泉岳寺 | 749件 |
10位 | 品田 | 635件 |
応募数1位の「高輪」や2位の「芝浦」が不採用となった理由は、過去に同名の駅名があったり、品川駅高輪口や白金高輪駅、高輪台駅など「高輪」とつく駅名が多かったためと考えられます。
なぜ高輪ゲートウェイは設置される?
そもそも、なぜ高輪ゲートウェイ駅は設置されることが決まったのでしょうか?
高輪ゲートウェイ駅の設置される場所には、もともとJR東海道線などの車両基地がありました。しかし、ブルートレインの廃止や2015年3月上野東京ラインの開業により収容車両数が大幅に減少したことから、基地の見直しを行ったのです。
その結果、約13ヘクタールもの広大な土地が創出され、新駅創設につながりました。
高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発
高輪ゲートウェイ駅は、駅の設置だけでなく、オフィスビルが建ち並ぶ「街」が誕生する予定です。
現在のところ、再開発の第1期では4棟の巨大超高層ビルと1棟の大型低層ビルが建築される予定です。
高層ビルの高さは1街区45階建、3街区31階建、4街区30階建など30~45階建で、5棟の敷地面積は約72,000㎡、延床面積は約851,000㎡と東京都心でも最大級の再開発計画となっています。
高輪ゲートウェイ誕生による経済効果
2027年開業予定のリニア中央新幹線のターミナルである品川駅に近いことから、経済効果は1兆4,000億円とも言われています。加えて今後は再開発に関係する関連企業の株価への影響も予想されます。
例えばJR山手線を手掛けるJR東日本や、京浜東北線を手掛ける京浜急行電鉄、その他高輪ゲートウェイ駅周辺に不動産を保有する西武ホールディングス、鉄道工事を手掛ける鉄建建設などが関連銘柄として影響を受けることが考えられます。
新駅開発が地価上昇につながりやすい3つの理由
高輪ゲートウェイ駅のように、新駅開発が高い経済効果を発揮することをお伝えしましたが、地価に関しては具体的にどのような理由で上昇するのでしょうか?
ここでは、以下の3つの理由について解説します。
- 利便性向上
- 雇用増加
- 居住人口増加
利便性向上
新駅が設置されることで交通利便性の向上という意味と、再開発による商業施設の増加という2つの意味で利便性が向上します。
雇用増加
新駅設置により、駅員や駅内の施設、コンビニエンスストア、お土産屋さんなどに関する雇用が増加するとともに、再開発による商業施設の増加により、雇用が増加します。
特に高輪ゲートウェイ駅の場合、後者の影響は大きく、10万人規模の増加が見込まれているそうです。
居住人口増加
利便性の向上と雇用の増加により周辺に住むことを希望する人が増え、居住人口の増加が期待されます。