公示地価に見る住宅の人気トレンドと背景!山の手の高台よりタワーマンション?

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平成29年3月21日、地価が公示されました。銀座の地価はバブル期を超えるほど水準が上がっており、地価最高額は銀座4丁目の1平方メートル当たり5,050万円となりました。地価の上昇は都心に限らず地方圏でも見られ、地価回復の兆しが見えています。

しかし、かつて憧れの的だった"山の手の高台"にある住宅ですが、今ではその人気は凋落し、新たなトレンドが生まれています

都内で山の手と言うと、渋谷区の松濤、港区の麻布、大田区の田園調布などが挙げられますが、それぞれ平成3年のバブル期と比較して公示地価が大きく下がっているのです。

そこで今回は、人気凋落の背景と昨今のトレンドを検証し、不動産価値について考えてみましょう。

かつて憧れだった住宅街の人気が衰えた背景

バブル期までは、山の手の閑静な住宅街に暮らすのがステータスであり、誰もが憧れているものでした。しかし、かつて人気のあった山の手の高台にある高級住宅地も、今ではエリアブランドに陰りが見えています。

山の手にある住宅街の人気が衰えた背景として、少子高齢化によるニーズの変化が考えられます。住人の高齢化によって、かつての人気要素がマイナス要素に変わっているのです。

ポイントとなる要素を、それぞれ見ていきましょう。

(1) 駅から遠い→コンビニが少ない

高台にある山の手の住宅街は、閑静な住環境と景観の良さが売りでした。しかし、駅周辺の喧騒から離れた静かな環境は、裏を返すと、住宅ばかりで周辺にコンビニもない不便な街、ということになってしまうのです。

コンビニは、食料や生活必需品をそろえているほか、ATMや各種支払い、宅配の受け取りなどの機能を備え、いまや若者だけではなくファミリーや高齢者の生活にも必要不可欠な存在です。そのため、家の近くにコンビニがないのは大きなマイナス要素になりえます。

(2) 高台に位置する→坂道が多い

また、高台に位置しているのもマイナス要素のひとつです。眺望が良い代わりに坂道を登らなければならず、日々の移動で登り降りを強いられ、買い物などの外出も不便でしょう。足腰が弱くなりがちな高齢者にとって、住みやすい環境とはいえません。

これがタワーマンションであれば、高層階なら眺望も良く、駅近、フラットな道、エレベーターがあるなど、高齢者にとっては便利で住みやすい環境が整っています。

(3) 憧れの一戸建て住宅→維持管理が難しい

子供が独立して高齢化した夫婦や、配偶者に先立たれた一人での生活では、一戸建て住宅における庭の手入れや、建物自体の修繕などが難しくなります。フラットな土地、かつ利便性の高い地域で、維持もオーナーや管理会社に一任できるマンション暮らしをする方が楽でしょう。

こうした要因から、高台にある山の手の住宅を売却し、利便性の高い中心部のタワーマンションなどへ移住しようと考える高齢者が増えています

都心部のタワーマンションに人気が集まる理由

「タワマン節税」というキーワードが流行したこともあり、昨今のタワーマンションへの注目度は大きく上がっています。タワーマンションが立ち並ぶエリアは再開発地区が多く、商業施設や緑地などが総合的に整備されているのが大きな魅力です。

働く世代にとっては通勤時間が短縮でき、高齢者にとっては余暇を楽しむための施設が充実している傾向にあります。例として、港区、湾岸エリアの2か所に注目して見ていきましょう。

港区のタワーマンションは憧れの存在

特に港区では、六本木の東京ミッドタウン、赤坂の赤坂サカスといった大規模な再開発が行われたことから、駅周辺に高級ブランドや話題の人気店が入った商業施設と、タワーマンションが調和するように建ち並んでいます。

六本木、赤坂周辺には在京民放4局の本社があるほか、大手IT関連企業なども多く、ヒト・モノ・カネ・情報が集積しています。

そのためか、このエリアのタワーマンションにはIT企業の経営者や著名人などの高額所得者が暮らし、今では山の手の住宅街に代わる憧れのブランドエリアとなっています。

割安感のある中古物件も増加

一方の湾岸エリアは、東京五輪の競技施設や選手村の建設が予定されています。

中でも選手村は、東京都が「誰もがあこがれ住んでみたいと思えるまちに」という目標を掲げ、五輪後に大規模な住宅街へと作り変える計画があります。交通アクセスの利便性も向上され、今後はさらに魅力のあるエリアになる見込みです。

この地区ではタワーマンションの建設ラッシュが続き、2015年まで価格が上昇し続けていましたが、2016年で高止まりしています。

そのため六本木・麻布や渋谷・青山といった地区と比べると価格帯が低くなっており、割安感のある中古物件も増えていることから、今もなおタワーマンションの人気が続いています。

視点を変えれば、高級住宅街の築古物件を活用できる?

タワーマンション人気は近年におけるトレンドですが、一方で、築古の住宅をリノベーションして活用するというトレンドもあります。高台の住宅は売り物件が増え、近年では空き家が目立つ住宅街も珍しくないことから、なかには格安物件も出てきているのです。

「住宅は資産」という概念を切り替えて「消費財」と捉えれば、かつての高級住宅街の築古物件を安く購入してリノベーションするのもひとつの選択肢になります。建物は消費財でも、土地は資産として残りますから、不動産価値が消滅するわけではありません。

建物にかけた費用と固定資産税を住居年数で割った金額が家賃と同程度なら、土地が値下がりしない限り、損失は出ないことになります。さらに、もしトレンドの潮目が変わって再び人気のエリアになれば、キャピタルゲインを得ることも可能でしょう。

トレンドには周期がある

今はタワーマンションが人気を集めていますが、不動産のトレンドには周期があり、高台人気がまたやってくることも考えられます。また、リノベーションやシェアハウスといった新しいトレンドも次々と誕生しています。

そのため賃貸経営を行う際には、長い目で見て収益性があるかどうか、また別のトレンドがやってきた時にどういった対策をしていくかなど、あらかじめリスクを踏まえた計画を立てておくことが大切です。

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