アパート経営するからには当然利益を生まなければ意味がありません。確実に利益を生むには最初の資金計画がどれぐらい緻密に、正確にたてられるかがポイントです。またアパート経営は個人事業にあたるため、翌年の2~3月にかけて確定申告をする必要があります。この確定申告によってかなりの節税が見込めます。資金計画はどのようにしていけばいいのか、また確定申告で節税するにはどういうものがあるのか知っていきましょう。
1.資金計画
初期投資としてかかるのはアパート建築資金やアパートローンの頭金などがあげられますがアパート建築資金には以下のようなものが挙げられます。
- 建物本体にかかる費用
- 屋外電気、ガス工事、給排水工事費用
- 駐車場や造園費用
- 地盤改良工事、空調設備工事費用
- 税金や諸費用
建物本体ですが、入居者の満足度を考え、外装やデザインにこだわる、もしくは利益を優先するばかりに初期費用を抑えようとするとアンバランスが生じてきます。いくらデザイン性に優れていたからといっても必ず入居者のニーズにマッチしているとは言い難く、また利回りを気にして安く建築すると、全体的にみすぼらしくなり入居者が入らない......これでは本末転倒となってしまいます。
まずはどういった入居者をターゲットとしているのかをあらかじめ絞っておく必要があります。単身者向けかファミリー向けかでも間取りは変わってきますし、必要設備なども違いが出てくるでしょう。また建物の構造や工法も様々です。不動産業者によっては単身者向けの最新設備を取り入れていたり、ファミリー向けのアパート造りに力を入れていたりするところもあります。
またアパートローンですが、不動産会社が提携する銀行によりまちまちです。実際にアパートローンを組む際はパートナーとなる不動産会社が協力して各銀行に審査の打診をしてくれるかと思います。自身でもどういった銀行からアパートローンが借りられるか、借入期間や金利タイプなどを知り、大切な資金計画に反映してみてください。
また、ランニングコストも資金計画にきちんと入れましょう。ランニングコストとはリフォーム代、管理費や修繕積立金の増額などがあげられます。突発的な出費も予想して資金計画に組み込まなければなりません。
2.確定申告
所得税について
冒頭で述べましたが、アパート経営で所得を得た場合所得税を納税しなければならず、それは確定申告で納税します。アパート経営を始めた年は、どうしても必要経費が手取り収入より多くなってしまうため帳簿上赤字になってしまいます。その場合確定申告することで、損益通算により給与所得と不動産所得を相殺することができます。相殺することで不動産所得の赤字分を給与所得と合算し、税金還付が受けられます。
所得税はどのように出すかというと、
①収入-必要経費=所得
↓
②所得-所得控除=課税所得
↓
③課税所得×税率=税額
↓
④税額-税額控除=納税額
となります。
①の必要経費については後に述べます。②の所得控除ですが、これは基礎控除や扶養控除、社会保険控除や生命保険料控除などが当てはまります。③の税率ですが国税庁HPに載っていますので参考にしましょう。所得が大きければ大きいほど税率は上がっていきます。④の税額控除は主に住宅ローンです。
話は戻りますが、①の必要経費には以下のものが当てはまります。
固定資産税 | 土地や家屋、有形償却費などを所有している人に課税される地方税のこと |
---|---|
不動産所得税 | 不動産が所在する都道府県が、取得者に課す地方税のこと |
登録免許税 | 登記料ともいい、登記するためにかかる費用 |
事業税 | 地方税。賃貸所得が290万以上の場合課税対象となるが、他に個人事業を行っている場合合算になるため290万円以下でも課税される場合がある |
損害保険料 | アパート経営するのに必要な火災保険料、個人賠償保険料など |
修繕費 | 所得税の通達により定められた範囲による |
水道光熱費 | 主にエレベーター動力費や屋外での水道代など |
借入金利子 | 借入金で建築した場合、利子分は事業開始から必要経費となる |
減価償却費 | 下記参照 |
その他 | 税理士費用や消耗品など |
青色申告と白色申告
確定申告には2種類の申告があります。
[白色申告]
貴重義務がなく簡単に申告ができるもの
[青色申告]
不動産所得が予想される人は開業後2カ月以内に税務署へ青色申告承認申請書を提出することで青色申告をすることができる。白色申告より記載は多く面倒に思われがちだが、様々な税法上のメリットを受けることができる
減価償却とは
アパートを建築した年には、建物や設備費用など大きな金額がかかっています。その費用を毎年の経費に分けることで控除するやり方です。建物の場合定額法と決まっていますが、設備では定額法と定率法と2種類の計算式があり、定率法を選択したい場合はアパート経営を開始する翌年の確定申告までに税務署へ届け出が必要となります。
まとめ
税金還付を受けるには、税金の仕組みを知ることが大切です。特に確定申告は様々な特例や規制があり、それらすべてを覚えるのはなかなか難しいことです。そのような場合は税理士や会計士など専門の方からアドバイスをもらうなり、不動産業者に相談するなどしましょう。またどんなものにいくらかかるのかを把握しそれが今後どのように作用していくのかを理解することが、今後のアパート経営の成功へとつながっていきます。