不動産トラブルの起きやすい「借地」と「底地」の基本まとめ

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具体的な借地権の内容は?

旧法の借地権では、石造など「堅固」な建物には30年以上、木造など「非堅固」な建物には20年以上の存在期間が定められています。

これに対して、新法の借地権では、建物の区分なく一律30年の存在期間となっています。旧法、新法とも、それぞれの存在期間が経過した後の更新期間も定められています。

新法では更新のない定期借地権が定められています。定期借地権には、[1]存在期間50年以上の「一般定期借地権」、[2]存在期間10年以上50年未満の「事業用借地権」、[3]存在期間30年以上の「建物譲渡特約付借地権」の3種類があります。

借地権と底地権は表裏一体の関係

地主側から見ると、土地に対する通常の所有権は何の制約もない「100%の権利」ということができます。

これに対して、他人の借地権がある場合、地主は自由に土地を使えなくなります。そのため、地主の権利である底地権は借地権と表裏一体の関係にあるといえるのです。数式で表すなら「所有権−借地権=底地権」という関係になります。

借地権の評価は、通常の土地の評価額に「借地権割合」という一定の率を乗じて計算し、主に相続、遺贈、贈与などにより取得した借地権の財産評価を算出する場合に使われます。

たとえば、土地の評価額が1,000万円、その土地の借地権割合が80%とすると、借地権の評価は800万円(1,000万円×80%)ということになります。底地権の評価は、通常の土地の評価から借地権の評価を差し引いた200万円(1,000万円−800万円)ということになります。

なお、借地権割合は路線価などが掲載されている国税庁HPの財産評価基準のページに記載されています。

参考:財産評価基準書|国税庁

借地権と底地権に関するトラブルと対処法とは?

借地権と底地権はトラブルが発生しやすい分野

一般に、土地は金額的にも重要な資産であり、同一の土地に複数の権利者が存在することとなる賃貸借関係ではトラブルも発生しやすくなります

トラブルが発生するタイミングとしては、契約の締結や更新のとき、土地や建物が譲渡されたとき、相続が発生したときなどが挙げられます。

トラブルの内容としては、権利や義務に関する認識の違い地代や一時金の金額についての主張の違いなどが挙げられます。

たとえば、地主が他の人に土地を売却した場合、新しい地主と土地賃借人(借地権者)との間で地代の金額について折り合いが付かなくなる、というケースなどがあります。

トラブルや問題への基本的な対処法はどうすればよいか

借地権、底地権に関する法律が一般的に理解しにくいものであること、また、家主が更新を拒絶するときの正当事由や地代の金額など画一的に決まらない問題が多いことから、当事者だけで解決するのが難しい面があります。

解決手段も、通常の交渉だけでなく、調停、訴訟、借地非訟と呼ばれる手続など多岐にわたることから、弁護士など適切な専門家への相談が必要になることも多いと考えられます。

まとめ

以上のように、借地権と底地権に関するトラブルには様々なものがあり、専門家に相談しなければ解決できないケースもあります。相談が必要かどうかを判断する前提としても、何が問題となっていて、どのような対処法があるのかを把握しておくことは有用でしょう。

次回以降の特集でも、借地権と底地権に関する典型的なトラブルとその対処法の概要をお伝えしていきますので、ぜひ理解の一助としてお役立てください。

特集:不動産トラブルで多い借地・底地に関する問題と解決

第1回不動産トラブルの起きやすい「借地」と「底地」の基本まとめ【当ページ】
第2回借地権と底地権について、よくあるトラブルと解決法
第3回借地人の立場から見る、よくある借地権トラブルと解決ケーススタディ
第4回地主の立場から見る、よくある底地権トラブルと解決ケーススタディ