老老介護時代に備える資産運用は安定収入が確保できるアパート経営が魅力的

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将来、老老介護となる可能性のある世帯は、年々、増加傾向にあります。そのため、公的年金だけでは将来が不安だという人にとっては早い時期からの資産運用も選択肢となります。

資産運用には様々な種類のものがありますが、今回は特に安定収入と相続税にも有効になるアパート経営について解説したいと思います。

アパート経営で老後資金を確保

ここでは、すでに保有している土地にアパートを新築して資産運用する例を見てみましょう。

地方都市にワンルーム8戸の木造2階建てアパートを建築する費用が4,000万円かかったとします。1部屋当たりの賃料が4万5千円とすると、8戸の月額賃料が36万円、年間家賃収入が432万円となります。

入居者募集や契約事務を含む賃貸管理を管理会社に委託した場合の経費が家賃収入の20%相当と仮定すると、年間管理経費が86.4万円と計算され、これを差し引いた年間利益が345.6万円となります。

毎月ざっと28.8万円が入ってくる計算となりますが、これだけの収入があれば、生活にもかなりゆとりが出るのではないでしょうか。なお、この時点の利回りを計算すると8.64%(345.6万円÷4,000万円)となります。

もちろん、実際には建物を建築した際の不動産取得税がかかるほか、土地および建物の評価額に応じて毎年固定資産税や都市計画税を支払う必要もあるため、実際の利回りはもう少し低くなることが考えらます。

それでも、老後までにアパート1棟を保有することで、老老介護などの不安要素を緩和する方法の1つにはなりそうです。

それでは、このアパートを保有している間、売却した際どのような税金がかかるかについても確認しておきしょう。

まず、アパートを保有している間は、毎年の賃貸収入が不動産所得に該当するため、確定申告することにより所得税を納付することになります。これに対して、不動産を売却した場合には、譲渡所得が発生し、売却益部分について所得税を納付する必要があります。

もし、老齢年金をもらっている場合には、年金受給額が雑所得(公的年金等)に該当し、上記の不動産所得や譲渡所得とともに確定申告することになります。また、仮に不動産所得で赤字が発生した場合には、年金の雑所得など他の所得と損益通算することができるため、節税につながる場合もあります。

アパートを保有している場合 不動産所得による所得税の納付が必要
アパートを売却した場合 譲渡所得による所得税の納付が必要
老年年金をもらっている場合 年金受給額が雑所得に該当するため、上記不動産所得や譲渡所得とともに確定申告が必要

相続にも有効なアパート経営

利回りでも、安定収入という意味でも魅力的なアパート経営ですが、相続税の面で有利になるというメリットも無視できません。

資産を現金や預金として保有している場合より、土地や建物などの不動産として保有している場合の方が相続税計算のもとになる相続税評価額が低くなるからです。

たとえば、土地の場合では実勢価格の8割程度、建物であれば建築費の5割~7割程度の評価額となりますので、資産を不動産で保有するメリットが大きいことがわかります。

また、不動産を自分で使用している場合より他者に賃貸している場合の方が、土地、建物ともに相続税評価額がさらに低くなります。このため、資産を不動産かつ賃貸物件として運用できるアパート経営は優位性を持っているといわれます。

老老介護に備えた資産運用の例

自宅兼賃貸アパートで計画的なセカンドライフを送るAさん(65才男性)

仕事を定年退職したAさんは、妻のBさん(64才)と2人暮らし。Bさんは要介護度2であり、軽度の介護が必要となっています。

Aさんは退職を機に、かねてから夫婦二人では持て余し気味だった自宅を売却。退職金と合わせてアパートを購入しました。

アパートを購入したのは、自分たちの住居とするとともに、賃貸物件として活用し、妻の介護費用と老後の生活費を確保するためでした。

Aさん元気であるものの、妻のBさんの介護を全般的に行う体力はなく、介護サービス利用による毎月の介護費用の自己負担額は2万円程度です。年金受給額は2人合わせて月16万円ですが、これだけでは日々の生活を十分に過ごすこともできないと分かっていたため、退職前から老後のライフプランを計画していました。

アパートの家賃収入と夫婦の年金、合わせて月40万円程度の収入があるため、老後のセカンドライフの楽しむだけの余裕も生まれています。

年金とパートとアパート収入に支えられるSさん(66才女性)

過去に離婚しているSさんは、飲食店のパートタイムをしながら、要介護度3の実母Tさん(90才)と持ち家に同居しています。Tさんの夫(Sさんの父親)はすでに亡くなっており、親子2人暮らしであるため、Tさんの身の回りの面倒は基本的にSさんが見ています。

ただし、介護に関してはプロの力を借り、デイサービスと訪問介護を組み合わせることにより、Sさんもパートタイムの仕事や自分の時間を持つことができています。介護費用の自己負担額は3万円程度かかります。

SさんとTさん2人の年金受給額が月14万円、パートタイムの給与が月5万円であるため、これだけでは生活に余裕はありません。

しかし、Sさんにはアパート経営による収入が毎月18万円あるため、持ち家での生活には十分と感じています。

アパートは、Sさんの父親からの暦年贈与を蓄えてきた資金とSさん名義の不動産ローンで取得したものであり、仮にTさんが亡くなっても、相続税などの心配はありません。Sさんは、計画的な資産運用を進めてくれた亡き父に感謝しています。

まとめ

資産運用の方法としてはアパート経営以外にも様々なものがあります。早めに将来の計画を立て始めることで、対応策の幅も広がります。将来の安心につながる資産運用について早速考えてみるのもよいのではないでしょうか。

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