住宅ローンを完済しても、それで終了だと安心してはいけません。実は住宅ローンを返し終えた後にも、まだやるべきことがあります。
この記事では、住宅ローン完済後に必要な抵当権抹消手続きと、火災保険の質権消滅手続きについて詳しく解説します。
住宅ローン完済時の必要手続きその①「抵当権抹消手続き」
住宅ローンを完済したら、すぐに着手しなければならないのが抵当権抹消手続きです。
抵当権とは、住宅ローンの契約をする際に土地や建物に設定される権利のことで、設定は金融機関が行います。抵当権が設定された住宅ローンは「有担保ローン」とも呼ばれます。
抵当権が設定される理由は、ローン契約者がローンを返済できなくなる場合があることから、貸したお金をきちんと返済してもらうためです。
購入した土地や建物に抵当権を設定するため、もし住宅ローンの返済が滞ってしまった場合は、競売にかけられてしまう可能性もあります。
抵当権を抹消しなかったらどうなる?
住宅ローンを問題なく完済したら、抵当権は必要なくなりますが、手続きをしない限り抵当権はそのまま残ります。
登記簿謄本に抵当権が残っていると、住宅ローンを完済していることが証明されず、売却する際に不利になる場合や新たなローンが組めないことがあります。
車の購入や家のリフォーム時など、まとまった金額のローンを組みたくても、抵当権が残っているために審査で不利になる可能性があります。
また、抵当権を抹消しないまま長い年月が経過して、遺族が不動産を相続することになった場合にも不都合が生じることがあります。
例えば、弁済の事実確認に手間取ったり、そもそも抵当権があったことを知らなかったりと、相続人がスムーズに手続きを進められないことが考えられます。
そのほか、抵当権抹消手続きを放置して長い時間が経ってしまうと、金融機関の合併や商号の変更などによって新たに書類を取り寄せる必要が出てきたりと、手間が掛かってしまうこともあります。
抵当権が残ったままだと、あらゆる面において不利になってしまうため、住宅ローン完済後にはすぐに抵当権抹消手続きを行いましょう。
抵当権抹消手続きの期限について
抵当権の抹消に期限はありません。しかし手続きは早めに済ましておいた方がいいでしょう。
なぜなら、金融機関から送られてくる「抵当権抹消手続きに関する書類」の中には、期限付きの書類もあるためです。その期限は3カ月と短めなので気を付けましょう。
なお、金融機関から送られてくる書類は以下の通りです。
- 弁済証書(金融機関によっては解除証明書)
- 登記済証または登記識別情報
- 登記事項証明書(期限は3ヶ月以内だが、期限を過ぎても再発行可能)
- 委任状