【2019年版】土地の公示価格を徹底分析!今後の不動産価格はどうなる?

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2019年の公示地価が発表されました。全国の傾向や都市圏の傾向、都市圏と地方圏などエリアごとの比較や過去からの推移についてご紹介し、今後の不動産価格の見通しを解説していきます。

【2019年】全国の公示地価の変動率推移

  • 三大都市圏とは、東京圏・大阪圏・名古屋圏を指します。
  • 地方圏とは、三大都市圏を除く地域を指します。
  • 地方圏(地方四市)とは、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市を指します。
  • 地方圏(その他)とは、地方圏の地方四市を除いた市町村の区域を指します。

引用元:平成31年地価公示 - 国土交通省

用途別

住宅地

雇用、所得関係の改善や低金利環境の継続、住宅取得支援政策などによる需要の下支えもあり、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調でした。

全国平均としては、10年ぶりの上昇となった昨年よりさらに上昇率を伸ばし、地価変動率は対前年比0.6%となっています。

商業地

オフィスについて、働き方改革等に対応したオフィス環境の改善のための拡張・移転の動きが見られ、空室率は概ね低下傾向となり、賃料が上昇しました。

また、外国人観光客をはじめとした訪問客の増加や、インフラ整備や再開発事業の進展による利便性、繁華性の向上などを要因とした収益性の高まりが見られます。

こうしたことから、商業地の地価変動率(全国平均)は4年連続の上昇で、上昇率も昨年の1.9%から大きく伸ばして2.8%となっています。

工業地

インターネット通販の普及・拡大に伴い、物流施設や工場の立地の増加が見られています。

工業地の地価変動率(全国平均)は3年連続の上昇で、上昇率も昨年の0.8%から伸ばして1.3%となっています。

三大都市圏(東京、大阪、名古屋)、および地方都市ごとの傾向

三大都市圏(東京、大阪、名古屋)では全用途平均、住宅地、商業地、工業地のいずれについても、昨年の上昇率をさらに伸ばしました

地方圏でも、全用途平均と住宅地が平成4年以来27年ぶりの上昇、商業地と工業地は2年連続の上昇と、上昇基調を強めています。

しかしすべての地方で上昇しているわけではありません。地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では上昇率が高く、一方でその他の地域の平均では住宅地と全用途でマイナスとなっています。ただし、いずれの地域においてもマイナス幅は縮小しました。

東京圏の傾向

順位 公示地価平均(円/㎡) 坪単価平均(円/坪) 変動率
1位 中央区 821万9777円 2717万2819円 8.21%
2位 千代田区 633万0721円 2092万8004円 7.18%
3位 渋谷区 423万4271円 1399万7590円 7.42%
4位 港区 361万1975円 1194万0415円 7.82%
5位 新宿区 326万3794円 1078万9404円 7.10%
6位 豊島区 144万7581円 478万5394円 8.16%
7位 台東区 137万6259円 454万9617円 10.59%
8位 目黒区 119万5400円 395万1735円 4.94%
9位 文京区 118万1450円 390万5623円 7.53%
10位 品川区 116万0600円 383万6694円 6.47%
11位 中野区 81万2547円 268万6106円 5.91%
12位 世田谷区 69万0153円 228万1500円 5.06%
13位 北区 65万7836円 217万4665円 7.93%
14位 大田区 62万7693円 207万5021円 3.90%
15位 杉並区 61万7023円 203万9746円 5.24%
16位 荒川区 60万5586円 200万1937円 8.89%
17位 墨田区 58万9458円 194万8622円 7.02%
18位 江東区 58万3708円 192万9614円 6.89%
19位 板橋区 47万5214円 157万0956円 5.45%
20位 練馬区 43万5136円 143万8467円 3.54%
21位 江戸川区 39万2703円 129万8192円 4.83%
22位 足立区 36万7663円 121万5416円 5.16%
23位 葛飾区 36万2640円 119万8811円 3.83%

東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)においてはいずれの用途においても6年連続で上昇し、さらに上昇幅も伸ばしています。

特に商業地での上昇がめざましく、昨年3.7%だった地価変動率を4.7%まで伸ばしました。

住宅地については、東京都区部北東部で相対的に低い価格水準でありながら、都心への交通利便性が高いことから上昇幅の拡大が目立つほか、神奈川県横浜市緑区では橋本駅のリニア中央新幹線の停車駅としての期待から需要がみられます。

商業地については、神奈川県川崎市において再開発事業の進展による店舗需要やマンション需要による上昇幅の拡大が見られるほか、埼玉県さいたま市の大宮区や浦和区の店舗・オフィス需要が堅調です。

大阪圏の傾向

大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)においても、いずれの用途においても昨年から上昇幅を伸ばしています

特に上昇がめざましいのが商業地で、昨年の地価変動率4.7%から6.4%にまで上昇しています。大阪府大阪市において外国人観光客で賑わう心斎橋やなんば地区等多くの地域で店舗やホテル需要が堅調です。

一方、奈良県では奈良市に外国人観光客の影響による上昇が見られるものの、北部地域や西部地域等大阪近郊を除く多くの市町で下落がみられます。

住宅地においては、大阪府大阪市内においてマンション需要の堅調な西区、浪速区や中央区で高い上昇が見られるほか、泉佐野市では関西国際空港の関係者による需要が堅調です。

名古屋圏の傾向

名古屋圏(愛知県、三重県)においても、いずれの用途においても上昇幅を伸ばしています

住宅地においては、愛知県名古屋市中区や栄・伏見・大須地区を中心に、地下鉄徒歩圏のマンション需要が旺盛で高い上昇がみられます。
一方三重県ではほとんどの市町で下落しました。

商業地においては、愛知県名古屋市中区や東区を中心に、オフィス、店舗需要やホテル、マンション需要が旺盛で、名古屋市内全ての区で上昇、さらに多くの区で上昇幅を伸ばしています。
三重県においても、桑名市の鉄道駅周辺でのマンション需要が堅調で上昇しています。