2017年度の介護保険法改正のポイント!3割負担の導入も

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改正介護保険法が2017年5月に成立しました。今回の改正により、従来は1割だった自己負担が、一部の利用者については3割の負担になることが決定。一方で、新たなサービスも創設されるなど、一般の消費者にも大きく影響する変更となりました。

今回は2017年度の介護保険法改正に至るまでの経緯と目的、そして改正事項の中で抑えておくべきポイントを解説します。

介護保険法改正の背景

介護保険法が施行されたのが2000年4月。以来、介護サービスの利用は年々増え続け、全体の利用者数は2000年から2015年の15年間で149万人から512万人へと跳ね上がりました。

一方で、介護費用も年々増加傾向。現在は9兆円ほどの介護費用が、2025年には20兆円程度にまで増大する見込みもあります。医療費についても、2012年の41兆円という水準から、2025年には60兆円超になるという試算があります。

以上のような介護を取り巻く状況を考えれば、保険料収入の確保と介護費用の抑制に加えて、より効率的な介護サービスの提供を同時に達成していく必要があります。

そのために介護保険法の改正は頻繁に行われ、2017年の改正もこういった課題の解決を目的として検討されています。

2017年介護保険法改正のポイント

それでは今回の介護保険制度改正において抑えておくべき重要な3つのポイントをご紹介します。

1. 介護費用の「3割負担」の導入

介護費用の利用者負担割合、いわゆる「自己負担」の割合に変更があります。2017年改正では一部のサービス利用者の自己負担を、所得に応じて2割から3割に引き上げることになりました。

具体的な基準は政令に従いますが、基本的に「合計所得金額220万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額340万円以上」となる場合が3割負担になる見込みです。なお、この「340万円以上」というのは単身世帯の場合であり、夫婦世帯の場合には「463万円以上」となります。この基準によると、仮に単身で年金収入のみの場合は344万円以上に相当します。

つまり、いままで「所得の高い層」の自己負担を2割としていたところを、「その中でも特に所得の高い層」の自己負担を3割に引き上げる形となりました。

ただし負担の月額上限は44,400円となっています。したがって自己負担額の割合が1割から2割、3割と増えたからといって、介護費用が単純に2倍、3倍になるという訳ではありませんので、その点は安心できるといえます。

2. 介護保険料の「総報酬制」の導入

多くの人に影響を与える改正に「介護保険料の総報酬制」があります。

そもそも介護保険制度の財源は、半分は税金で、もう半分は40歳以上の人が支払う保険料でまかなわれています。

保険料の支払いは、主に給付の対象となる65歳以上の高齢者(第1号被保険者)と、40歳〜64歳の現役世代(第2号被保険者)に分けられおり、両者の配分はそれぞれの人数などに応じて設定される決まりです。

このうち、40歳〜64歳である第2号被保険者の保険料は、協会けんぽをはじめとする医療保険者が「介護納付金」として一括納付しています。

従来は、各医療保険者の被保険者数に応じて介護納付金が決まる「加入者割」という方法がとられていましたが、今回の改正では報酬額に応じて介護納付金が決まる「総報酬割」に変更されました。

つまり、一般に報酬額の多い公務員の共済組合や大手企業が加入する健保組合では負担が大きくなり、一般に報酬額の少ない中小企業が加入する協会けんぽでは負担が軽減されることになります。

影響を受ける被保険者の数は、「負担増となる人が1,300万人」、「負担減となる人が1,700万人」と試算されています。そのため、激変緩和措置として2017年8月負担分から段階的に導入されています。

3. 新たな介護保険施設「介護医療院」の創設

日常的に医学管理が必要な、状態の重い高齢者は今後も増えていくことが予想されています。慢性的な医療や介護ニーズに対応できる新しい介護保険施設として創設されるのが「介護医療院」です。

「介護医療院」は、介護保険法と医療法をまたぐ改正として注目を集めています。特徴として、日常的な医学管理や看取り、ターミナルケアなどに対応できる機能と、生活施設としての機能を併せ持っています。介護保険法上では「介護保険施設」でありながら、医療法上は「医療提供施設」となります。

既存の医療機関が「介護医療院」に転換した場合、病院の名称は続けて使うことができます。ただし、利用者の誤解を防ぐため、名称の中に「介護医療院」の文字を含めることが求められています。

病院ではないが、医療が提供される。なかなかイメージしにくい形ですが、今後の高齢化社会を支える新しい施設の形態になるかもしれません。

まとめ

人口の中で高齢者が占める割合は今後大きくなっていきます。この事実が変わることはなく、介護や医療のあり方も急激な変化を求められています。

一般消費者である私たちも、生活の中の様々な変化に応じる柔軟性が大切になってきます。今回の改正もまだ未確定な事柄もあるため、今後の動向にも注意をしていく必要がありそうです。

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