遺品整理のトラブル防止ガイド!SNS別のアカウント対処法もご紹介

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動産と不動産の違いとは?

不動産・動産の違いについては、民法86条1項で「土地及びその定着物は,不動産とする」2項では「不動産以外の物は,すべて動産とする」と定められています。動産の範囲は幅広く、携帯電話や銀行口座、クレジットカードなどの各種サービスや株式なども該当します。

  • 不動産:土地とその定着物(家などの建物)
  • 動産 :それ以外の自動車や家具、貴金属、現金など

動産の相続、特に相続税の税額などに影響を及ぼすのが「評価」です。自動車であれば中古車業者の査定額、貴金属であれば金取引市場の価格など、その動産の価値に精通したエキスパートの意見や市況を参考に評価額が決まります

対応に困りがちな動産の処理方法

故人の財産や契約に関する動産

動産でよくトラブルの原因となるのは「クレジットカード」や「銀行口座」、「携帯電話」などの処理です。

クレジットカード

解約をしなければ、年会費が請求され続けます。クレジットカード会社によって異なりますが、親族であれば電話や書面での解約手続きが可能です。

支払い残高がある場合は銀行口座からの引き落としとなります。すでに銀行口座が凍結されているならば、クレジットカード会社と相談して清算しましょう。

銀行口座

口座の名義人が亡くなると、銀行口座が凍結されて入出金ができなくなります。特定の親族が勝手に現金を引き出して、自分のものにしてしまうことを防ぐためです。銀行口座にある財産をどう相続するかを決めた上で凍結解除の手続きを行いましょう。

相続人が1人、あるいは遺言書がある場合は、故人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明などの必要書類を銀行に提出することで凍結を解除できます。相続人が複数いる場合には、遺産分割協議書を提出してください。

株式

個人名義の株式は、本人の死亡届が受理された後は一切売買ができなくなります。売買を行うためには、株式をどのように相続するかを決めて、証券会社・株式発行に対して相続人へ名義変更しなければなりません。

手続きに必要な書類は、株式名義書換請求書、株券、故人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書などです。

デジタル遺品

最近では、SNSアカウント・通販や有料会員サイトのアカウントなど、故人の所有するデジタル機器やインターネット上に残したデータである「デジタル遺品」の処理についてのトラブルも増えていますので、忘れずに対処しましょう。

SNSアカウント

亡くなった人のアカウントが放置されると、なりすましや個人情報の流出、詐欺などの犯罪行為に悪用される可能性があります。アカウント所有者が亡くなった際は、アカウントの削除や切り替えなど、適切な処理を行いましょう。

アカウントの凍結・削除方法
Facebook 追悼アカウントへの切り替えが可能。
生前のうちに「追悼アカウント管理人」の指定が可能。
Instagram 追悼アカウントへの切り替えが可能。
Twitter 故人のアカウントの削除申請が可能。
遺族や相続人が管理者権限を引き継ぐことも可能。
LINE 当人以外のアカウント削除は原則不可能。
アカウントの削除は個別対応。

●Facebook、Instagram

遺族や友人が死亡届などの客観的な証拠を運営会社に提出することで、「追悼アカウント」に切り替えることができ、それ以降は内容を変更できなくなります。また、SNS内の友人に、故人が亡くなったことを知らせることも可能です。

Facebookでは、生前のうちに『追悼アカウント管理人』を指定しておくことができ、亡くなった本人に代わって管理したり、アカウントを削除することができます。

●Twitter

法定相続人や遺族であれば故人のアカウントの削除申請を出せます。手続きの際には、死亡証明書や身分証明書などの書類が求められます。 また、管理者権限を引き継いで、遺族や相続人が投稿することも可能です。

●LINE

当人以外によるアカウント削除が許されていません。遺族や法定相続人にも管理権限を引き継ぐことはできませんが、アカウントの削除を求める場合は個別対応してもらえます。

通販や有料会員サイト

通販や有料会員サイトなどでも、故人アカウントの放置は個人情報漏洩や犯罪につながります。また、故人が定額制の会員登録サービスに登録していた場合には、解約手続きを行わなければ利用料金が請求されます。

解約手続きの対応は、サイトや会社によって異なります。利用規約に従い、サイト管理者に連絡してください。引き落とし先となる口座の凍結やクレジットカードの解約も行いましょう。

携帯電話・プロバイダーなど

解約をしなければ、利用料金が請求され続けます。各サービスの契約先に連絡を取り、解約手続きを行いましょう。利用料金の残額がある場合は精算してください。

まとめ

故人の動産は、不動産に比べて見落としがちになり、適切に処理しないと思わぬトラブルに発展する危険性があります。

特に近年はSNSアカウントや故人が契約したサービスなどを放置することで犯罪に巻き込まれたり、大切な財産を失ったりするケースが増えてきています。

過去にあった事例では「交通事故で夫を亡くし、後日FXの取引会社から1,500万円の損失が出たと連絡があった」というようなトラブルもあるようです。

トラブルを防いで、動産を適切に整理、処理・相続するためには、生前整理が何よりも重要です。対策方法をしっかりと把握して、焦らず正しく対処しましょう。

生前整理を行う

生前から本人に生前整理を進めてもらっていれば、亡くなった後でも慌てることが少なくなります。

関連記事:生前整理をやるべき意味と理由!最初に始めるべきこととは

エンディングノートを作っておくのもおすすめです。法的な拘束力はありませんが、本人の意志を汲み取ることができる便利なツールです。エンディングノートを作ったら、忘れず保管場所などを聞いておきましょう。

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