増加するコインパーキング市場
初期費用の低さや土地の形を選ばない自由さから、相続した土地でコインパーキング経営を始める方が多いためか、近年コインパーキングの数は年々増加しています。
総務省の「住宅・土地統計調査」によると首都圏の低・未利用地は2008年から2013年の5年間で49%増加、その内、コインパーキングを含む屋外駐車場は26%増で全体の31.6%を占めています。
これは、土地を相続したが活用されていない土地が増えるとともに、それらの土地の一部がコインパーキングとして活用され始めていることを示しています。
コインパーキングは手軽に始められる分、競合も多くなりやすい土地活用方法です。そのため安易に経営に乗り出した結果、失敗してしまう例も少なくありません。
失敗する原因として多いのは、競合との衝突です。例えば、大手資本のコインパーキングがある地点に新たにコインパーキングを設置した場合、競合は「料金の値下げ」や「カーシェアリングの導入」「電気自動車充電器の導入」等の対抗策を実施してくるでしょう。
個人でのコインパーキング経営では、設備を増設したりするのが難しい場合も多く、最終的には競り負けてしまい、収益が伸び悩む経営者もいます。
しかし一方で、コインパーキング経営はまだまだ成功を目指せる要素が多い状況でもあります。
車の保有台数は年々増えている
日本の人口減少問題、少子高齢化問題は深刻化していて、「若者が車に乗らなくなった」と耳にする機会も増えてきています。ところが、こうした状況にありながら、車の保有台数は年々増えているというデータがあります。
一般社団法人全日本駐車協会によると、自動車(二輪を除く)の保有台数は1990年に5,527万台だったものが2000年に7,158万台、2010年に7,517万台、2018年には7,793万台と徐々に増えています。
また、「全国駐車場整備状況調査2018」によると、2016年末時点の自動車保有台数(二輪を除く)が7,657万台に対し、駐車場総供給台数が509万台で車の保有台数1台に対する駐車場の数は0.066。まったく足りていないことが分かります。
これらの数値を見ると分かる通り、市場としては駐車場経営に大きなチャンスです。きちんと戦略を練った上で経営を始めれば成功が望める、有効な土地活用方法だといえるでしょう。
コインパーキングを成功させる視点
3つの経営方法と費用負担をよく吟味しよう
コインパーキングには「管理委託方式」「利益配分方式」「一括借り上げ方式」の3つの経営方法があります。
それぞれ初期投資の大きさやリスクの高さも異なります。リスクの高さでは「管理委託方式>利益配分方式>一括借り上げ方式」の順になりますが、それは期待できる収益の高さにもつながります。
どこまでリスクを許容できるか、初期費用をどの程度かけられるか、その立地で収益を確保できるか、等の視点で経営方法を決めましょう。
管理委託方式
集金や清掃などの管理を管理会社に委託するものの機器設置費用はオーナーが負担し、収益は全てオーナーが受け取り、その中から定額の管理費用を支払うタイプです。
利益配分方式
管理を管理会社に委託し、機器設置費用は管理会社が負担、駐車場から生まれた利益はオーナーと管理会社で分配するタイプです。
一括借り上げ方式
オーナーが管理会社に土地を貸付け、管理会社が駐車場を運営、オーナーが地代を受け取るタイプです。
街の動線を考える
コインパーキング経営を始めるのであれば、その土地が街の中でどのような動線の上にあるのかを考えるとよいでしょう。具体的には「人の出入りは多いものの駐車場が不足している」地点を、人や車の動きから見つけることです。
例えば、大規模商業施設で駐車場が不足することがあるケースや、一般的には不向きとされる住宅街でも、行列ができるラーメン店やケーキ店の近くであれば需要が見込めます。
都会型の成功パターンと田舎型の成功パターン
コインパーキングは都会型と田舎型で成功するパターンに違いがあることが少なくありません。
例えば、都会にあるほど駐車場の需要が高くなる傾向にありますが、それと比例して地価も高くなるため、十分な収益が得られるかどうかがポイントとなります。
また、都会のオフィス街では一般的に土日の稼働が見込めませんが、商業施設が近くにあるなどして土日に稼働できる可能性がある立地であれば収益を高められるでしょう。同様に、病院や商業施設がメインのエリアでも平日、土日ともに稼働を見込めることが大切です。
一方、田舎では地価の安いエリアで駐車場需要のあるところを探すとよいでしょう。
例えば、昔からある団地や住宅街で道が狭く住宅がひしめきあっているようなエリアでは、慢性的に駐車場が不足している可能性が高く、コインパーキングや月極駐車場の需要が生まれやすいです。
そうしたエリアにおいて人気のあるクリニックや歯医者、個人経営の飲食店の近くでは、特にコインパーキングの需要が見込めるでしょう。
コインパーキング×テナントという新しい形
最近では、コインパーキングの上部空間に店舗などの商業施設を建築し、立体的に有効活用する手法も登場しました。
コインパーキングの利用率を向上させつつ、上部の店舗への集客もしやすくなる、双方にとって嬉しい形態。相乗効果によって、安定した経営が実現できます。
これから新しくコインパーキングを始めたい人はもちろんですが、すでにコインパーキングを経営している人でも拡張することができます。競合の台頭や稼働率の減少で収益が減ってきてしまった人にもおすすめです。
まとめ
コインパーキングは、闇雲に経営を始めると成功は難しいですが、一方で、現地に足を運びデータを使って頭で考えると、まだまだ可能性のある投資だと言えます。
本記事を参考に土地活用の1つとしてコインパーキングを検討してみてはいかがでしょうか。
また、コインパーキングだけが土地活用ではありません。様々な活用方法がありますので、合わせて以下の記事も参考にしてみてください。
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