レオパレス21のミライ資産 Leo-PRESS(レオプレス)
  1. ホーム
  2. Leo-PRESS(レオプレス)
  3. 賃貸住宅の「間取り」の歴史から賃貸マーケットを考える

賃貸住宅の「間取り」の歴史から賃貸マーケットを考える

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア

賃貸住宅の「間取り」は、人々のライフスタイルに大きく影響されます。間取りの歴史を紐解くことで、住宅と入居者のライフスタイルの関係性が見え、今後の賃貸マーケット予想のヒントになるかもしれません。

そこで今回は、日本の「間取りの歴史」についてご紹介します。時代ごとの間取りのトレンドから、これからの賃貸マーケットを考えましょう。

戦前の主流は長屋を基にした「●K」の間取り

江戸時代から連綿と続いてきた「長屋」というスタイルは戦後まで続きます。

大正12年(1923年)の関東大震災後に登場した、日本最初期の鉄筋コンクリート造集合住宅「同潤会アパート」は、これまでの集合住宅のイメージを一新させる存在ではありましたが、間取りという観点では長屋の形態を引き継いだ形でした。

間取りの主流は「●K」という形態で、食事をする場所と就寝をする場所を区別せず、同じ部屋で行う点に特徴があります。

ファミリー向け住宅と独身向け住宅が混在しているのも特徴です。独身向けにはトイレ・キッチンが共用部分に置かれており、アパート内に設置してある大浴場を利用することができました。※バスルームを設けてある一部の住戸を除く。

ライフサイクルに合わせて内部転居が可能であり、アパートメント内のコミュニティを維持したまま、結婚や子どもの成長に合わせて住処を柔軟に変えていける。そういう点からみても、当時の「他人同士の繋がりの強さ」を感じられます。居住者同士の横のつながりが密で、アパートではありながらも居住者同士がおかずのやりとりをする風景も珍しくなったそうです。

ダイニングキッチンのある「●DK」の登場

長屋を踏襲したこれまでの間取りが、戦後になると一変します。

食事場と就寝場を明確にわける「食寝分離」という考え方を基盤とする「公営住宅51C型」の集合住宅が供給され、ダイニングキッチンを含んだ「●DK」という形態が誕生します。

「食寝分離」の考え方を説いたのは日本の建築学者である西山夘三氏。当時の人々の生活実態を詳細に調査し、人々が住宅内で食事の場所と寝る場所を意図的・慣習的に区分していると明らかにしました。

この「食寝分離論」を採用したのが、戦後焼け野原となった都市部への住宅対策として数多く建設された「公営住宅51C型」であり、日本の生活様式の新しい形として広く浸透していきました。

「51C型」は、キッチンと食事をするスペースが隣接する「ダイニングキッチン」に二間を加えた「2DK」が標準モデルとなっています。

それまでの日本人の寝室は畳の茶の間が一般的。夜にはちゃぶ台を片付けて布団をしくのが普通でした。そこへ「キッチンにテーブルがあり、腰を掛けて食事をする」というスタイルが登場し、当時の人達はその革新さと機能性に感動したと言います。

「食寝分離」の利点としては、以下のような点が挙げられます。

  • 布団のほこりが食事に入るのを防げるといった衛生面の改善
  • プライベートの確保。および深夜帰宅・早朝出勤などの家族内の生活時間帯のずれに柔軟に対応しやすい
  • 食卓が固定されることで家事労働の軽減

日本の総人口は太平洋戦争の終戦を迎える昭和20年(1945年)には7,214万人。戦後の高度成長期を通じて人口は増加し続け、昭和42年(1967年)には1億人を突破します。

昭和30年代の約10年間で公団住宅はもっとも増加し、30万戸にも及ぶ住宅が供給されました。高度成長期の人口増加に加え、地方から大都市へと流入してくる中流階級の労働者の賃貸需要にも応えるものです。

職場と居住地が離れたり、長時間の労働が一般的になってきたのもこの時期。家族内における個々人の生活時間のずれに対応できる「食寝分離」が浸透したのには、こうした時代背景も影響しているのかもしれません。

さらにゆとりのある「●LDK」の間取り

90年代から、公営住宅や公団住宅として普及した集合住宅のモデルに加えて、民間企業によるアパートや分譲住宅・マンションも普及しました。日本全体の所得水準も高くなるにつれて、より豊かな住環境が提供されるようにもなりました。

特に間取りの面では、従来のダイニングキッチンに居間(リビング)の機能が付加された「LDK」が登場します。

戦後の人口は大きく増加した半面、1世帯あたりの人員数は昭和20年(1945年)の5人程度から平成28年(2016年)には2.47人と大幅に減少しています。これは核家族化や単身世帯の増加が原因と考えられます。

平均世帯人員数が少なくなる一方で、3LDK、4LDKという間取りが普及しているのは矛盾しているようにも思えますが、これは人口や家族構成だけでなく、「就寝分離」などの考え方にも影響を受けているためと考えられます。「就寝分離」というのは、プライバシー確保などの観点から、親や兄弟であっても就寝する場所を分けるという思想です。

家族のそれぞれが自分の部屋を持つようになるとともに、家族団らんの時間を過ごすためのリビングダイニングが普及したものと考えられます。こうしたライフスタイルを追求することができるのも、その背景として日本の高度成長期を通じて経済的に余裕が生まれたことが関係しているといえます。

現代のライフスタイルに合った間取りとは

現在では、ホームパーティーを楽しめるような広いダイニングやバルコニーなども人気を集めるようになっています。また、収納場所や来客用の寝室にも使えるサービスルームが付いた「SLDK」という間取りにも需要があります。

従来の壁を取り払ってスペースを広く使用するためのスケルトンリフォームを行う人も増えています。世帯人員数は少なくなっても、来客や趣味の時間を家でゆっくり楽しむのに適したゆとりのある間取りが今後も人気となる可能性があります。

一方で「世帯」としては「単身世帯」が増加傾向にあるというデータもあります。特に「東京都」や「大阪府」、「神奈川県」などの都心部は全国的にみても単独世帯が多く、今後のトレンドにどのような影響を与えるか注目したいところです。

まとめ

間取りの歴史は長屋に始まり、「●K」→「●DK」→「●LDK」と変化していきました。その背景には、時代背景もありながら、人々の生活様式の変化に寄り添う形で変化を遂げてきています。

間取りは入居者のライフスタイルに大きな影響を与えます。賃貸マーケットを読み解くヒントは、時代の変化を読み取り、人々のライフスタイルを予測することも重要な視点だといえるでしょう。

特集:「賃貸経営」歴史と変遷

第1回賃貸経営の歴史!経営スタイルはこのように変化してきた
第2回集合住宅の「建物」の歴史から賃貸経営を考える
第3回賃貸住宅の「間取り」の歴史から賃貸マーケットを考える
第4回賃貸住宅の「設備・仕様」の歴史から人気の設備を知る