アパート経営におけるリスクヘッジ!災害や不慮の事故への対策

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アパート経営には、不慮の事故や自然災害など、さまざまなリスクが潜んでいます。リスクヘッジとして各種保険への加入は必須ですが、保険は結果に対する保証でしかありません。

しかし、これらリスクに対して事前に対策を講じておけば、被害や損失を軽減することが可能です。そこで今回は、アパートオーナーが知っておくべき不慮の事故や災害への対策をご紹介したいと思います。

大雨・ゲリラ豪雨、洪水・津波への対策

台風による大雨はある程度予測できますが、ゲリラ豪雨は突発的なので、事前に把握するのは難しいものです。基本的な対策としては、個々の入居者が防災意識を持つために、アパートオーナーが率先して入居者の意識を高めることが大切です。

まずはアパートオーナー自身が、所有するアパートの危険度を把握しておきましょう。そのアパートがどのくらい水害に遭いやすいかは、国土交通省や各自治体が作成しているハザードマップで確認できます。

参考:国土交通省のハザードマップポータルサイト(2017年3月10日時点) 

 

国土交通省のハザードマップポータルサイトには、「重ねるハザードマップ」という機能があります。住所で検索すれば、洪水浸水や津波浸水の想定区域、土砂災害危箇所が色分けして表示されます。

これによって所有するアパートの危険度を把握できるだけではなく、避難ルートの検討にも役立てられます。大事なのは、必要な情報を入居者と共有することです。

さらに台風やゲリラ豪雨が発生した時、窓を開けたまま外出していたり、ベランダに物を置いて排水口を塞いでいたりすると、浸水被害を拡大させてしまいます。大雨による洪水や地震による津波が予想される場合には、避難する場所やルートを把握していなければ、人的被害に及ぶ危険性もあります。

こうした被害を未然に防ぐためには、あらかじめ入居者に対して注意喚起を行い、防災意識を高めることが重要です。そして同時に、入居者との緊急連絡網も整備しておきましょう。事前の注意勧告や災害時の安否確認も、アパートオーナーとしての大事な役割です。

落雷への対策

急激な天候の変化による災害として落雷があります。もし所有するアパートに雷が落ちたら、各部屋の電化製品に被害が生じる恐れがあるため、注意が必要です。

落雷の備えとして頭に浮かぶのは、避雷針でしょう。しかし、建築基準法の避雷針取り付け義務は高さ20m以上の建物と、アパートは対象外です。それに、避雷針は建物を保護できても、屋内の電化製品を完全に保護することはできません。

ただし、通常は落雷による家財の被害は、火災保険で補償されます。意外とそのことを知らない人が多いため、落雷の際は補償を受けられることを事前に入居者に説明し、理解してもらうといいでしょう。

問題は、落雷が原因で火災が発生した際、人的な被害を招くことです。仮に法的な責任はないとしても、入居者の身に何かあれば大変です。そのため、法的義務はなくても、避雷針の取り付けを検討しておくのもいいかもしれません。

事故や事件への対策

アパートの住居部分は入居者の占有ですが、共用階段や塀などの設備はアパートオーナーが占有する「工作物」という扱いになります。

民法の「工作物責任」という規定では、通常の機能や品質が備わっていないことが原因で発生した損害は、占有者が賠償責任を負う、としています。もしアパートオーナーが定期的な点検やメンテナンスを怠り、事故の原因となってしまったら、損害賠償を請求される可能性があります。

ただし、アパートオーナーが被害発生の防止に必要な注意を払っている場合は、その責任を免れることができるという規定があります。ですから、定期的な点検やメンテナンス以外にも、苦情や要望など入居者の言葉に耳を傾け、事故を未然に防ぐ努力をしておくことが大切なのです。

そのためには、入居者とのコミュニケーションが欠かせません。アパートが一つのコミュニティとして機能すれば、共有部の事故防止だけではなく犯罪の抑止にもつながります。

アパート内でのコミュニティが形成されれば、不審者の存在が目立つことになり、窃盗や強盗事件などを未然に防ぐ効果が期待できます。決して簡単なことではありませんが、対面ではなくても今流行のSNSを利用したコミュニティ形成という方法もあります。

また、犯罪の抑止効果が高いことから近年急速に普及しているのが、オートロックや防犯カメラなどのセキュリティです。設置にはそれなりの費用がかかりますが、防犯カメラは入居者の安全だけでなく、治安を守るインフラとしても注目されています。

まとめ

災害や事件事故への対策方法は、まずインターネットを活用して情報収集するのが効果的ですが、大切なのは集めた情報をどう活用するかです。

東日本大震災では、改めて「絆」の重要性がクローズアップされました。アパート経営における災害や事件事故への対策にも、欠かせない要素は人と人との「絆」です。その中心的存在が大家であり、それが最も重要な大家の役割ではないでしょうか。

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