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借地人の立場から見る、よくある借地権トラブルと解決ケーススタディ

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土地と建物は、物理的にも法律的にも「切っても切れない関係」にあります。

ですから、所有者が土地と建物で別々になっている場合には、借地権や底地権に関するトラブルが絶えないというのも、無理のない話かもしれません。

前回の「借地権と底地権について、よくあるトラブルと解決法」では、典型的なトラブルのパターンについて概観しました。

今回は、こうしたトラブルの中から、特に借地権を保有している人(借地人)の立場でより具体的なケースを見ていきたいと思います。

借りている土地の地代を値上げすると言われた場合(会社員Aさん)

会社員のAさんは、5年前に地主のBさんから土地を借りて、そこに戸建住宅を新築し、家族とともに特に問題もなく暮らしていました。

そんなある日、Bさんから「来月から地代を値上げしたい」との申し出を受けました。しかしAさんは地代の値上げについて合理的な理由も見当たらないと判断したので、Bさんに対して拒否の意思表示をします。

それから数日後、AさんはBさんに対して従来どおりの地代を支払おうとしました。しかし、Bさんはその地代の受取を拒絶したのです。

受取を拒絶されるとAさんは賃料の支払債務を履行していないことになるので、何とか支払をしたいと考えています。

地代を供託する方法がある

このような場合、Aさんはどのように対応すれば良いのでしょうか。

この事例のように、地主が地代を受け取らない場合には「供託」という方法を利用することができます。供託とは、法律に基づき、金銭、有価証券その他の物品などを供託所や指定の倉庫に預けることをいいます。

具体的な手続としては、法務局や出張所で供託書を作成して提出することになりますので、最寄りの法務局などに相談すると良いでしょう。

供託をすることにより、地代を支払う義務のある賃借人などの債務者が、未払などの「債務不履行」によって生じる不利益から解放されることになります。

地主さんが変わって一時金を要求された場合(自営業Cさん)

自営業のCさんは、10年前に地主のDさんの土地の上に建つ店舗兼住宅を購入し、以後、CさんはDさんに対して地代を支払ってきました。

ところが最近になって、地主のDさんが土地をXさんに売却し、Xさんが新しい地主となりました。

新地主のXさんはCさんに対して、一時金を支払うように要求してきました。その根拠は「事情の変更」とのことです。

Cさんはこのような一時金の支払要求に応じないといけないのでしょうか。また、Xさんとの間で地代の金額についても折り合いが付きません。

地主の交代は「事情の変更」とはいえない

このような場合、Cさんはどのように対応すれば良いのでしょうか。

実は、借地上の建物が登記されていれば、Cさんは旧地主Dさんのときと同じ権利を主張することができます

その場合でも、「事情の変更」があれば、地代の値上げは認められます。しかし、一般に、地主が交代したことはこの「事情の変更」には該当しません

したがって、Cさんは一時金の支払要求や地代の値上げには応じる必要はありません。どうしてもXさんとの間で話が付かない場合には、後述する建物の買い取り請求などの方法をとることも考えられます。

借地権を譲渡したいのに地主さんが承諾してくれない場合(会社役員Eさん)

会社役員のEさんは、7年前に地主Fさんの土地の上に収益用の戸建物件を建築し、これを入居者Yさんに貸していました。

入居してからしばらくして、Eさんは入居者Yさんから「この戸建物件を売ってほしい」との申し出を受けました。

Eさんもちょうど「まとまった資金が欲しい」と思っていた時期だったので、さっそく地主のFさんに相談。しかし、どうしてもFさんから承諾を得ることができませんでした。

そこで、EさんはFさんの承諾を得ないまま、建物を入居者のYさんに売却してしまいました。

それに対して、地主のFさんは「無断譲渡」を理由に土地の賃貸借契約を解除。この状態では、建物を購入したYさんには借地権がなく、建物に住むことができません。

買い取り請求という方法がある

このような場合に、Yさんの建物について何か救済策はあるのでしょうか。実は、借地借家法では、無断譲渡を理由に契約が解除された場合、建物を購入した者が地主に対して、建物を時価で買い取ってくれるように請求できると規定されています。

したがって、建物を購入したYさんは地主のFさんに対して建物買い取り請求を行うことができます。

買い取り請求に決まった手続などはありませんが、書面で「建物買取請求書」などを作成して内容証明郵便で送るのが一般的な方法です。

ただ、多くの場合、地主から土地の明け渡し請求をされて、それに対応する形で建物の買い取り請求をするケースになるようです。このように話がこじれてしまう前に、最初の段階で裁判所の許可を得て譲渡するなどの方法を考えたほうが良かったともいえます。

地主さんから名義書換料を請求された場合(公務員Gさん)

公務員のGさんは、20年前に地主Hさんの土地の上に建つ戸建住宅を購入し、家族と一緒に生活するとともに、Hさんには毎月の地代を支払ってきました。

しかし、最近になってGさんには引越しをする必要が生じて、戸建住宅を借地権付きで第三者に売却したいと考えるようになりました。

地主のHさんは戸建住宅を売却することについて理解を示してくれましたが、売却を承諾する条件として「名義書換料」を支払うように要求してきました。

名義書換料の相場は?

このような場合、Gさんは地主のHさんに名義書換料を支払う必要があるのでしょうか。Gさんのような借地人が第三者に借地権を譲渡したい場合、地主の承諾を得る必要があります。その際に名義書換料を支払うことは慣習的に行われています。

名義書換料の金額については法律などで明確に定められている訳ではありません。相場としては、借地権価格の1割前後になるといわれています。

したがって、Gさんの場合も名義書換料の相場を参考に地主のHさんと話し合いをすれば良いでしょう。

Gさんと地主のHさんの間では、話し合いで解決できそうですが、地主がどうしても承諾しない場合には、裁判所で「借地権譲渡に代わる許可」を受けることも考えられます

この場合、「譲渡承諾料(名義書換料)」と引き換えに許可が認められることが一般的です。その際の「譲渡承諾料」の金額は、諸般の事情を勘案して裁判所で決定してもらうことになります。

まとめ

以上、いくつかのケースを紹介させていただきました。典型的なケースについての対処法や金銭的トラブルについての相場感を知っておくだけでも安心材料になると思います。

借地権、底地権はトラブルが多い分野ですが、基本的な理解をもとに予防に努めましょう。予想外のことが起きた、起きそうなどの心配があれば、早めに専門家に相談するのも良いかもしれませんね。

特集:不動産トラブルで多い借地・底地に関する問題と解決

第1回不動産トラブルの起きやすい「借地」と「底地」の基本まとめ
第2回借地権と底地権について、よくあるトラブルと解決法
第3回借地人の立場から見る、よくある借地権トラブルと解決ケーススタディ【当ページ】
第4回地主の立場から見る、よくある底地権トラブルと解決ケーススタディ