「3世代同居」に対応したリフォームに特別控除が誕生!

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制度創設の背景

2015年9月、安倍内閣は経済成長の推進力として「新・三本の矢」を発表、その中で「夢を紡ぐ子育て支援」として「希望出精率1.8がかなう社会の実現」という目標を掲げました。そして、この目標を達成するための方策の1つとして「3世代同居・近居」の推進を国土交通省に指示、3世代同居を促し世代間の助け合いによる子育てしやすい環境を整備することを目的に、3世代同居に対応したリフォーム工事を行う場合に税制上の特別措置を講じるという新制度を設けました。3世代同居に対応したリフォームを借入金や自己資金で行った場合には「税額控除をします」というものです。

出産や子育ての不安、負担軽減をすることが大きな課題となっている今、世代間の助け合いによる子育てを支援する観点からの住まいの整備は重要なテーマです。内閣府などの調査によれば「子育て世代の30~40歳代の約20%が3世代同居を理想の住まいと考えている」という事実があります。ところが、実際の3世代同居世帯数は274万世帯で全世帯数5.2%にすぎません。もちろんすべてが住宅で解決するというわけではありませんが、3世代同居を可能にするためには、キッチンやトイレ、浴室又は玄関を増設・改修することが必要となり、そのための費用としては250万円程度が必要になると国土交通省は試算。その負担を税制面から軽減して3世代同居を促す施策が講じられました。

制度の内容

制度の具体的な内容を図にまとめてみました。図にもありますが、工事の条件としては調理室(厨房)、浴室、トイレ、玄関のいずれか2つが複数となる工事が必要です。例えば、台所とトイレの2つの箇所が複数になるようなリフォーム工事を行わないと適応になりません。

また、住宅関連の税制には「住宅ローン控除型」と「自己投資型」に分かれ複数の制度があることをよく理解しておかないと比較が難しいのが現状です。

3世代同居に対応した住宅リフォームを行う場合の特別控除の概要

項目詳細 リフォームローン型の所得税減税(住宅ローン控除型) リフォーム投資型の所得税減税(自己投資金型)
3世代同居改修工事の条件 ①調理室、②浴室、③トイレ、④玄関のいずれかを増設する工事
改修後、上記①~④のいずれか2つ以上が複数となるもの
補助金などがある場合、その額を控除後に工事費用の合計額が50万円を超えるもの
居住の用に供する期間 平成28年4月1日から平成31年6月30日までに入居した方が対象
借入限度額 1,000万円 -
借入金の償還期間 5年以上のもの -
所得税の額から控除される金額等 3世代同居改修工事費用に相当する借入金等:(上限250万円)の年末残高の2%

上記以外の工事費用に相当する借入金等:(上限750万円)の年末残高の1%

<最大控除額62.5万円・5年間>
3世代同居改修工事に係る標準的な工事費相当額:(上限250万円)の10%

<最大控除額25万円・1年間>
所得制限 控除を受ける年分の所得合計金額が3,000万円以下
その他 「住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額特別控除」と選択適応 「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」又は「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例」の適用を受ける場合には適用されない

*住宅ローン控除型と自己投資型の両方の要件を満たしている場合には、いずれか一方のものを選択しなくてはいけない。

制度利用にあたっての注意点

①適応条件

この特別控除を利用するには確定申告時に控除に関する明細書や3世代同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類及び登記事項証明書、その他の書類の添付が求められます。

②3世代同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類とは?

下記の機関等で発行された証明書が必要になります。

  • 住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関
  • 建築基準法に規定する指定確認検査機関
  • 建築士法の規定により登録された建築士事務所に所属する建築士
  • 特定住宅暇疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定による指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人

③その他

リフォーム投資型では耐震工事やバリアフリー工事、省エネ工事といった工事もあわせて行うと、工事費の上限があるものの最大控除額は95万円になります。

ただし、施工業者であっても制度自体を熟知していない場合も考えられます。制度内容をよく確認してからリフォーム工事を行うことをお勧めします。

*制度の詳細については各省庁のHP等を参照ください。