駐車場は相続税対策にならない3つの理由

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア

駐車場経営は設備投資が少なく済むことがメリットである、と考えられる方は多いと思います。フル稼働しているような状況であり、今後もその見込みが期待できるのであれば、駐車場経営を今後も行う選択肢はあってよいかもしれません。しかしながら、相続税対策としては、特に青空駐車場の場合には不利な場合が多いため、息子や娘に相続させたいとお考えの場合には一度立ち止まって、相続対策について考える機会を作っておくべきです。

1.ロープや砂利敷きの青空駐車場の場合、相続対策ではデメリットがたくさん

ロープや砂利敷きといった簡単な線引きによる青空駐車場と呼ばれるケースの場合、設備投資が少なくて済み、管理も簡単であるため、空いている土地の有効活用をすぐに始めたい場合にはうってつけの活用方法と言えます。

ただし、長期的な活用という観点から見ると、意外にもデメリットも多くあることをご存知でしょうか。まず、青空駐車場は土地を有効活用しているにもかかわらず、税制上は、更地と同じ扱いとなります。つまり、更地と同様に、すぐに売ろうと思えば売れるため、評価額が高くなってしまうのです。

こうした理由から、特に税制上の優遇措置は認められておらず、建物が建っている場合と比べて固定資産税(土地部分)が高くなってしまうといったデメリットがあります。数年~数十年といった期間で見れば、こうした負担は軽くはありません。

2.相続税対策にも不向き

固定資産税だけではありません。相続税対策としても青空駐車場は不向きといえます。一般的に、土地を所有し、その上に建物を建て、人に貸している場合には、相続の際の土地の評価を下げることが可能なのですが、青色駐車場の場合には人に貸しているにもかかわらず、評価額を下げることができません。

例えば、8,000万円の評価がつく土地を考えたとしましょう。路線価が40万円、土地200㎡、借地権割合が50%、借家権割合を30%として考えます。

この場合において、青空駐車場であれば、相続の際の評価額は8,000万円となります。しかしながら、この土地に賃貸用のアパートを建てて満室だと仮定すると、貸家建付地という評価になります。貸家建付地は、自用地とした場合の評価額-(自用地とした場合の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)で計算できるため、8,000万円-(8,000万円×50%×30%×1) =6,800万円となります。
このように、青空駐車場においては、相続税対策という観点からはメリットがないことがわかります。

3.小規模宅地等の評価減の特例も適用できない

この他にも相続税対策という点でデメリットが存在します。アパートやマンションによる賃貸の場合には、相続の際に小規模宅地等の評価減の特例を活用することで評価を下げることが可能ですが、青空駐車場の場合にはこうした仕組みは通常利用できません。

この特例は、アパートや賃貸マンション等の建っている土地の200㎡までの部分について、相続税の課税評価を50%減額することができるというものになります。特に市街地など地価の高い場合には、こうした特例を活用できることは相続税対策として大きな効果を発揮します。

上記例で算出してみると、青空駐車場のケースの場合にはこの特例は利用できないといえるため、相続における評価は8,000万円のままになります。しかしながら賃貸用のアパートの場合には、先ほどの6,800万円の評価から更に50%減額可能のため、3,400万円の評価に減らすことができるのです。8,000万円するはずの土地が3,400万円へと評価が下げられる点は相続税対策としては大きいと言えます。しかも稼働率が高ければ、賃貸用のアパートによる家賃収入の方が駐車場による収入よりも高くなり、収益性の観点からも向上する可能性があるでしょう。

もし駐車場経営で相続対策も兼ねたいという場合には、コンクリートやアスファルトを施せば小規模宅地等の特例を適用することは可能になるかもしれません。ただし、収益性も向上させ、特例もフル活用したい場合には、建築費用はかかるものの、入居率が安定していれば、長期的に見てアパートやマンションによる経営の方が大きくメリットがあると言えるでしょう。

  • お役立ち情報満載!はじめてのアパート賃貸経営