健康的なシニアが実践している食・睡眠・運動の正しい生活習慣

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厚生労働省は7月28日付けで、日本人の平均寿命や死因に関する調査結果をまとめた「2016年簡易生命表」を公表しました。

それによると、2016年度の日本人平均寿命は過去最高を更新し、男性は80.98歳、女性は87.14歳にまで伸びていることが分かったとのことです。今回の調査によって、日本は世界有数の長寿国であることが証明されました。(※1)

寿命が延び続けていることは良いことのように見えますが、その一方で、日本では医療や介護サービスなしでは生活できない高齢者が増加していることも事実です。

病気を患っていたり、自立した生活ができなかったりする状態で寿命だけが延びても、「長生きできて良かった」とは言えないのではないでしょうか。

そこで今回は、健康に長生きするために今から始めたい「健康習慣」についてご紹介します。10年後、20年後も、周りに頼ることなく元気に暮らせるよう、今から少しずつ始めていきましょう。

平均寿命よりも「健康寿命」が大切

「健康寿命」とは、日常的に継続して医療・介護サービスを受けることなく、自分の力で健康に生活できる期間のことを言います。

しかし、最近は平均寿命が延びたことを受けて、長期間の寝たきり状態や、医療・介護サービスに頼りながら生活している高齢者が増加しています。実際に、厚生労働省が平均寿命から健康寿命を差しい引いた期間(不健康な期間※2)を算出したところ、男性は約9年、女性は約12年の期間があることが分かりました。

自分が70代、80代になった時、そこから約10年間もの期間を不健康な状態で過ごすと思うと気が重くなります。

自分だけでなく、夫や妻、子供など周囲の方のためにも、早いうちから「健康寿命」を意識した生活を心掛けて、老後に備える必要がありそうです。

元気に長生きするための食生活

まず、いつまでも健康な身体を維持するためには、バランスのとれた食生活を心掛けることが第一です。

加齢によって食事量が減ると、健康を維持するために欠かせない「タンパク質」や「ミネラル」の吸収力が下がるため、知らない間に「低栄養状態」を引き起こす恐れがあります。

低栄養状態が続くと、感染症に対する抵抗力が弱まったり、血管の壁がもろくなったり、認知症リスクが上がったりと良いことは一つもありません。(※3) 食事は味だけでなく、量と質にも気を配る必要があるのです。

「低栄養状態」を防ぐために、下記6つのポイントをおさえた食生活を心掛けましょう。

「低栄養状態」を防ぐための6つのポイント

  1. 少しずつでも3食しっかり食べる。
  2. 食欲がない時はおかず優先、ご飯を残す。
  3. 動物性タンパク質(肉と魚の比率は1:1)をしっかり摂る。
  4. 菓子パンだけの食事は避ける。
  5. 噛む力を維持するため、定期的に義歯の検査を受ける。
  6. 骨を丈夫にするため、牛乳や乳製品を毎日摂る。

元気な心と身体を維持するための睡眠習慣

第2のポイントは睡眠習慣です。

多くの人は、年をとるにつれて睡眠時間が短くなり、早寝早起きになっていきます。これは加齢によって血圧や体温、ホルモン分泌などの生体機能リズムが前倒しになることが原因です。

早寝早起きになること自体は特に問題ありません。早く起きた分の時間を有意義に使えているのであれば、心配することはないでしょう。

問題は、夜中に何度も起きてしまうために寝ても疲れが取れない場合や、日中も眠気が取れず、外出する気になれない場合です。

このような場合は、早めに睡眠習慣を改善する必要がありそうです。このまま放置すると70代、80代を迎えた時に、うつ病など、精神的な問題が要因の「不眠症」や、睡眠時無呼吸症候群など、生活習慣が要因の「睡眠障害」を起こす危険性が高くなります。

年を取ってからの睡眠は、短時間でも質の良い睡眠をとることがポイント。そのためには、日中に多くの刺激を受けて、心地よい程度に疲労感を味わうことが重要です。

下記の3つのポイントを参考に、毎日の生活を見直してみましょう。

1.眠くなってから床につく

就寝時間にこだわって、眠くないのに寝床に入ることを続けていると、眠つきが悪くなる、眠りが浅くなる他、眠れないことにストレスに感じてしまう可能性も。

2.朝起きたら太陽の光を十分に浴びる

日光には、体内時計を整えて自律神経を安定させる効果がある他、うつ病や不眠症の改善に有効なセロトニン(気分を高揚させる効果がある物質)の分泌を促す効果があります。(※4)

3.一日三食+運動を習慣づける

日中の時間を充実させるためには、エネルギー源となる食事が大切。朝食は必ず摂取し、逆に夕食は消化器を休ませるために軽めに済ませましょう。また、ぐっすり眠るために運動は午後から夕方にかけて行うのがベストです。

寝たきりを防ぐための運動習慣

第3のポイントは運動習慣です。健康寿命を縮める最大の要因は「運動器の障害」です。

加齢や運動不足によって骨や関節、筋肉や神経器官が衰え始めると、外出の機会が減ったり、一人で排泄や入浴ができなくなったり、最終的には、要支援・要介護状態や、寝たきり状態を招く恐れがあります。

そうならないよう、若いうちから運動器を長持ちさせるための運動習慣が不可欠です。(※5)

取り組む運動は好きなもので構いませんが、お金をかけずに気軽に始められるウォーキングは、運動初心者の方にもおすすめです。好きな音楽を聴きながら、あるいは仲間と一緒に歩くなど、楽しみを加えることでより続けやすくなります。

ウォーキングなどの有酸素運動には、運動器を維持する効果がある他、肥満改善、血糖コントロール、血圧管理、動脈硬化予防にも効果的なので、健康寿命を延ばしたい方にはぴったりです。

ただし、無理をすると怪我や体調不良を引き起こすこともあるので、下記5つのポイントに注意しながら、始めてください。

運動習慣で気をつけるべき5つのポイント

  1. 持病がある方は事前に医師に相談する。
  2. 身体に痛みを感じたらすぐに中止する。
  3. こまめに水分補給をする。
  4. いきなり強い負荷を掛けない。
  5. 運動時間は1時間以内に抑える。始めは30分程度からスタートする。

まとめ

医療技術の向上や、介護サービスの充実によって、ここ数年、日本人の平均寿命は延び続けています。昔であれば、70~80代あたりまでの人生設計で問題なかったものが、今では、90代まで生きることを想定した人生設計が必要な時代になってきました。

高齢者の仲間入りを目前に控えた50代頃から、次の数十年を元気で幸せに生きていくために、ご自身の食・睡眠・運動について一度見直してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
※1:平成28年簡易生命表の概況 (平均寿命の国際比較) 参照
※2:厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会 参照
※3:「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」策定検討会報告書 参照
※4:日光浴の健康への8つの効果を解説【適正時間もお伝えします】 | ヘルスケアPOCKET【病気の症状・原因・治療法を解説】 参照
※5:健康寿命って?|ロコモ チャレンジ! 参照