注目の「中古マンション購入+フルリノベーション」

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新築よりも中古マンションの方がいい??

このところの都心の新築マンションの価格はバブル期に近くなるほど高騰しています。そのため、新築購入が難しい環境になってしまいました。そこで、こうした新築購入ができない方の受け皿的なものとして中古マンションでのリノベーション物件が増えています。

中古マンションは、どうしても新築とは異なり、設備や仕様も最新のものではありません。ましてや、築古の物件になればなるほど、その間取りは昔のいわゆる団地の間取りで使い勝手が悪く購入意欲は半減してしまうものです。ただし立地に関しては、利便性の高い場所やブランド化されたエリアなどがあり、新築にはない魅力が存在するのも事実です。例えば、東京渋谷区にある広尾ガーデンヒルズ。この場所は、今から30年以上も前に開発されたマンションエリアですが、未だに人気の高い物件で、エリア全体も風情のある街並みになっています。しかも、マンション全体の管理状態もよく、今でも住みたいという希望者が多く存在します。

このように、中古マンションでも、リノベーションをすれば新築同様にもなり、さらにフルリノベーションをすれば希望の間取りや仕様設備となります。新築マンションは、すでに内装も設備も決まっていて、選択ができてもせいぜいクロスの色という程度ですが、中古マンションのフルリノベーションなら、自分の好きな空間に仕上がります。そういった意味で、フルリノベーションした中古マンションは魅力的と言えるでしょう。

取り組みやすくなっています

実際、「中古マンション購入+フルリノベーション」は、住宅取得の新たな選択肢として、新たなトレンドになりつつあります。しかも最近では、リノベーションの対象となるマンション探しからリノベーションのプランニングまで一括して請け負う会社も登場しています。今までならまず不動産業者にコンタクトして中古マンションを購入し、のちにリフォーム会社にリフォームプランニングと見積もりを依頼し、打ち合わせの上で契約しなければなりませんでした。物件探しと売買契約を不動産業者との間で行い、後に、リフォーム、手続きも面倒でした。しかし、ワンストップで物件探しから工事完了まで依頼できる会社が増えました。リノベーションの可能性を建築の視点から検討しながら物件を見たり、また、ローンも一本化できるなど、<中古マンション購入+フルリノベーション>は、非常に取り組みやすいものになってきています。

中古マンションにもリスクは存在する?

一方、中古マンションには、新築にはないリスクが存在します。特に、旧耐震(1981年以前の耐震基準)の構造の物件は耐震補強工事をしていないと、万一の際には住めない状況になりかねません。また、購入の際には、事前に配管などの設備状況や共用部分の管理状況なども注視しておく必要があります。給排水管がコンクリートスラブに埋め込まれていれば、水まわりの位置は変えられません。契約電気容量も1戸だけで変更することは不可能です。大規模修繕工事がいつ行われたかについても確認しておくことが必要です。また、マンションには管理組合がありますが、その運営や収支状況も要チェックです。購入してみたものの、いろいろな不具合や瑕疵が存在して面倒なことになってしまうという場合もあります。

また、リノベーション物件はいわゆる宅建業者が売主となっているケースが大半です。そのため、万一、物件に瑕疵があった場合には、宅建業者の責任となります。売り主がどういう会社であるか、売却後の瑕疵補償についてどういう制度をもっているのか、しっかり確認しましょう。また、リノベーション物件の施工不良の問題も多く発生しています。中古マンションのリノベーション事業は、業者の参入の敷居が低く、また検査体制なども未整備であることから、さまざまな問題を抱えています。建築構造や建築法規に不案内な業者が安易な設計と工事でトラブルを引き起こしているケースも少なくありません。泣き寝入りといったことにならないように、販売業者や施工業者の吟味が必要です。

フルリノベーションの中古マンションは増える?

客観的な指標で日本の人口は毎年10万人以上減少すると言われています。また、総住宅戸数は10年ほど前と比較して700万戸以上増加、つまり、人口は減っていくのに住宅の戸数は増加しているという状況です。現在、全住宅戸数の約1割は空き家で、将来は2軒に1軒は空き家になる時代といわれています。家余りの時代、住宅の選択はある意味"より取り見取り"の時代といえます。また、国の施策でも「住宅ストックを活かす」ことが掲げられ、中古住宅の市場活性化の取り組みがここ数年でずいぶんと進んできました。そういった意味でも、今後の中古マンションのリノベーション市場はさらに拡大し、より多くの中古物件が流通するようになると思います。中古住宅の性能表示制度なども活用しながら、購入する物件を適切に吟味することが必要でしょう。