この頃は、ニュースに「ロボット」の話題が出ない日はないほどですね。「AI」という聞き慣れない横文字もよく登場します。
AI? これは人工知能(Artificial Intelligence)。
「学習」「認識」「予測」など、人間の頭脳活動をコンピュータによって実現するものです。このAIを活用することでさまざまなロボットが開発・実用化され、人の暮らしを助けるようになっています。2017年は「サービスロボット元年」ともいわれるほどの過熱ぶりです。
急速に身近になってきたロボット
長崎県にあるテーマパーク内で2015年に開業したホテルは、「運営の90%をロボットが担う」とされ、「世界で初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」としてギネスブックにも登録されました。
実際そのホテルのフロントでは、多言語対応のロボットがチェックイン・チェックアウトの手続きを行っています。
荷物を預かるのはロボットアーム。荷物を運ぶロボットもいます。ロボットの活用による業務効率化が図られ、現在は144室を従業員わずか9人で運営しているそうです。
家庭用の掃除ロボットも、もう珍しい存在ではありません。国産品もさまざまな機種がデビュー、普及に拍車がかかっています。
掃除機に続き、カメラで部屋にいる人の人数や位置をとらえ、それを分析して最適な運転をするエアコンも登場。入っている物からその日の献立を提案するAI搭載の冷蔵庫の開発も進んでいます。
さらに、人と会話し、案内できるロボットや、見た目はくまのぬいぐるみでありながら、通信モジュールを内蔵。簡単にメッセージの送受信ができる家庭用ロボットが、大手の情報通信会社から発売される予定です。
産業用ロボットからサービスロボットへ
これまでロボットといえば、自動車工場などで人の手の代わりになって作業する「産業用ロボット」が注目されてきました。しかし各種のセンサーやAI(人工知能)の技術が進むにつれ、人の生活を助けるさまざまな「サービスロボット」の開発が進んでいます。
ロボットの開発では、日本は世界に先行しており、国も日本の重要産業であり成長戦略の柱のひとつを形作るものとして、その育成に力を入れています。
特に現在は、少子高齢化により生産年齢人口の減少が進んでいます。
製造業の生産現場はもとより、医療・介護現場、農業・建設・インフラの作業現場などの幅広い分野で、人手不足が深刻化するとみられ、サービスロボットは、その解消や過重な労働からの解放、生産性の向上などの課題を解決する可能性を持っていると考えられています。
経済産業省は2035年のロボット市場規模(サービス分野、農林水産分野、ロボテク製品、製造分野の合計)が9兆7,000億円規模へと拡大するだろうと予測しています。
約10兆円といえば、現在の全コンビニエンスストアの売り上げに匹敵する数字。しかもIT化のスピードの速さや波及の大きさを考えると、ロボット市場規模はさらに大きなものとなる可能性を秘めています。
国も2015年に「ロボット新戦略」を確定、取り組みを本格化させています。
- 日本を世界のロボットイノベーション拠点とする「ロボット創出力の抜本強化」
- ロボットがある日常を実現する「ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)」
- ビジネスを推進するためのルールや国際標準の獲得、広範な分野への発展を目指す「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」
この3つが柱として掲げられています。
ロボットが変える暮らし
生活の分野でもHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)が普及し始め、リアルタイムの日照や風、外気温、室内温度や室内空気の汚れなどを細かくセンサーでとらえ、それを総合的に判断して窓やブラインドの開閉、空調の運転や照明のオン・オフをすべて自動で行うというものも普及の一歩手前まで来ました。
さらにAIやロボット技術の進化で、喋るロボットが暮らしのパートナーになるかもしれません。「○○したいな」とロボットに話しかければ、すべてをおぜん立てしてくれる。そんな時代がもう目の前に来ています。
2017年は、サービスロボット普及元年として記憶されるものになりそうです。