固定金利フラット35の新しい形!「子育て支援型」と「地域活性化型」とは

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住宅ローンを考えている人にとって、固定金利のフラット35は魅力的な選択肢の1つです。

特に注目すべきなのは、平成29年3月29日に住宅金融支援機構が「フラット35子育て支援型」と「フラット35地域活性化型」と呼ばれる新しいタイプの新設を公表したことです。

これらの制度では、地方公共団体の支援のもと、金利の引き下げが予定されています。

住宅金融支援機構は、平成29年4月3日からこの制度に参加する地方公共団体の募集を開始しました。募集期間は平成30年3月30日までとなっており、今後は各自治体が順次この制度を採用することが見込まれます。

そこで、今回は、従来からあるフラット35の概要を確認するとともに、「支援型」と「地域活性化型」という新しいタイプの特徴を紹介したいと思います。

そもそもフラット35とはどのような商品?

フラット35は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する長期固定金利型の住宅ローンのことを指します。

どのような特徴があるのか?

「35」というネーミングに象徴されるように、フラット35では最長35年間にわたり固定金利となります。融資を受けた段階で将来の返済額が確定するというのは、金利変動のリスクを回避するという意味で、とても魅力なものといえます。

住宅ローンを受けるにあたって、一般には、連帯保証人を立てたり、保証会社に対する保証料が発生したりしますが、フラット35では保証人も保証料も必要ありません

また、一般的な住宅ローンでは繰上返済をしたり、返済方法を変更したりする際に手数料を取られますが、フラット35の場合はこのような手数料も不要となっています。

利用するための要件は?

このように大変有利な条件の住宅ローンですが、利用するためにはいくつかの要件を満たさなければなりません

まず、申し込み時の年齢は、原則として満70才未満となります。借入期間は原則15年以上で上限が35年となります。

対象となる物件は、本人または親族が住むための住宅で、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合しているものでなければなりません。戸建なら70平方メートル以上、マンションなら35平方メートル以上などのように、床面積の基準もあります。

保証人は不要であるものの、物件には住宅金融支援機構のための担保が設定されます。また、借入期間中は火災保険への加入が求められます。

これまでにもあったフラット35の特例型

今回のテーマである「子育て支援型」と「地域活性化型」が登場する以前からフラット35の特例型はいくつか存在しています。

「フラット35S」は、上記の住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合することに加えて、省エネルギー性、耐震性などの基準をクリアした住宅を取得する場合に、金利を一定期間引き下げるものです。

「フラット35借換融資」は、変動金利など他の融資からの借り換えに対応するプランです。他のフラット35からの借り換えにも対応しています。

長期優良住宅の認定を受けた場合に融資期間が最大50年となる「フラット50」や、期間の異なる2種類のフラット35を組み合わせる「ダブルフラット」などのプランもあります。

フラット35子育て支援型とは

「フラット35子育て支援型」は、「ニッポン一億総活躍プラン」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」などに盛り込まれた地方創生の方針のもと、子育て支援の施策を実施する地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して、フラット35の金利をさらに引き下げる施策です。

特徴

地方公共団体による財政支援を前提として、当初5年間において年率0.25%の金利引下げが行われます。地方公共団体が、保育の受け皿の整備など子育て支援に関する事業を行っており、その事業が住宅金融支援機構に設置された有識者委員会において適切であると認められる必要があります。

対象者など

若年子育て世帯が既存住宅を取得する場合、若年子育て世帯と親世帯が同居や近居をするための新築住宅や既存住宅の取得が対象となります。

活用事例

生後8か月となる子供がいるAさんご夫婦(夫32才、妻28才)は現在、1DKの賃貸マンション暮らし。子供の成長に備えて、手狭なマンションから引っ越すため、マイホームの購入を考えています。ちょうど、夫の両親(60代)が住む実家の近くに2LDKの中古戸建住宅が見つかり、住宅ローンを組もうと計画しています。

このような場合には、ぜひ一度「フラット35子育て支援型」を検討してみると良いでしょう。5年間にわたり金利が0.25%優遇される可能性があります。

さらに、中古物件が「フラット35S」の基準も満たしている場合、「フラット35S」と「フラット35子育て支援型」の併用が可能となり、「フラット35S」の金利優遇0.3%と合わせ、最大0.55%の金利引き下げとなることが考えられます。仮に当初の金利が1.1%だった場合、金利が半分になり、返済額も毎月数千円レベルで安くなる可能性があるのです。

フラット35地域活性化型とは

「フラット35地域活性化型」は、UIJターンやコンパクトシティ形成の施策を実施する地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して、「子育て支援型」同様にフラット35の金利を引き下げる施策です。

特徴

「地域活性化型」でも、地方公共団体による財政支援を前提として、当初5年間において年率0.25%の金利引下げが行われます。

地方公共団体が、UIJターンやコンパクトシティ形成に関する事業を行っており、その事業が住宅金融支援機構に設置された有識者委員会において適切であると認められる必要があります。

「UIJターンに関する事業」としては、起業支援などの地域活性化に資する取組、空き家の解消に資する取組などが該当します。また、「コンパクトシティ形成に関する事業」としては、都市機能の誘導などの取組、空き家の解消に資する取組などが該当します。

対象者など

「UIJターンに関する事業」の場合は、UIJターンによる住宅取得、「コンパクトシティ形成に関する事業」の場合は、居住誘導区域内における住宅取得が対象となります。

活用事例

東京で賃貸マンション暮らしをしているBさんご夫婦(夫29才、妻31才)はつい最近入籍したばかり。そんな折、夫が転勤することになったのは、たまたま妻の実家に近い地方都市。「どうせなら、その地域でマイホームを」ということで、週末は妻の両親も一緒に建売物件を見学中です。

そこがコンパクトシティ形成事業の対象地域なら、ぜひ「フラット35地域活性化型」を検討したいところです。5年間にわたり金利が0.25%優遇される可能性があるのはもちろん、上述の「フラット35子育て支援型」の場合と同様、「フラット35S」との併用も可能となります。

2017年10月から変わる団信(だんしん)の扱い

団信とは何か

「団信(だんしん)」とは、団体信用生命保険の略で、住宅ローンの債務者に万が一のことがあった場合、金融機関に対する残債が保険から支払われるものです。つまり、住宅ローンが残っていても、保険で残債が消滅し、マイホームも家族のもとに残るということです。

民間金融機関の住宅ローンでは団信への加入は必須で、保険料も金利に含まれています。これに対して、フラット35では団信への加入が必須でないため、希望の方は別途保険料を支払う必要があります。

フラット35も団信への加入が必須に

2017年10月よりフラット35における団信の扱いが変わります。具体的には、民間金融機関と同じく団信への加入が必須となり、フラット35の金利に保険料が上乗せされます。

このように言うと、金利が高くなってしまうイメージを持たれるかもしれませんが、実際には、フラット35と別個で保険に加入するより、保険料は割安になる見込みです。また、保障の範囲も従来の団信より拡大される予定で、利用者にとっては朗報といえる変更なのです。

つまり、フラット35の「子育て支援型」、「地域活性化型」は積極的に利用したい制度ですが、団信のことを考えると10月まで待つという方法も考えられるという訳です。

まとめ

固定金利のフラット35は、これから住宅を購入したいという方や、低金利のうちに長期固定金利のメリットを享受したいという方にはとても魅力的な制度です。

特に、子育て支援や地域活性化という社会的要請の時流に乗ることは、政府の後押しを受けられるという意味でも、お得な方法といえるのではないでしょうか。