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話題の地域包括ケアシステムとは?特徴と問題点をわかりやすく解説

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地域包括ケアシステム構想が始動

介護施設の不足、他方で在宅介護の限界、そして介護保険財政の逼迫の中で、国は地域包括ケアシステムの構築へと歩みを進めています。

地域包括ケアシステムとは、「住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムの実現により、重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにする」ということを目的に、①認知症支援策の充実、②医療との連携、③高齢者の居住に係る施策との連携、④生活支援サービスの充実、などに重点的に取り組むものです。

つまり、在宅や地域における介護体制の充実により、財政的に大きな負担となる公的施設の新設や運営、公的サービスの利用を抑制し、介護行政の軸足を、これまでの国主導の事業やサービスの提供から地域へと移管することを狙ったものといえます。

その上で、介護予防に取り組み健康寿命を伸ばす「自助」、家族・親戚・地域で暮らしを助け合う「互助」、介護保険・医療保険サービスの利用による「共助」、そして生活困難者への対策として生活保護支給等による「公助」を一体として、地域全体で医療や介護を担っていくことを目指しています。

今後は地域に見合ったケアシステムを構築し、軌道に乗せていくため、各自治体で3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を行うことになっており、それぞれにふさわしい地域包括ケアシステムを2025年までに確立することが目標となっています。

これからは地域全体で医療・介護を担う

「施設から在宅へ」を推進

地域包括ケアシステムの大きな特徴は「施設から在宅へ」とケアの場を移そうとしている点です。これまでの24時間ケアが受けられる施設内での「内部完結型」から、自宅等を中心に地域で支えていく「地域完結型」に移行することが目指されているのです。

具体的には、高齢者の在宅での生活を支援するための通所・訪問・宿泊サービスを行う「小規模多機能型サービス」の構築や、デイサービス等の充実などが掲げられています。また、医療現場においても地域包括ケア病棟を新設し、在宅復帰に向けた医療ケアやリハビリなどを中心に在宅復帰支援に力を入れるとして、すでにその動きは始まっています。

さらに地域包括ケアシステムの中核機関として「地域包括支援センター」の設置が進んでいます。このセンターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置、3職種の総合的なアプローチにより、介護予防支援及び包括的支援事業を推進するものとされ、2014年現在、全国4,557か所に設置されています。

主な在宅型サービスの種類と特徴

種類 サービス・特徴
通所介護(デイサービス) 食事や入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上のための機能訓練、レクリエーションなどを日帰りで提供するサービス。
通所リハビリテーション(デイケア) 食事や入浴などの日常生活上の支援のほか身体機能の改善及び生活機能向上のためのリハビリテーションなどを日帰りで提供するサービス。
短期入所生活介護(ショートステイ) 在宅生活されている方々が必要に応じて一時的に入所し、入浴・食事とそれらに伴う介護、レクリエーションを行う。
小規模多機能型居宅介護 住み慣れた家・地域での生活を継続することができるように、利用者の状態や必要に応じて、「通い」を中心に「泊まり」「訪問」を組み合わせてサービスを行う。
訪問介護 心身機能の維持回復などを目的として、看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行う。
訪問介護 訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・選択・買い物・調理などの生活援助を行う。
訪問入浴介護 利用者の身体の清潔の保持、心身機能の維持回復を図り、看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、入浴サービスを行う。
居宅介護支援 利用者の心身の状況や置かれている環境に応じたケアプランを作成し適切なサービスが提供されるよう、公正中立な立場で介護事業者や関係機関との連絡調整を行う。
福祉用具貸与 利用者の心身の状況、希望及びその生活環境などをふまえ、適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与する。

懸念される地域格差とボランティア依存

しかし、地域包括ケアの問題点として、次のような指摘もあります。そのひとつは、地域それぞれの取り組みに任せることによる"地域格差"の発生です。

高齢化率の進展や、要介護・要支援認定者数などには地域ごとに開きがあり、また「自助」や「互助」がどこまで手厚くできるかは、地域の財政力や人的資源、インフラ、政策次第となります。地方の中小の市町村と大都市圏で受けられるサービスに大きな差が生まれる可能性があり、より優れたサービスが受けられる自治体へと高齢者が転居することも考えられます。

もうひとつの問題点は、地域で助け合う「互助」を掲げているものの、地域のコミュニティが失われてしまっているところが少なくないということです。

核家族化が進み家族や親族などの距離が遠くなり、さらに近隣の絆も薄くなっているなかで、こうした高い理想がリアリティをもちうるかどうか。さらに地位包括システムは「ボランティア、NPO、社会福祉法人、企業、自治会、老人クラブなど様々な主体が生活支援に取り組む」としていますが、ボランティアをあらかじめ重要な担い手として想定することが、果たして政策として有効かという指摘もあります。

地域のコミュニティを作り直すことから

地域包括ケアシステムが、実際に地域に根付き、制度として発展していくためには、地域のコミュニティそのものを再生する取り組みが進められなければなりません。

国では2014年度より、自立した生活を送ることが困難な低所得・低資産の高齢者を対象に、空き家などを活用した住まいの支援や見守りなどの生活支援を行う「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」に着手しています。

2015年度は12自治体が活動を展開。空き家などのリフォームやコンバージョン(用途変更)が必要な場合は、国土交通省の補助金(「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」)の活用もできるとされています。(詳細はこちらのホームページにあります)

補助事業の利用には制約もありますが、その利用の如何を問わず、空き家などを活用しながら地域に開かれたコミュニティづくりを進めていくことが、地域社会における介護を支える基盤になるのではないでしょうか。

一般の住宅や賃貸住宅の外構や庭づくりなどにおいても「街に開く」ことは可能であり、そこから新たな会話が生まれます。小さくてもできることから着手し、地域の豊かなコミュニケ-ションを創造していくことが必要になっていると思います。